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アイドルッ!  作者: 末吉
第二幕・第二話~合宿初日からの面倒事
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2-8 一つの結末

懲りずに思いついた新作ちょくちょく書いてます。


 それから間もなく。二人が旅館に戻ったら、警察の人たちが来ていた。

 二人は何事かと思い、警官の人たちに話を聴いてみたが、警官たちは何も話さなかった。それに好奇心をくすぐられた二人は、自らの名字を名乗って警官たちに話させた。

 警官の話をまとめるとこうなる。

 この近くで大変なものを見つけた、詳しく話したいからこの旅館に来てくれ、という電話があってここに来たが、電話をかけてきた人は一対一で話を聴いて欲しい、との要望から代表の警官が話を聴きにいっているところに丁度二人は来た、ということだった。

 その時二人の頭に浮かんだ疑問は、「警察に電話したのは誰なのか」だった。それは当然と言えることだが、その疑問に対しては答えてくれないことは分かっていたので、二人は訊かなかった。代わりに、「部屋に戻ってもいいですか?」と訊こうとしたら、警官の波が崩れて一人の男が出てきた。その男は、二人には目もくれずに警官たちに指示を出し、自身もパトカーに乗って走り去っていった。

 残された二人は一瞬ついていけなかったが、何とか状況の把握をして旅館に戻っていった。

「何じゃお主ら。まだ練習の途中じゃろうに。どうして戻って来たんじゃ?」

 旅館に入ると、学園長が出迎えてくれた。二人は、事前に打ち合わせをしていたかのようにこう言った。

「「ちょっと体調がすぐれなくなったもので・・・・・」」

 その答えに学園長は若干疑念を抱いたが、今はそれどころではないので何も訊かなかった。そして二人にこう訊いた。

「二人とも、話を聴いてたろう?」

 しかし、言葉の裏には強い確信があった。二人は、隠せないことを悟り、頷いた。

「なら、この話は決して他言無用じゃ。代わりに、主らの行動には目をつむろう」

 と言って学園長は去っていった。

 学園長が去った後、いつきが口を開いた。

「白鷺さん」

「なんです?」

「警察にたれこみしたのって、もしかして学園長じゃないですか?」

 それを聴くと、白鷺は頷いた。

「そうだと思いますよ? でも、そうするとおかしなことが起きますね」

「そうですね」

 二人がおかしいと思ったこと。それは、『学園長はいつそんなことを知ったのか?』という事だった。

 学園長は今日一日、旅館からほとんど出ていないことは知っているので(年のせいでもある)、そんな、山を歩き回っていないと分からないことは知らないはずだ。

 だとしたら。と、ここで二人ともある考えに至った。

 だとしたら、学園長に電話した人がいるのではないか、という考えに。

 しかし、そこで二人の思考は止まってしまった。

 結局、いくら考ええも仕方ないので一旦白鷺の部屋に二人とも行くこととなった。もちろん、先程の考えを発展させるために。


 時間をいつき達が練習している時間まで巻き戻す。

 その時つとむは、旅館を監視することを放って置いて、さっきと同じ場所に来ていた。

「取りあえず、あいつの荷物はログハウスに置いてきたからいいとして、問題はあの二人組だな。あいつらを何とかしないと監視役ができねぇし、みどりもゆっくり記憶を取り戻せないだろうし」

 とんだもんに巻き込まれちまったぜ、全く。と思いながら、俺は先程の道を進んだ。

 進んでいくと、二人組に遭遇した地点まで何事もなく着けた。そこから、さらに進んでいくと、別な山に着いた。

「なんだここ? 山同士が獣道で続いてるのか?」

 そう呟きながら、俺はまたその道に従って歩いていった。その時に、ケイタイが鳴った。ディスプレイを見ると、『白鷺』からだった。

 俺は音量を小さくした状態で、電話に出た。

「もしもし」

『もしもし、八神君ですか? 電話越しで悪いんですけど、その場で正座してくれませんか?』

「今取り込み中なんだ。後にしてくれ」

 と言って携帯電話を切った。

 しっかし、なんでこの場で正座しなきゃいけなかったんだ? と電話を切った後思ったが、今はそれどこではなかったので、考えないことにした。

 その後、俺はそのまま道通りに歩いていた。そしたら、分かれ道に遭遇した。

 獣道って、分かれ道あるのか? そう思ったが、よく視ると片方は何処か人工的に作られた感じがした。

 ひょっとして……。そう思って俺は行こうとしたが、あの二人組と出会ったら言い訳出来ないことに気付き、茂みの方を隠れながら歩くことにした。

 しばらく歩いていると、小屋が見えた。双眼鏡で小屋を覗くと、あの二人組が見えた。

 俺は危険を冒して小屋まで近づいて二人の話を聴くことにした。

「今日はもう客はこねぇな」

「しかし、昨日も今日もあの女のせいで、客を大分待たせちまったな」

「それは確かだな。だが、明日もあの女を探さないといけないんだ。どうやって探すか…」

「山を下りるしかないねぇだろ。そうなるとだ、明日も客を待たせちまうかもしれねぇ」

「ああ。だから俺はここに残って商売をやってるから、お前は女を探して来い」

「分かった。――しかし、この場所はヤクの栽培と取引にうってつけだな。人がたまに迷い込んでくるが、殺しちまえば問題はないからな」

 『殺しちまえば問題ないからな』。その言葉がサラッと言えることに、俺は恐怖を覚えた。

 ヤバイ。こいつらは人を殺すことに躊躇いがない。そう思ったが、今更後に引けるわけもなく話を聴いていた。

「俺達もやらないか?」

「馬鹿。俺達が麻薬なんぞに手ぇだしたら、誰がまともに商売をするんだよ」

 麻薬。

 その言葉は中学の授業で聴いていた。しかし、この場で聴くとは思いもしなかった。

 俺は緊張で高鳴る胸を押さえつけながら、二人に気付かれないように小屋から離れた。

「くそっ! なんだってこんなことになるんだ!」

 俺は小屋から離れ、来た道を走って戻りながら毒づいた。

 確かに、俺はあの二人組をどうにかしないと、と思った。だが、これはもう俺個人で対処できる問題を超えている。なんたって麻薬が絡んでいやがるからな。

 こう考えてふと走るスピードを緩めた。緩めながら、これからの事を考えて結論を出した。


 これは警察に任すべきだ。


 そう考えたが、問題は俺が連絡してまともに取り合ってくれるか、だ。菅さんなら取り合ってくれるだろうが、生憎ここは管轄外だろう。いつきに頼ることはしないと決めたので、誰に頼ろうか? そう考えたが、すぐに結論が出たので俺はケイタイを取り出して電話した。

「もしもし? 爺さんか?」

『なんじゃ? 異常でも見つかったのか?』

「監視なんてしてないんだが」

『職務放棄じゃぞ?』

「そんなことより、ちと警察呼んでくれないか?」

『そんな事ではないんじゃが………警察か? あの女子(おなご)に何か関係でもあるのか?』

「流石爺さん。話がはやくて助かるね。詳細は警察が来たら話すから呼んどいてくれ」

『儂をパシリか何か勘違いしてるのではないか?……まぁいい。警察が来たら連絡しよう』

「早くしろよ。こちとら、命懸けてんだから」

『・・・・・・・・・何じゃと?』

 と言われたが、そこは気にせずに電話を切った。

 その後、俺はもと来た道をたどって行き、ログハウスに誰にも襲われずについた。ま、気配は消していたし、足音殺しながら走っていたからだろうけどな。

 ログハウスに入り、鍵を閉め、俺は床に寝そべった。

 ああ怖かった。町では幾度となく命の危険があったけど、今回が一番感じられた。と寝そべりながら俺は考えていた。そして、これが終わったら今度こそゆっくりできそうだなぁとも思った。・・・・・・・・・・マジでできたらいいな。

 そうやっていたら、不意にケイタイが鳴った。俺は起きてからケイタイを手に取った。

「もしもし」

『警察を呼んだ。今は代表として一人、儂の近くにいる』

 いつになく真剣な爺さんの声。果たしてこれは何に分類されるのだろうか、と頭の片隅で考えながら答えた。

「そうか。…ところで、俺の声は聞こえるのか?」

『聞こえているから問題ない』

 と、爺さんとは別の声が聴こえた。この人が警察の人だろう、と俺は確信した。

「ならいいな」

『一体何の用なんだ? 話さないなら帰らせてもらうが』

 と急かす刑事。なので、俺は簡潔に答えた。

「麻薬」

『は? 何と言った?』

「だから麻薬だって。俺は麻薬の栽培場所と取引場所を見つけてしまったんだ」

『なんだと!? そんなところがここにあったのか!? どこだ!?』

「場所は旅館の近くに見える山の隣の山だが、とりあえずログハウスに来てくれ。案内したい」

『………お前の言葉が嘘の可能性もある』

「疑り深いね、刑事さん。だがまぁ、ここで逃がすと被害が拡大しそうだと思うぞ?」

 その俺の一言で若干悩んだみたいだが、『……分かった。そちらにむかおう。ログハウスの場所は我々も知っているから、そこでおとなしく待っていてくれ』と言って電話が切れた。

「疑り深い奴は信じられるな」

 そう呟いて、待っている間どうするかと悩んでいると、テーブルに放置しておいたリュックに目がいった。

「そういや、これってみどりの荷物なんだろうが、何が入っていたんだ?」

 と中をみようと思ったが、さすがに女子の荷物を勝手にあさるのは良くないと思い、やめた。

 手ぶらになった俺は、とりあえずということで筋トレした。が、しようとしたところでドアがノックされた。

「誰ですか?」

「警察だ。君が来いと言ったんだろ」

 その声で俺はドアを開けた。そこには、十名近くの警官がいた。

「案内してもらうぞ」

 と目の前の奴が言った。こいつが俺と会話していた奴か、と直感した。

「分かってるよ。案内する」

 と言って、俺はドアをワイヤーでロックして外に出た。そして、俺はそのまま無言で歩きだした。警官たちは、慌ててぞろぞろとついてきた。



 それから、俺はさっきと同じ道をたどって小屋が見えるところまで来た。

「あそこか」

「ああ」

 刑事が確認してきたので、俺は頷きながら答えた。

「情報の提供、感謝する。ここからは私達の領分だ。君はおとなしく戻って構わない」

「元よりそのつもりだ」

 と言って俺は戻った。後ろから、『総員、まずは小屋を囲め。ネズミを逃がさない様にしろ』という指示が聴こえた。

 今回はこれで俺の役目は終わりだな。と、戻る中そんなことを思った。後は警察の方で何とかしてくれるだろう、とも。

 だから俺はそん時スッパリ忘れていた。

 これはただの副産物だと。結局のところ、まだ終わってないことを。


感想などよろしくお願いします。

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