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アイドルッ!  作者: 末吉
第二幕・第二話~合宿初日からの面倒事
45/205

2-3 監視現場到着

短いですが、区切りが良かったので。

「着いた。ここが合宿先の旅館だ」

「おぉー! すごいな! と、言いたいところだけど、俺には関係ねぇや。それより爺さんは?」

 つとむは他の生徒達より二時間くらい早く着いたため、旅館の外部を眺めていた。

「おお、来たか、来たか。お前達もご苦労」

『ハッ!』

「あなたが今年の監視役さんね? 私はこの旅館の女将ですわ。よろしくお願いしますね」

「え? あ、はい」

 自分から女将と名乗った人は、年は四十位だろうか。それにしては大分色香があるなぁ~、と他人事のように思った。これが大人の色気という奴だろうか。

 と、そんなことを考えていたら、爺さんが俺の荷物を指さしながらこう言った。

「さて、お主には悪いが、さっさとあの山に行ってくれ。そうでないと怪しまれるからのぅ」

 俺は自分の荷物を確認しながらこう言った。

「俺がいない方が怪しまれるんじゃないのか?」

「ま、そうだがの」

 あっさりと肯定した爺さん。しかし、それだけでは終わらなかった。

「そこは何とかできるからの。さっさと行ってくれ」

 俺はこれを引き受けた時点で諦めていたので、それに従った。

 そして、俺が山に入ろうとすると、爺さんが最後にこう付け足した。

「そうそう、その山には熊が出てくるからのぅ、気を付けるのじゃぞ」

「ふざけんな!!」


 で、山に入ってみたのはいいんだが、深刻な事態が発生した。


 どこで監視すればいいんだ?


 俺は、この山のどこで普段先生が監視していたのか分からないので、思いっきり悩んだ。

 そしてある結論に至った。

 毎年監視役がいるなら、何か目印があるんじゃないか?

 そう思って山の中を歩いていると、案の定目印が見つかった。いや、目印なのだろうか。


 だってそれは、


 明らかに人為的に作られた、


 ログハウスだったのだから。


「……」

 俺は迷わず爺さんに電話した。

『なんじゃ? もう着いたのか?』

「多分。一つ訊きたいが、ログハウスが建っているんだが、この場所で合っているのか?」

『そこから旅館が見えればいいんじゃ。どうだ、見えるかのぅ?』

「・・・・・・・・・・あ~、見える、見える。大丈夫」

『そうか。ならよろしくのぅ』

 と言って切られた。しかし、誰がつくったんだろう? このログハウス。そう思いながら、不要になったテントと寝袋をどうするか、俺は考えた。

 しかしそれは無駄だと思ったので、とりあえずログハウスに入ることにした。

「うわ~、汚ねぇな。掃除してねぇだろ、これ」

 ログハウスに入った時の第一声。俺はもう顔をしかめるしかなかった。

 これは掃除するしかないか~、となまじ暇な時間があったのでその時間の潰し方が決まった。

 それから二時間。

 俺は掃除道具を探し、水道が通ってることに驚き、掃除をしていた(ログハウス内を)。

「ふぅ。これくらいでいいだろ。これで荷物がここに置ける」

 大体綺麗にして(外と中じゃ一目瞭然)、自分の荷物をこの中に置いた。

 改めて中を見てみると、テーブルが一つ、キッチンあり、風呂あり、トイレありと、なんだか至れり尽くせりの状態だった(使い方が間違っている気が、しないでもないが)。

 しかし、なんで鍵がかかってなかったんだろう? そう思ったが、今は相当楽になったと感じたので、深くは考えなかった。

 補足すると、つとむが見つけたログハウスは山の中腹辺りにあり、旅館からは見えないがこっちからは見えるという、監視には好条件な場所だった。


 一方、つとむから電話を受けた学園長は、何やら考えていた。

「どうしました?」

「あの山にログハウスなんてあったかのぅ?」

 黒服の人から尋ねられた学園長が答えた時、女将さんが驚いた顔をしていた。

「え? ご存じなかったのですか?」

「ん?」

「あの山に熊が出てきて以来、山の監視という事でログハウスが建てられたのですよ。もっとも、ほとんど使われなかったみたいですが」

 と笑いながら言う女将さん。それを聴いた学園長は、苦い顔をしていた。


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