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アイドルッ!  作者: 末吉
第二幕 第一話~合宿へ行く前の話~
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1-4 困惑の取材

何故か昨日今日と二千PV超えてました……何かしたかな?


 車内にて。

「まったく、つとむのバカ。何もあんな言い方しなくてもいいのに。大体、人の気持ちに気付かないのも悪いよ」

「お嬢様。喧嘩でもなされたのですか?」

 昨日、いつきが女だと公言したため、SPの方たちは「いつき様」から「お嬢様」に呼び方を変えていた。

 本来ならば、この呼び方を許されるのはもう少し後のはずなのだが、いつきが父親との話し合い(という名の一方的な交渉)で押し通し、昨日からそう呼ぶことを許された。

 お嬢様、と呼ばれることに自分でもまだ慣れていないのか、少し返事に間があった。

「・・・・・多分ね。僕も言い過ぎたとは思うけど、それにしたってあの言い方は無いよ」

「どのようなことを言われたので?」

「今日から話しかけるな、って。あそこまでハッキリと言われたのは、さすがにショックだったよ」

「彼も言いますね~。・・・・・・・・では、その前の話題には何が挙がったのですか?」

「え? 確か・・・・・・・・・・僕に頼ってばかりだ~とかだったような気がする」

「は~、なるほどなるほど。それだったら、その前にも何か言われたのでは?」

「後の方がショックだったから、前の方は覚えてないよ」

「そこにヒントがあるはずですよ?」

「え?」

 運転手兼SPの人が言った言葉にいつきは疑問を覚えたが、その人は人の悪い笑顔を浮かべただけで、何も言わなくなった。




「ウィーッス」

「さっさと支度しろ。明日からできないんだろ? しばらくは」

「ああ。分かった」

 あの後、俺は自転車を必死にこいでバイト先に来た。途中、何も起きなかったのは奇跡だと思った。

 俺は急いで着替え、調理室に行き、注文された料理を急いで作っていった。

 ここで営業時間終了まで働いて、分かったことがある。

 それは、この店は昼より夜の方が、客が多いことだった。一昨日から働いてみたんだが、夜の時間帯だと完全に、喫茶店というより居酒屋の方がしっくりとくる。

 だが今は、女子高生たちが集まる昼の時間。俺は、次々と注文される料理をつくり、運び、使った皿などを洗って行った。マスターもいるが、他の客の注文で手いっぱいらしかった。

 というか、ここまで忙しいのは初めてなんだが。一体どういう理由だ?と思いながら料理を作っていった。


 一通り仕事が終わって、一息つく俺とマスター。まだ客はいるが、みんな常連なので、気兼ねなく休憩できる。

「まったく、なんなんだ、この殺人的な忙しさは?」

「ああ。今日は過去類に見ない繁盛ぶりだった。一体何が原因なんだろうな?」

 と、俺とマスターが原因について話し合おうとしたら、常連の一人がこう言った。

「確か、あれが原因じゃないのか? 白井美夏の取材で使われたから」

 それだけでここまで忙しくなるか~? と疑問に思ってそいつを見たら、「それ位しか思いつかねぇよ」と言いながら、コーヒーを飲んだ。その言葉を受けてマスターが、気になることを言った。

「そういや、平塚、って人が『これ、白井さんにここに置いてほしいって言われて』つって、ここで取材した時の内容が載ってる雑誌を、一部置いていったんだった」

「マジか? 見せてみろよ」

「いいぜ。……え~と……ここでもない……あったぜ!」

 と言って見せてきたのは一冊の雑誌。題名はとりあえず伏せる。

 俺は、それを受け取ってからまず目次で取材の記事を探した。次に、そのページを探した。

 そこで見つけた記事の見出しは、『今話題沸騰中の人気アイドル!白井美夏に独占取材!』だった。ま、そこはどうでもいいか。

 問題は内容か。そう思って内容を見てみると、俺は血の気が引く思いだった。

 俺の顔色が変わったのに気付いたのだろう。マスターが心配そうにこう言った。

「大丈夫か? まだ事故の怪我治ってないのか?」

「いや、そうじゃねぇ。そうじゃねぇんだ」

 と俺は、自分でも元気がない声を出していると気付けるような声で言った。

 それで俺が体調じゃなくて別な理由でこんな事になっていることに気付いたのだろう。その理由に思い至ったのか、マスターがその記事を読んだ。

「これか?え~と、

『白井さんってよくここに来るの?』

『いえ。ここには初めて来ましたよ。こんな隠れ家みたいなお店があるなんて、思いませんでした』

『それで? ここの料理は美味しい?』

『はい。この店のアルバイトの方が、とても料理が上手ですので』

『ここの飲み物はどうかな?』

 ……って、これのどこが取材なんだ? 俺の店の批評しかないだろ」

「マスター、これは話題の部分。それが終わったら普通にインタビューでしょ?」

「・・・・・・・・ああ。そうだな。しかし、これが原因になるのか?」

 と最後まで読まなかったマスターが言った。なので、

「最後まで読んだら?」

 と俺は言った。マスターはそれに従ったのか、そのまま読んでいった。

「『飲み物もおいしいですね。喫茶店としてはレベルが高いですね』……ここで終わりみたいだな。これじゃ原因にならんだろ」

 そうだろうな。その後の、最後の締めの方に問題があるんだから。

 結局、マスターは原因が分からないままその後の仕事をしていた。俺は何事もなかったかのように仕事をしていたが、内心では疲れ切っていた。

なんであんなこと言ったんだよ、あいつ。と思いながら。


『最後に、誰か好きな人はいる?』

『気になる人なら』

『教えてもらえるかい?』

『ここのアルバイトの人、ですね』

『一目惚れってやつかい?』

『そうかもしれません』

 …………これにどう反応すればいいんだ?


三日連続投稿です。ギリギリですけどね

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