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アイドルッ!  作者: 末吉
第一幕:第一話 出会いはいつも巻き込まれて
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1-3 授業

毎日投稿したら第一幕どのくらいで終わるんですかね……



「次!! 八神!!」

「へぇ~い」

「そんな声で返事するな! まぁいい。さっさとやれ!」

 今はその授業中。何をやっているかって? 確か『十メートルの幅をいかに美しく思いっきり飛べるか』だな。要は舞台と舞台の間の走り幅跳びだ。それくらいなら普通に飛べるんだが、問題は、『美しく』の部分。これに美しさなんて求めてどうするんだ? そう思っていると、

「早くせんか!!」

 と叱られた。うっせ。やればいいんだろ、やれば。若干キレそうになりながら俺は、

「だらっしゃ――!!!!」

 叫びながら、十メートルを余裕で越えていった。着地は普通にできたから、怪我しなくて済んだな。そう思いながら舞台から降りると、

「裏から出て行けと言っているだろ!!何度も言わせるな!!」

 怒られた。なので俺は、

「わっかりましたぁ~」

 とりあえず返事をした。直す気なんてねぇけどな。その返事を聴いた先生は、

「まぁいい。次!! 本宮!!」

「はい!!」

 次はいつきか。あいつなら無難にできるんだろうな。そう思って見ていると、

「よっと」

「すごいじゃないか、完璧だ!!」

 あっさりとクリアした。しかも、先生の奴が言う『美しく』までクリアしやがったみたいだな。あいつは超人か、と疑問に思えてしまっても仕方がないような気がするな。そう考えていたら、

「失礼な。僕に言わせると、君の方が超人だと思うんだけど」

「うおっ!!いつの間に!?」

 いつの間にか、いつきが俺の目の前にいた。そのことについてはツッコまないが、

「お前、人の心が読めるのか!?」

「付き合いが長いからじゃないかな」

 至極あっさりと答えるいつき。それでもすごいじゃん。そう思っていると、

「よし!!今日はこれまで!!午後からの授業を寝ないで受けてくれ!!」

 と、締めの言葉を言っていた。どうでもいいぜ、そんなこと。聞き流しながら、そんなことを思った。



「相変わらず混んでるね~、ここは」

「普通じゃないか? 食堂なんだから」

 そう。ここは食堂である。ここは、一年から三年までとたくさんの生徒が利用する。ちなみに購買という手もあるが、あそこはスーパーのタイムセール並みに混むだろうから、大人しくここを利用している。

 察しのいい奴は、これで俺達は弁当を持ってきて来ないんだなとわかるだろう。いつきは、家が家なので弁当がかなり豪華になるから弁当は作ってもらってないと言っている。俺はというと、母さんが『あんた、自転車で通学するんでしょ?だったら弁当作ったら中身が飛び散りそうで怖い』と言って、作ってもらっていない。 それは俺もちょっと否定できないので、バイト代からいつも出している。余談だが、俺のバイト代の使い道は、旅行雑誌の購入代や昼飯代、後はたまにCDを買ったりしている。まぁ、ほとんどが貯金だがな。

「じゃぁ、いつものように僕が席を取るから、つとむは僕の分まで料理を取ってきてね。料金は食べてる時に払うよ」

「分かった。目印は?」

「多分、女子が集まっているところじゃないかな?」

「了解」

 そう言って俺は、券売機に並んだ。これは初めて食堂を利用した時から変わっていない。それは、これが何かと効率がいいからだ。いつきだと並んでいる途中に抜かされたりしそうだが、俺だと外見のせいで抜かされることはない。たまに譲ってもらったりしている。その時は断っているがな。

 ……自分で言ってて悲しくなるな。

 まぁいい、気にしないで待っているか。

 十分後、俺は券売機でいつきのカレーを、そして自分の親子丼を買って、料理を作っているおばちゃんに券と料理を交換していつきを探していると、

「こっちだよ、こっち」

 窓際の席からいつきが手を振っていた。ずいぶん日当たりがいいな、俺はそう思いながらいつきのところに向かった。

「ほらよ」

「あ、サンキュー。じゃ、いただいます」

「いただきます」

 互いに言って、俺達は食べ始めた。その間の会話はざっとこんな感じ。

「お前って、いつもカレーだよな。どうしてなんだ?」

「こういう家庭料理の中で、カレーが一番好きだからだよ。つとむはどうして丼ものなの?」

「この系統が一番安くて、ボリュームがあるから」

「即答だね。でも、そんなにお金が必要なの?」

「貯めておいて損はないだろ」

「そうだけど、さ……あ」

「なんだよ」

「今思い出したけど、巻き込まれた事象を訊いてなかったね。教えてくれる?」

「ちっ。分かったよ。っても、そんな大したもんじゃないぜ。不良に絡まれてた女子を助けただけ。ハイ終わり」

「なるほど。あそこは道が狭いからね、そうしなきゃいけなかっただろうね」

「だろ?」

「それで、その女の子は誰なの?」

「知らねぇよ。バイトに行く途中で巻き込まれたからな。その後はそのままあの場所に行ったぜ。後ろの方から何やら叫んでいたがな」

「うわ。流石というか、不愛想というか、君のスルースキルは相も変わらず健在のようだね」

「俺は急いでたんだ。あっちが何といおうが、俺にとっちゃぁ、あの時はうるさい以外の何物でもなかったな」

「それって、見る人が見れば、酷いとか、人の心がないのかーとか、言われそうだね」

「関係ねぇよ。どんなことを言われようとな」

 そんな会話をしながら、俺は食べ終わって食器を片付けようとしたら、

「あ、待っていてくれたっていいじゃん。どうせ午後からは普通の授業なんだし」

「俺はさっさと寝たいんだが」

「授業中に寝てるでしょ?」

「それはたまにだ」

「だったらバイトやめればいいじゃん」

「俺にこれからの生活をどうしろと?」

「僕がお金を貸してあげるよ」

 借りた後が鮮明に思い浮かんだので、

「…………分かったよ。待っていてやる」

「本当!? ありがとね、つとむ」

「別に」

 大変不本意ながらも、いつきが食べ終わるまで待つことにした。

「それにしてもさぁ、つとむって本当によく巻き込まれるよね、事件とか。どうしてなんだろうね?」

「知るか。それより、しゃべってばっかりいねぇで、さっさと食べろ」

「分かったよ。でも、これから巻き込まれるんじゃないかな?」

「は?」

 どういうことだよ、と訊こうとしたら後ろから、

「うわっ!!」「おうわっ!!」

 誰かがぶつかってきて、その反動で俺はテーブルにぶつかった。


区切り方は次回への引きです。

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