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アイドルッ!  作者: 末吉
三幕・第八話~最後の練習と本番~
173/205

8-11 本番月曜日--1

段々増えているのが嬉しいです。お気に入りが

 で、日曜日はマスターが休むといったのでバイトがなく、これと言ってやりたいこともお金もない俺はお袋の手伝いを強制的にやらされ、買い物で一悶着あったがいつも通りだったので割愛し。

 いよいよ六月二十日(月曜日)。テスト開始日である。

 今週のテストの撮影スケジュールは木曜日まで。一日延びただけに見えるが、撮影班の編集スピードを考慮すると実は意外ときつい。やり直しは基本的にできないと考えていいだろう。

 一発撮りだなんて滅多なことじゃやらねぇだろと思うのは誰しもあるだろうが、テストなのでそこら辺は言いっこなしだ。

 流石に誰か一人でも欠けたらやばいと感じているからか全員出席。天気がぐずついてきてるが、まだ大丈夫だろう。

「さぁこれからテストが始まるわ」

 出席確認後、すぐさま委員長はそういった。

「突貫スケジュールでもう出たとこ勝負になってるけど、みんな、気持ちは十分かしら?」

『おぉ!』

「それじゃ、移動および準備開始よ!」

『おっしゃぁ!』

 かくして、テスト本番の火蓋が切って落とされた。


 準備は一度やったからか前回よりスムーズに終わった。というより、俺の方が進んでセッティングしていたから時間がだいぶ短縮した。

 メイク自体も前回より時間は短縮された。どういったメイクが良いのかは先週の反省を生かしたのだろう。

 で、今日撮影するシーンは前回と同じ部分まで。明日も前回と同じところ。ただ、水曜日と木曜日はクライマックスに近いということから分割して撮影することになった。まぁつまり今日の撮影が前回と同じように巻きであることには変わりないわけで。


「す、すいませんすいません!」

「すみませんですむなんて虫が良すぎるだろうが、アァ!?」

「ひ、ひぃ!」

「おう早く頼んできたもの」

「何やってるのこんなところで! 先生!!」

「ちぃ!」

 そう言って男はその場を立ち去った。

 ……というのを、俺は観察するような目で誰にも悟られず一階上の階段で眺めていた。

「……」

 考えることは、特にない。ただ目についたから、という理由だけ。

 なので俺はそのまま階段を上っていくことにした。


 ――なんてシーンが追加されたりして。

 午前中の進行は予定通りに終わったので昼食のシーンに関係のない俺は普通に学食を

「撮影で使われてるし……」

 そうだった。一斉にテストあるからあっちもこっちも撮影してて場所がかぶったりするんだった……。

 朝からの光景を思い出した俺は、それでも空腹を堪えたまま撮影する気がなかったので大人しく紛れて食堂に突入した。

「あ、兄貴。普通に食堂使ってたんですね」

「そういうお前たちもだろ」

「まぁな」

 いつも通りに席に座って食べていると、なんか普通に慎と甲斐が来ていつも通りに座って食べ始めた。

「お前らテストの撮影は?」

「俺達の役は昼食撮影ないからな」

「まぁ出番も少ないので気楽っちゃ気楽なんですけどね」

「ふーん……しっかし、テストって実感わかねぇな」

 話題が特にないのでテストの感想を漏らすと、二人は何とも言えない表情を浮かべた。

「どうした?」

「いや、お前先週まで補習回避だ何だと意気込んでたろ? なのにいきなり気の抜けた発言をするからな……」

「兄貴って緊張感ないんすか?」

 「う~ん」俺は頬を掻きながら少し考え「緊張なんてものは常日頃からしてるし、正直命の危険を感じないからな……」と漏らす。

「ああ、そうか。お前の場合緊張=命の危険なのか」

「そりゃこのぐらいだったら緊張する必要しませんね……」

「お、おう……」

 なにやら壮大な話になってる気がするが……まぁ否定するのも野暮だろう。他人の、という言葉が頭につくということは。

 俺自身の心配は最近考えたが無駄だということを理解した。周りの奴らは心配するが。

 自分のずれが認識できてくるとそれに対して考えるのもばからしくなってくるのだろうか。

 それとも、

 一族の掟に縛られているが故の慢心なのだろうか。

「…………」

「ど、どうしたんすか兄貴?」

「おいどうした八神」

「…………ん?」

 どうやら長考してしまったらしい。二人が何か怪訝な表情を見せている。

 まぁこればっかりは言えないからなぁと思った俺はさっさと食べ終え、「やりたいことできないのが一番怖くね? やっぱり」と言ってから席を立った。


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