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アイドルッ!  作者: 末吉
第一幕・第三話 喧嘩騒動と生徒会
17/205

3-3 乱闘騒ぎ その1

一万PVを超えました。早いものです


 午後の一コマ目が終わって、次の授業の準備をしていたら、俺が座っている席の周りに見覚えがあるやつらが来ていた。

「どうした? 何か用か?」

 と普通に訊いたのだが、その時のそいつらの雰囲気が少し違い、違和感を持った。

「お前ら、話し合いに来たわけじゃなさそうだな」

「当たり前だ!! 貴様はもう許さん!! 覚悟しろ!!」

 そんなやりとりを聴いた他の奴らが、「また、あいつか」「今度は何をやらかしたんだ?」と話していた。こいつらは無視するか。

「んで? なんで俺が覚悟しなきゃいけないんだ?」

「しらばっくれるつもりか!! 光さまを泣かせた罪、その身で後悔させてやる!!」

 思いっきり大声で言ったのでクラスの奴らが、「おい、まじかよ」「っていうか、どうして光さまに近づけたのかしら?」と、もうだいぶ噂で広まりそうなほど勢いよくしゃべり始めた。全く、面倒なことになっちまった。そう思いながら、

「いいぜ。お前らがやるっていうなら、オモテ出ろ。お前らを後悔させてやる」

 と言って、俺は窓から校庭に出た。ここは一階だから別に怪我はしない。それに、この行動に出たのなら、俺について来るだろうからな。俺の行動を見たそいつらは案の定、

「追うぞ! あいつを後悔させるために!!」

「「「「おおーーーー!!」」」」

 と言ってそいつらも窓から出てきた。数を数えてみるとざっと三十人くらいはいた。

 …ん? 俺を囲んでたやつらは十人くらいしかいなかったはずだが…何があったんだ? と疑問に思っていると、

「さっきの人が言った一言で、大抵の人が君を倒そうとしてるみたいだよ」

 いつきが窓の方から言ってきた。まぁ、あいつが敵側じゃなくてよかったぜ。周囲の状況を確認してから、

「さてお前ら。覚悟はできてるんだろうな? 俺は容赦しないからな」

 と言ったら突然「死ねぇー―!!」と言って突撃してきた奴がいたので、

「フン」

  バキッッ!!!

 一発顔面を殴ったらのびたのか、そのまま気絶した。後二十九人か。とぼんやりとしながら空を見ていたら、

「全員、あいつを倒すぞ!!」

『おお――――――――――!!』

 と言って、全員で俺に向かってきた。数で突撃なんて、サル以下だな。と思いながら俺は、迎え撃つことにした。




「会長。校庭で乱闘騒ぎがおこってるようですが、止めに入らないと駄目なのでは?」

「そうですよー。でないと色々と言われますよー。」

「私もそうした方がいいかと」

「皆さんの意見は分かりましたけど、あの状況でどうやって止めに入るのですか?」

「こ、これは・・・・!」「うわ~」「なんだ、これは?」

 そこで彼女らが見たのは、突撃してきた奴らを片っ端から倒していく人影だった。

「どうです? これでも行きますか?」

「無理ですね~」

「そうですね」

 と二人はやめたが、

「だからどうした! 私は行く!!」

 と言って一人は出て行った。それを見届けた三人は、

「どうしますか?」

「私達も行った方がいいと思いますよ~」

「そうですね……でも、あの人の戦ってる姿はとても絵になっていますね」

「そうですね。まるでドラマの乱闘シーンを彷彿(ほうふつ)とさせる立ち回りです。こんな人がいたのですか」

「これはもはや、“天才”と言ってもいいかもしれませんね~」

「おや? 終わったみたいですよ?」

「どれどれ」「早いですね~」

 見ると、ひとりを除いて三十人が倒れていた。その時に立っていた人の顔を見たのか、

「あら? あの人は……」

「どうかしましたか?」

「いきましょう、みなさん」

「どうしたんですか~? いきなり~」

「ふふっ。あの人でしたか……楽しくなりそうです」

 と言って、割と早足で教室を出て行った。


「ふむ。やはり儂の目に狂いはなかったのぅ」

 学園長室にて。秘書っぽい人と、学園長は校庭を見ていた。

「一人で三十人も……どこの鬼神ですか?」

「あやつの資料を見たんじゃが、これがなかなかすごくてな」

「? いきなり話を変えられると困るのですが……どういった内容で?」

「小学校に上がる前から、警察から表彰状を貰っていたようじゃ」

「なにでもらったのですか?」

 資料をパラパラとめくりながら、学園長は言った。

「それが……おお! これじゃ! これ! ふむふむ。もらった理由が『ひったくり犯の逮捕』だそうじゃ」

「しょ、小学生になる前にそんな事件に遭遇していたのですか……」

「その後も『連続通り魔犯の逮捕』『強盗犯の逮捕に貢献』とかでもらってるみたいじゃな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「これで判ることはないかのぅ?」

「随分いろいろな事件に遭遇してるみたいですね」

「そう。本宮の子が言いたかったのは、おそらくそこじゃろう」

「? と、いいますと?」

「あやつがドラマを嫌いな理由。それは実際に事件に遭遇してるからじゃ」

「憶測ではありませんか?」

「そうかもしれんが、これがしっくりとくる理由じゃ」

「そうですね。しかし、この騒動に対する処遇をどうするおつもりで?」

「どうしようかのぅ」

 と学園長がつぶやいた瞬間、


    パリ――――――――――――――――――ン!!!!!!


 と窓ガラスが割れた。…学園長のすぐ横の窓ガラスが。

「だ、大丈夫ですかっ!? 学園長!!」

「大丈夫じゃ。あやつも、儂に直接やる気はなかったみたいじゃからのぅ」

「そういう問題じゃありません!? 誰がやったんですか!!」

「見ていなかったのか? あそこにいるやつじゃ」

「え!?」

 と驚いて窓ガラスの方へ駆け寄って校庭を見ると、

「あ、あんなところから投げたんですか……?」

「そうみたいじゃのぅ」

 校庭の中心に近いところからここまでは、実に百メートルくらいはある。そこからどのくらいの速さで投げたのかと想像すると、秘書っぽい人は顔を青ざめた。

「あ、ありえない。い、一体、どうやったらここまで投げられるんだ」

「投げられたものを見てみるといい」

 学園長の言葉で投げられたものを見た。すると、

「木刀? ……まさか、」

「木刀を投げてここまで来ること自体驚きじゃが、あのスピードにも驚くじゃろ?」

「で? どうするんですか? これは退学ものですよ? しかも、前代未聞です」

「じゃが、彼を手放すのは大変惜しいのぅ。ひょっとすると、大変な損害になるかもしれん」

「早く決めた方がいいですよ。…と、おや? 久し振りに生徒会が動いたみたいですよ?」

「録画しておいてくれ。儂は処分について考える」

「分かりました」

 と言って、学園長は彼らの処分について考え始めた。


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