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アイドルッ!  作者: 末吉
三幕・第八話~最後の練習と本番~
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8-2 月曜日午後

 不良どもに如月が絡まれる放課後。屋上からそれを眺めてから、俺は空を見てから「あいつか……」と言葉を漏らした。

 下から暴行する音が聞こえる。おそらく本気でやっていないはず。そんなことを考えながら「どうしたもんかな……」とカメラの前で呟く。

 それからぱったりと音がやんだので再び下を見た俺は、ため息を大袈裟についてから屋上を出ることにした。


「はいOKです!」

「おう」

 シーンの撮影が終わったとのことなので大きく息を吐く。

 そう、シーンの撮影。本来今日は俺の出番がないのだが、並行で駆り出された。理由は、「最後の殴り合いのシーンをつなげるための伏線を撮りたい」かららしい。まぁ滅茶苦茶にシナリオに設定をつけた以上、それをつなげるために伏線が必要なのだろう。

 そうなるとちょくちょく俺の出番が増えることにつながるのだが、それはもう割り切っている。提案した者の責務だ。

 とはいえこの構成は全く予期したものではなく、委員長が準備をしている俺に言ってきたのだ。さも俺が知っている風に。

 知らない俺が首を傾げてから頷いたら何とも言えない表情をしたが、そこは置いといて。

 ちょくちょくこういう場面が増えるんだろうなと思いながら屋上を後にした俺は、「もう出番ないみたいだし、悪いが先帰っていいか?」と委員長に一応許可を取って急いでバイトへ向かうことにした。

 真面目にお金がない!


 で、久々にバイトに来たところ。

 なぜか涙を流しだしたマスターにそれを慰めている常連客、そして客として来ていた光と美夏だった。

「どうしたんだよマスター。久々なのは謝るが、なんで泣いてるんだ?」

 手を洗ってから注文された料理を作りだしつつ聞いてみると、「お前がバイト辞めたんじゃないかって思ったんだよ」と涙交じりの声で言われた。

「いや、ここ最近マジでテストの練習で時間がなかったんだよ。今日はもう出番なさそうだからさっさと学校から来たんだ。やめたわけじゃねぇよ」

「そうか! いやー嬉しいぞ俺は!!」

 叫ぶマスターに同調するように「うんうん」と言う客たち。この様子だと頷いているんだろうか。

 どれだけ切羽詰まっていたんだよ……なんて呆れながら料理を作り終えていくと、「ほら久し振りのつとむの料理だ! 味わいやがれ!!」とか言いながらマスターが料理を運んでいく。

 俺が来ない間に一体何があったんだろうかと思いながら注文をさばききった俺は、問題の二人へ意を決して話しかけることにした。

「よぉどうしたんだ一体? 最近来てるのか?」

 俺の質問に対し、美夏は「ええ」とうなずき、光は「私はたまたまです」と返してきた。

「ですので、ここ最近のこのお店の事情にはちょっと詳しいんです」

「そうなのか。そんじゃ、説明してくれても?」

「構いませんよ……つとむ君がバイトを休みがちなのでそろそろ別のバイト場所を見つけたのかって噂がささやかれていましたのでこうなっているんです」

「テストの練習で来れるかどうかわからないって伝えたはずなんだがな……」

「私もそう言ったんですが、人間っていやな予想に走りがちになりますよね」

「なるほどな……ありがとよ美夏」

「どういたしまして♪」

 俺が礼を言ったら声を弾ませた美夏。よほどうれしいらしい。

 それを傍で見ていた光は何を思ったのか強い口調で「そういえばつとむさん! あの時聞き忘れたんですが、テスト大丈夫なんですか!?」と訊いてきた。

 それに対し俺は冷静に「もはや出たとこ勝負だな。無様な結果をさらさんように努力するしかない」と肩をすくめて答える。

「おいつとむ! ナポリタン!」

「了解!」

 何か言われるときにちょうど良くマスターのオーダーが来たので、そのまま厨房に戻ることにした。

 後ろから「着々と頑張ってますね」「そうですね。ところで光さん、あの時って……」なんて会話が聞こえたが、不毛な争いにしかならないだろうなと思った。

 結局二人は閉店一時間前ぐらいまでいた。


 バイトから帰る途中に結局いざこざに巻き込まれた俺は両成敗して帰宅し、茜のタックルを受けてからいつきの報告を聞き、夕飯を食べて寝た。


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