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アイドルッ!  作者: 末吉
第三幕・第七話~テストに向けて~
162/205

7-16 帰宅

たまにサブタイトルがかぶってないか不安になるときがあります

「やっぱり光さんすごい人気だったね!」

「まぁな……他の人たちの方がキャリアあるからそれに比例してファンも多い。それを差し引いてもうちのブランドって結構なものなんだな」

「え……今更!?」

 トークショーが終わり。

 会場の撤去と観客がまばらになっていく中、動かない俺達はそれぞれ感想を言い合っていた。

「にしても、ホラー映画、ね……」

「あらすじ聞いてても怖かったんだけど、お兄ちゃん関係なさそうだね」

「そうだな。最近忍者の幽霊に遇ったし」

「……え? 嘘だよね?」

「深夜の墓地で火の玉とか見たことあるし」

「も、もうやめようその話は! と、ととと、いうか、な、なんでお兄ちゃんは平気なの!?」

「特に害はなかったからなぁ」

「ええー……」

 何やら茜が脱力したが、ポルターガイストに遭遇とかガキの頃結構あったので薄れているのだ恐怖心が。トレーニングのせいも相まって。

 まぁ言う必要がないので話題を変えるように「これからどうする? 帰るか?」と質問する。

 時刻は午後二時。これから帰るとなると四時ぐらいになるのだろうか。電車やバスの時間をあまり把握してないから概算しかできないが、おそらくそのぐらいだろう。

 バイト休んでるから今月のバイト代ピンチ過ぎて泣きたくなるなと今更なことを思いながら見上げていると、「そうだね。何も買ってないし、光さんにお礼を言いたかったけど、時間も時間だし……帰ろっか?」と賛成したので、とりあえず光にドーナツありがとなとメールしてから「さて、帰ろうぜ」と茜に手を差し伸べた。


 と、これで素直に帰れるのが普通なのだろうが、俺の場合は問屋が卸さないらしい。

 まず俺のメールを見たらしい光が移動しようとした俺達に合流。

 興奮気味だったので落ち着かせてから茜と一緒に礼を言ったら途端に顔を赤くして視線を逸らされ、ごにょごにょと言われた。どういたしましてと言っていたようだ。

 それからテストの話になったのだが、光のマネージャーが彼女を連行していくのを黙って見送ることに。

 次にショッピングモールを出てバス停へ向かったところ、飛翔ほか数人が車の前で談笑していたのを目撃。

 スルーしようとしたらすれ違うやつにポケットの中身を掏られそうになったので反射的に合気道よろしく回転させて叩き付けてしまったのでバレた。

 そのまま警察が来るまで犯人を囲みながら飛翔達と話すことになり、その犯人の荷物をあさってみたらまぁ財布が出てきたので頭が痛くなりながら茜に「悪い」と言う羽目に。

 で、菅さんがいつも通り着て、みただけで把握したらしく顔面蒼白な犯人に手錠をかけて俺と茜までパトカーに乗せていつもの警察署へ。

 その道中。

「あんだぁつとむ。今回どうした?」

「掏られそうになった」

「……は? マジで? お前から財布掏ろうとしたのかあいつ」

「ああ」

「はぁ……馬鹿な奴もいたもんだな」

 とまぁそんな会話をした。

 で、警察署についた俺達は、いつも通り調書を取っていつも通りに解散することになった。

「今何時だ?」

「え、まだ四時前だよ。……というかお兄ちゃん、いつもこんな感じなの?」

「いつもってわけじゃないが……ほとんどこんな感じだな。だからここの職員と仲は良くなった」

「へぇーこんなことやってたんだ毎日」

「別に毎日ってわけじゃないぞ? 一年のうち半分ぐらいがこういうことってだけだ」

「多すぎるよそれ!!」

 慣れ親しんだ道を通りながらそんな会話をする俺達。

 茜と一緒にというのが違和感だが、まぁ家族の中で唯一一緒にいた上でこういう現場に遭遇しなかったからだろうと推測して空を見上げる。

 もうすぐ夏至だからかまだ太陽が昇っている。降りてくるまでまだかかるのだろう。

 別に暗闇でも俺は大丈夫だなと話題がそれたことを考えながら歩いていると、「そういえばお兄ちゃん、買いたいものはどうするの?」という質問で思い出し、ぼんやりと考えながら「別にいいや今日じゃなくても」と結論を出す。

「そこまで必要に駆られているわけじゃないし、ただの趣味だからなぁ」

「お兄ちゃんってさ、必要性で考えるよね。だから彼女も作れないんじゃないの?」

「あー……どうだろな。俺自身がやばいと思っているから必要以上の距離を詰める気も起きないのかもしれん」

「必要な距離感ってどのくらい?」

「家族は家族、友達は友達、先輩は先輩……って感じのちょうどいい距離感かな。俺から近づくことはほとんどないだろうけど」

「だろうね。お兄ちゃん、そこら辺のガードは厳しいからね」

 何やら体験したことのあるような物言いに俺は首を傾げ……ずに、昔を思い出しながらそう言えばそうだなと納得する。


 こうして、俺の手加減の練習は終わった……って。

「あ」

「どうしたの?」

「歩くスピードの調節体に叩き込んでなかった」

「今からでもいいんじゃない? どうせ帰るだけだし」

「……それもそうだな」

 こうして、本当に手加減の練習(歩行)は終わった。


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