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アイドルッ!  作者: 末吉
第三幕・第七話~テストに向けて~
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7-5 クラスに戻り

今週は短いです

 一階にある保健室に慎を寝かせてきた俺は体育館に戻って荷物を回収し、保健室の前に置いてから教室へ戻った。

 理由は慎が目覚めるまで緑川に見てもらっているから。野暮なことする気はないし。

 一応、加減はしたが不安なので保険医には軽く事情を説明して脳震盪などを確認してもらうようにしてもらったし、後顧の憂いはないだろう。多分。

 普通に教室に戻ったところ、相も変わらず空気が凍る。

 慣れてはきたが、なんだかなぁとため息をついてから「テストの時は手加減するからな、ちゃんと」と言っておく。

「そりゃそうでしょうに。君が最初にやったのと同じくらいの手加減じゃないと撮影にならないよ」

 普通に返してくるいつき。ほかの連中は何も言わない。

「おいどうした?」

 そう訊ねると代表して安井が叫んできた。

「お前の大声めっちゃ怖かったわ! マジで死ぬかと思ったぞ!!」

「……は? 慎も言っていたが、どうしてただ声を張り上げただけなのにそんな怖がるんだ?」

 まるで分らない俺が首を傾げると、クラスメイト全員が絶望していた。

「マジで……? 先輩すらも腰抜かしてたのにただ声を張り上げただけ……? 窓震わせてマジで死ぬかもしれないと思わせたあれが声を張り上げただけ……?」

「どんな生活してたらそんなことになるんだよ……」

 ぽつりと漏らした誰かの言葉に、しかし俺は答えることができない。

 どういう生活と問われると常日頃から生死と殴り合いが横行していた。もしくは地獄の特訓と事件遭遇の日々。まぁ簡単に説明するとこんな感じだが、こんな物でも答えられるものではない。

 正直其処まで深堀されたくないので「……それはおいとくとして、練習さっさとやろうぜ?」と話を置き換える。

「いや、そうだけどよ……」

「お前の常識外れな能力がな……」

 ああ、それは分かってる。重々承知だ。正直、小学生の頃から骨身に沁みている。

 だから頑張って手加減の練習しているんだろうが……なんて思ったが、どういったものかと思っていると委員長が手を鳴らして「八神君がすごいのは今に始まったことじゃないでしょ? そこはもう慣れるか切り替えるかしてさっさと練習に移りましょ?」と声をかけた。

 その言葉に異論がない彼らはさっさと行動を戻したようだが、俺はその発言にどことなく違和感があった。

 なんだろうか……ひょっとすると委員長と、俺は一度会っているのだろうか。

 根拠としては先の発言。考えすぎかもしれないが、俺のことを知っていても初めて間近で見ると大抵の奴は引く。だというのに、彼女はあの発言を平然とした。

 気のせいかもしれねぇけど。そう思いながら記憶を探っていると「八神君もぼうっと立っていないで参加して」と言われたので、「悪い」と返事をして練習に参加した。


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