3-1 お願い
増えるか減るか……まぁ前回ほどにならなそうですね
次の日、となると金曜日なわけだが……目が覚めたら俺は、床で寝ていた。自分の部屋についたという記憶はあるのだが、そのまま眠ってしまったらしい。ねむい頭を働かせて起きたら、
「おはよう、お兄ちゃん!!」
茜が俺の部屋の前に突っ立っていた。
「ああ、おはよう。俺、風呂入ってないよな?」
「うん。だって昨日のお兄ちゃん、凄く疲れたみたいだったもん」
「そうか。じゃ、風呂入ってくるわ」
と言うと、
「またぁ!? お兄ちゃん! ちょっとは私の事を気にしないの!?」
茜が怒り出した。
これは最早あれか? パターン化しているのか? そう思いながら、
「んで? 今日は何の用だ? まさか、挨拶するだけじゃないだろうな?」
と言ったら茜が、
「ち、違うよ!!? 今日はきちんと話すからね!!?」
と慌てて言った。俺に何の用があるんだ?そう思いながら、話の続きをまった。
「え、えっとね、明日は土曜日だよね?」
「そうだな」
「そ、それでなんだけどさ……お兄ちゃん、明日暇?」
と期待した目で訴えてくる茜。まぁ、暇なんだが。
「暇だが。なんだ?何処かへ行くのか?」
「本当!!? 実はね、明日から撮影があるらしいから一緒に行ってほしいんだよ!!」
「ふ~ん。撮影、ね・・・・・・・・・・・・友達といって来い」
「えぇぇぇ!!?? 妹をここまで喜ばせておいて酷くない!?」
「行きたくない、観たくない、近づきたくない」
「いいじゃん、行こうよ~」
とやっていたら、
「話は聞かせてもらった!!」
「ん?」「だ、誰!?」
「ならば私と行こうではないか!」
そこには、ふざけたおっさんがいた。
………………。
「さてと。茜、警察に連絡だ」
「うん。分かってるよ」
「ちょっと待て!! 実の父親にそれはないだろ!?」
「それで? 親父は何しに来たんだ?」
「ここでスルーか。お前はどこまでいってもお前だな」
それは当たり前じゃないのか? そう思ったが、口には出さない。
「んで? 何しに来たんだよ?」
「ああ。さっさと風呂入って、飯食え。じゃないと、遅れるぞ」
「……なにぃ!? こうしちゃおれん!!」
「お兄ちゃん、口調がおかしくなってるよ?」
「そんなの気にしてられっかよ!! とにかく! 話は帰ってきてからだ!!」
「えぇ!!? それはないよ!! ……って、待ってよ!」
俺としては、早く行かないと巻き込まれた時に遅刻が確定してしまいかねない。なので、急いで下に行き、シャワーを浴びるだけにし、朝食をとりあえずという事でパン一枚を加えて、急いで二階に戻って準備をした。
「と、とりあえず、行ってくる」
つ、疲れた。まさか朝から面倒なことになるなんて。おかげで、朝食はろくに食えなかった。
……仕方ない、コンビニ寄ろう。また余計な出費だ。
もうこうなったら遅刻なんて関係ない!! そう思って俺は自転車をこぎ出した。
行く途中でコンビニに寄って、時計を見たら七時半。このまま道中なにも無かったら、普通に学校に着けるなぁと淡い希望を抱きながら、再び自転車をこごうとしたら、
「あのぉ~、お聞きしたいことがあるんですけど……」
と声がした。幻聴か? それとも、誰かほかに人がいるのか? 後者の方だと思いたいんだが、生憎、うまい具合に誰もいない。と、なるとだ。俺に訊きに来た、ってことになるわけだが、
「交番は近くにあるわけだが、なぜそこに行かない?」
「え? あ、そ、そうなんですか? ですが、こうして訊いてしまったのですから、答えてくれませんか?」
「あ? …分かったよ。んで? 何が訊きたい」
んだよ? と言いかけて俺は止めた。いや、やめざるを得ない、の方が正しいか。なぜなら、
「久し振りに会話ができますね。憶えていますか? 私のこと」
と笑顔を向けながら俺に話しかけてきた。お前は――――
「誰だっけ?」
「えぇ!!? お、憶えていないんですか!?」
うっすらと憶えがあるが、誰だか忘れた。そんなことより、
「すまんが、そろそろ学校に行かないと遅刻しちまう。じゃ」
「ま、待ってください!!!」
「チッ。なんだ? この前の続きか?」
俺は急いでいるんだが。
「それもありますが…きょ、今日の昼休みに林に来てくれませんか!?」
「は?」
何の話だ? と訊こうとしたら、そいつは走っていった。いったい何だったんだ? なんて少し疑問に思ったが、
「あ、いけね。遅刻する」
学校の事を思い出し、そのまま自転車をこいでいった。
やっべぇ、またいつきにネチネチ言われる。