6-8:休憩その二
今回は短いです。
「CM入りまーす!」
ファーストステージが終わり、セカンドステージのセットへ移動する俺たち。
ちなみにせったくんさんは平均台で空気砲に打たれて落ち、SEIMIさんはハンマーのところであっさり撃沈。
見たところ落ちたらすぐに罰ゲームが決行されるようなので、俺は本当に、本当に、ほんっとうに安堵した。失敗したらどんな地獄が待っているかわからんからな。
というか司会の人達、歩いていただけなのにどうして『走っている』と……ああ。いつき達もそんなこと言っていたな、確か。
こりゃ本格的にやばいぞーと暗澹たる気持ちで移動していると、『白井』さんたちと合流した。
「お疲れ様です……『拓斗』さん」
「ご無事で何よりです『白井』さん」
すぐさま赤くなる。おい大丈夫か?
が、すぐさま咳払いしてから彼女は訊いてきた。
「よくクリアしましたね。どうやったんですか?」
そういや檻の中声なしで撮影していたけど三人で仲良くしゃべっていたなぁと第二障害物でちらっとステージに設置されているモニター(十メートルぐらい離れていたか?)を見て思った俺は、そのことについて触れずに「普通に避けて進んでキャッチしてゴールしただけですが?」とコンセプト通りの説明をする。
ぶっちゃけそれ以外に言う言葉がない。ただしキャッチに関しては言われた通り弾道を予測してあたりをつけ、その誤差を修正したうえで真上にあげることで回転を相殺しキャッチ……という完全な荒業を使っているが。
どこかの卓球マンガじゃバウンドさせずに台に返すとかいう技を使うやつがいたからな。あとテニス漫画にも。
マンガ読んでいたのかって? 古本屋で立ち読み。金なかった時代だし。
まぁやはり、最後の方を濁して普通に答えたのだが、通じなかったようで。
「プロデューサーさん達も騒めいていましたよ? 『なんであんなにすばやく移動していたのに一切ボールが動いていなかったんだ?』って。あとは、『回転を弱めるために真上にあげたって……普通じゃ不可能だろ』とか」
……だったら俺に聞くなと言いたい。
「本当にその通りなんですか?」
「……ええ」
非常に仕方なく、隠したかったことを肯定すると、彼女は驚いたのか立ち止まったらしい。
少し歩いてから振り返ると、数メートルぐらい後ろに『白井』さんが立ち止まっていたのを確認した。
「遅れますよ!」
「あ! すいません!!」
俺の声で我に返ったのか、『白井』さんがこちらに向かってきたので、次のステージが最大の鬼門だなと空を見上げてから肩を落として息を吐いた。
次回は二回戦!




