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アイドルッ!  作者: 末吉
三幕:第五話~矯正に乱入~
126/205

5-12 練習してみた

現在十六万文字突破しますた。これは長い(確信)

 と、いうわけで現在。


 俺を筆頭にヤンキー役となった奴らは、


 屋上に集まっていた。


 なぜ屋上なのかというと、他のクラスは台本の舞台とか体育館とかで動きなどの確認している段階らしいが、俺達に至ってはその段階に至っているかどうか怪しいので役分けでどの程度なのかを確認するため、それとたまり場と言えば屋上というイメージがあるから。

 俺はひとまず集まった十人の男子生徒を順にみてから「本当に俺がまとめ役でいいのか?」と質問する。

 それに対し移動中に自己紹介してきた野球小僧というイメージがピッタリな笠松が「お前が悪役のトップなんだからいいって」と言い、それに同調するように頷く残りの奴ら。

 ため息をついた俺は「言っておくが、俺のイメージする不良で染めるぞ。それで演技の幅が狭くなったとか言われても責任は持てん」と前置きしてから「まず睨み。相手を怯えさせるほどの眼力が必要だ」と説明していく。

「次に立ち方。基本的に集団で動く場合は先頭にリーダーを置くか、リーダーを中心に囲む形になる。一人二人だと横並びで動く。で、その際だが、立ち方に関していえばだれでもできると思うからそれに関しては言わない。歩き方に関しては大股だと下っ端感が出る。そして最後は口調。常に不機嫌そうに、そして、常に相手にケンカを売ってると勘違いされるほど挑発的に、だ」

「……なるほど」

 簡単に頷かれてしまったので「あくまで俺の、だからな」と念を押してから「とりあえずどの程度なのか五対五のカチコミを実際やってくれ」と提案する。

「なぁ、それって今のを踏まえてなのか?」

「いや? 別に自分が思う通りでいいぞ。それに、グループ分けもそっちに任せる」

 そして俺は距離を置き、全員が見える位置で座って「いつでもいいぞー」と言っておく。

「え、本当に?」

「そりゃそうだろ。俺正直全員の演技見てないからわからんし」

「それを兼ねてってことか、要するに」

「そういうこと。任された以上はやる。だからやってくれ」

 そういうと二人一組になってじゃんけんをし、負けたグループと勝ったグループに分かれたらしい。

 で、分かれたはいいが動こうとしないので俺は不機嫌を隠さずに言うことにした。

「どうした? やれないのかお前ら」

「いやー状況を決めてないから動くに動けないんだ」

「はぁ?」

 なんだこいつら。入りたくて入ったはずなのに決めてないから動けないだぁ? おいおいこの学園レベル低すぎるだろ。だから退学不可とか入ってるのか?

 あまりの残念な奴らにやる気が失せつつある俺は、しかし安易に助け舟を出すのもどうかと思ったので「二分で決めろ。そしてそれは俺に言うな。いいな?」と考えさせることにした。

 正直な話、これぐらいは振られたら出来なきゃいけない最低限のラインだと俺は考える。演技という観点からすると。

 俺にとってはどうでもいいので授業の請負になるが、即興エチュードという演劇の練習方法がそれに当てはまり、最初に演技する人の世界観を壊さずにいかに振る舞えるかというのを鍛えるものだそうだ。空気を読むのを鍛えるにもいいかもしれない。

 ともかく、この程度相談もなしでやっていけなければ本格的に絶望感漂うテストになるぞと考えていると二分は過ぎていたので顔を上げる。

 彼らはまだ話し合っていた。

「二分すぎたぞ」

 言われて彼らは話し合うのをやめ、対峙する。

 だが、正直な話二分ぐらい自分たちで確認すればいいと考える。時間は有限なのだから。

 まぁいいかそこら辺は。俺にも落ち度があるし。

 そう思いなおしていると、唐突に片方のグループの一人――笠松が張り上げた。

「おやぁ? わざわざ田舎から粋がって出張って負けたやつらがまぁだここにいやがったのか! さっさと荷物まとめて田舎に帰ったんじゃねぇのかよ!!」

 そう言われてもう片方のグループの一人――確か天然パーマだと言っていた藤田――が「はぁ? どこの誰が田舎に帰ったってぇ? 都会の不良ってやつは頭があほ過ぎていけねぇなぁ?」とあざ笑いながら仲間内に問いかけ、全員が賛同する。

 反対に、笠松のグループは「テメェらの方があほだろうが!」「なめた口きいてんじゃねぇぞ負け犬!!」などと売り言葉に買い言葉。

 ……セリフだけなら小競り合いに見えなくもないんだがなぁ。

 というのが、ここまでの流れを見た俺の感想。

 理由を挙げるとするなら動きのなさ。口上の時点でも細やかな動きがあるのだが、顔だけで全身動けていない。それは全員に言えること。

 二か月ほどやっているはずなのにこの動きのなさは流石にどうなんだろうか。普通じゃない気がする。なんて思いながら「もういいぞお前ら」と終了を促す。

「大体わかったわ」

「そうなの?」

「ああ。全然ダメだってことが」

 そう言い放つと全員が肩を落としてしまった。

 だが遠慮する気はないので言いたいことを言う。

「だってお前ら口だけで全然動いてないんだから。勢いだけはあるが、どうしても不良と言われると、首を傾げざるを得ない」

「マジで? ……言われてみれば動いてなかったけどよ」

 先ほどの自分を思い返したのか納得する笠松。他の奴らも自分の行動を思い返して納得している様子だったが、一人――櫻田が「でもさ、啖呵切っている時点で動きなんてほとんどないよ」と呟いたので、「少しは自分で考えろ」と突き放し、たとえる。

「お前たち少し距離が離れていたんだから互いに一歩ずつ動いたりすりゃよかっただろ」

『あー』

 気づいてなかったのか言われてみれば、という顔をする一同。そういうのも気づいてなかったのかと思う一方、本当に大丈夫だろうかと心配になる。

 こうなるとやって見せても教えられそうにない気がする。なんて考えていたことがおじゃんになったので代案を考え始めたところ、「だったらやってくれないか」と提案された。

「確かにあの時の演技はすごかった。だけどそれが今やった僕達とどう違うのか知りたい」

 どこまでも貪欲に。その言葉がピッタリな意思を示す木島に対し俺は瞬きをしてから、息を吐いて「分かったよ」と了承してからシチュエーションを考え「そんじゃ、俺が一人でお前たち十人に殴り込みかける状況な」と説明する。

「今からやるからちゃんと成りきれよ」

「え、心の準備ぐらいさせろよ」

「十秒だけな」

 そう宣言した俺は入り口まで戻ってから振り返って「そろそろ始めるぞ!」と叫ぶ。

 さて。言った手前真面目にやらないとな。


どこまで長くなるかわかりませんが、お付き合いください。

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