2-5 学園長の正体
ま、主人公が分からないだけですがね
「zzz」
「つとむ、もう一コマ目終わったよ。起きなよ」
「zzz……」
「ねぇ、つとむってば」
「zz…」
「もう、こうなったらこれしかないね」
「zzzz…………」
「(ゴニョゴニョ)」
「(ガバッ!)俺はそんなことをしていない!!」
俺の一言で辺りが静まりかえった。その原因をつくった張本人はと言うと、
「あ、やっと起きたね。全く、疲れてるのは分かるけどさ、説明してくれないかな?」
俺の目の前でそんなことを言いやがった。起こすためにあんなこと言ったのか?おい。と半ば俺が呆れていると、
「早く説明してよ」
といつきが催促してきた。こうなったらしょうがない。さっさと説明してさっさと寝るか。
そう考えて俺は、簡単に事の有り様を説明した。説明を聴いたいつきは、
「それは大変だったね。怪我とかしなかったの?」
なんて言ってきた。珍しいな、こいつが俺の怪我を心配するなんて。なんて思いながら、
「別に、どこも怪我してねぇよ」
正直に言ってから、
「三コマ目が終わったら、起こしてくれ」
言って俺は寝た。今は体力を回復させるのが優先だからな。話してる場合じゃねぇんだ。と考えていただろうが、そのまま意識がなくなった。
「全く、いつもいつも無茶をするね、君は。だから僕は心配しているのに・・・・・・・」
といつきが呟いていたら、辺りが騒がしくなった。それが誰のせいなのかはもう知っているので、いつきはそのまま放って置くことにした。すると、
「こっ、今度こそあなたという証拠が…って、あれ?寝ているんですか?」
と、近づいてきた光はそう言った。それを聴いたいつきは、
「朝から大分大変だったらしいからね。多分、今日は放課後まで起きないよ。残念だったね」
普通に状況を説明した。それを聴いて光は、
「あぅぅ、そ、そうなんですか・・・・・・・・・・・」
と言って戻っていった。
「全く、君は巻き込まれたことを全部解決しちゃうから、こんなことになるのに気付いているのかな? まぁ、僕もその内の一人なんだけどね」
いつきが微笑しながらそう言っていたことは、誰も気が付かなかった。
「さて、バイト行くか」
完全に回復したとは言い難いが、七、八割は回復しただろうな、と体をほぐしながら考えていたら、
ピンポンパンポ~ン!!
「八神つとむ君。至急、学園長室に来てください。繰り返します。八神つとむ君。至急、学園長室に来てください」
そんな放送が流れた。クラスの奴は、「おい、あいつ何かやったのか?」「昨日と今日で騒ぎに関わったから、それについてじゃない?」と言っていた。確かにそうだが、そしたら昨日の時点で、俺は呼ばれているはずだぞ?と思っていたら、
「取りあえず、行ってみないと分からないでしょ?」
と、いつきが俺の隣で言ってきた。
ん? これは……、
「ついて来るつもりか?」
「うん。」
即答だった。なので、俺はあえて返事をせずに、そのまま学園長室に向かった。
もちろん、急ぎ足で。
「えぇ!? ちょっと、それはあんまりじゃないの!?」
と言いながらも、俺の後を追ってくるいつき。
……にしても、学園長が俺を呼んでいるのか。一体どうしてだ?
「失礼しま~す」
「失礼します、学園長」
初めが俺で、後がいつき(本当についてきた。)の声。
早速中に入って視界に映ったものは、見覚えがある爺さんと、秘書っぽい人だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「って、あん時の爺さんじゃねぇか!! もしかして、学園長ってあんたなのか!?」
「ふぉ、ふぉ、ふぉ。朝は世話になったのぅ、八神君。そうじゃ、儂がこの学園の長、鯨井朱雀じゃ。よろしくな」
「あっ! 朱雀さん!! お久し振りです! 色々とありがとうございます!」
「本宮の子か。久し振りじゃのぅ。よくこの学園に入学できた…と言いたいところじゃが、お主にとっては当たり前じゃったかのぅ?」
「そんなことはありませんよ。むしろ、僕はつとむが合格したのは当然だと思っていましたからね」
俺が話していたはずなのに、いつの間にかいつきと爺さんが話しこんでいた。なので俺は、
「帰る」
と言って出ようとしたら、
「すまん、すまん。呼び出しておいてこの態度はなかったのぅ。早速呼び出した理由からいこうかの」
と爺さんが呼び止めた。
最初から話を脱線させるなよ、爺さん。と思いながら俺は、
「さっさと話せや、爺さん」
と言いながらソファに、いつきと一緒に座っていたら、
「学園長になんて口のきき方だ!!」
秘書っぽいやつが怒鳴っていたが、
「別にいいではないか」
「何故ですっ!?」
「そのように呼ばれても、儂は別に気にしておらんからじゃ。それに、こっちの方が親しみがあっていいじゃろ?」
「……分かりました。これからそのことについては、もう触れないことにしましょう」
と言って、一応口論が終わったようだ。壁に掛けられた時計を見ると、三時十分になるところだった。
やばいな。このままじゃぁ、バイトに遅れちまう。などと焦っていると、
「さて、君を呼んだ件というのは、食堂で起こった騒動についてではないから安心せい」
と言ってきた。俺はその件とは関係ないと思っていたんだが。
「で? 要件ってなんなんだ?まさか、今日のお礼を言うだけに、俺を呼んだんじゃねぇだろうな? だったら、俺は帰るぞ」
「ふむ。それもある。が、それだけではない」
「は?」
「お主、今日学校に遅れたのは自転車のパンクではなく、ひったくり犯を捕まえたからではないか?」
「それはそうだが…それで?」
「やはりか。まぁ、それは別にいいんじゃが」
「いいのかよ!!」
「さて。まずは礼を言うぞ。助かったのじゃ」
「どうでもいい。で?」
「その礼じゃが、どうじゃ? お主にぴったりなドラマがこの度撮影されるのじゃが、それの出演交渉権というのは」
「断る。邪魔したな、爺さん」
爺さんから、助けてくれたお礼の内容を聴いた俺は、即刻断りの返事を言って、その場を立ち去った。後ろから、「待ちなさいっ!! まだ話は……!!」と言っていたが、そんなのは無視だ、無視。そう考え、俺は廊下を走りだした。
もうすぐ百ポイントです。はやいですねー