第二章 白銀の大地
『本機は無事離陸し、安全高度に達した。シートベルトはもうはずしていいぞ』
西崎からの機内放送を聞き、涼たちは雪上車にシートベルトで固定していた体を解放する。ここから調査地域近くの着陸地点までしばらく優雅な空の旅である。
『よし。今回の調査内容をもういちど確認するぞ。全員兵員室に集まれ』健吾が車内放送で呼びかけた。
ラタトスク隊メンバー全員が兵員室に集まると、健吾は簡単なブリーフィングを始める。健吾は中央の机に今回の目的地であるJG20地区周辺の地図を広げると説明を開始する。
「我々はあと3時間後にJG19地区に到着する。予定ではここからJG20地区に移動だったたが少し行動計画を変更する」
「へ? なんで?」
グレッグが寝耳に水と言った声を出し、涼も眉をひそめた。出撃後の行動計画変更とはいつも堅実な健吾にしては珍しいことだった。
「日本国軍より発表があったんだ。多数のフェンリルの目撃情報が有り、JG18から22地区に置いての危険度レベルが引き上げられた」
クラスⅢ変異体フェンリル。その名前の由来通り全身を白い羽毛に覆われた狼をベースにしたと思われる変異体である。ただしただの狼とは比較にならないくらいに大きく、大型の個体では体長3メートルにもなり、さらには群れをなして行動するため襲われたら武装しているとはいえひとたまりも無い。
「もしかしてとんぼ返りですか?」グレッグの質問に健吾は首を横に振った。
「もう輸送機は飛ばしてしまっている。これを飛ばすだけでも経費は馬鹿にならんのだ」
「じゃあ……空中降下ですか?」
グレッグが恐る恐る尋ねると、健吾は首を縦に振った。
「そのとおりだ。我々はJG19地区に空中降下にて降り立つ。ブリーフィングが終わり次第、降下ユニットを車体に装着させるからな」
「があ! 面倒くさいなあ」グレッグが頭を抱えた。
空中降下は飛行場が整備されていない場所でよく使う方法だ。低空飛行した輸送機から降下専用の台車に乗せた雪上車を、人員ごと降ろすという少々無茶な方法だ。帰りは飛行場のある地点まで自力で帰らなければならないのだが、時間短縮にもなるし輸送機が危険にさらされないという利点がある。
「空中降下か……」凜が麻美の方を向く。「麻美ちゃんは降下訓練もやったのかしら?」
麻美は少し困った顔をする。
「シミュレーションなら一応……」
「実際にやるとかなり怖いぜ」
グレッグが怖がらせるようなことを言うので、麻美が眉をひそめて不安な表情をする。
「なに怖がらせるようなこと言うのよ!」
グレッグの額に凛のデコピンが炸裂。グレッグが声にならないうめき声を上げて額を抑える。
「とうとう来たか……」
凛のデコピンの威力が想像を絶するのを涼は身をもって知っていた。食らえば一日は痛みが消えないのは確実だ。今思えば今朝の寝坊の時に蹴りで済んだのが幸運なほどだ。デコピンで起こされるものならその日は厄日と考えていい。
「心配しなくても問題ない。順序を踏めば安全に降下できる」
健吾も痛がるグレッグを無視して麻美を諭す。
「そ、そうですか」
健吾の言葉に麻美が安心したようで顔をほころばす。
「話を続けるぞ。我々は降下後、陸路にてJG20地区に移動。JG20地区に入り次第、調査を開始する。現地の天候は晴れだそうだがどうなるかはわからん。うまくいけば明日の昼には帰れるだろう」
「うまくいけばねえ……」グレッグが痛々しく痣になった額をなでながら言った。
たしかに予定どうりに事が運ぶことはあまりない。八割方何らかの問題が発生するのがこの仕事の嫌なところだ変異体の襲撃や調査機器の故障、天候の悪化などである。
「説明は以上だ」
健吾が手元のファイルを閉じ、地図をしまう。
「全員抜かるなよ? それでは降下ユニット装着作業を始める!」
『了解!』
健吾の一喝とともに全員が答える。ラタトスク隊の士気は上々だ。
離陸から三時間でJG19地区上空に到着した。天候は崩れずに晴れのままなので、そのまま降下へと移る。隊員はそれぞれの持ち場について降下へと備える。
涼と凜は、風と雪を防ぐためのフルフェイスのヘルメットをかぶる。バイザー部分は多目的ディスプレイも兼ねており、各種情報が表示され、雪上車のレーダーやセンサー類とも連動している。凛のヘルメットにのみ獣耳を通すための穴が空いていた。
『通信テスト。みんな聞こえているか?』
ヘルメットに内蔵された通信機から健吾の声が聞こえる。音量・音質共に正常だ。
『聞こえてるぜ』
グレッグの声。まあ健吾の隣にいるのだから普通に聞こえているのだろうが。
『こちらも大丈夫です』
麻美の声がキーボードを叩く音と共に聞こえた。降下直前までセンサー類の最終チェックをしているのだろうか。ずぼらなグレッグに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
「こちらも大丈夫です」
『私もいいわよ』
涼と凛も返事をする。
『よし。完璧だな』
隊員全員の返事を聞き、健吾が満足げに通信を終了させる。
「ねえ」
凛がバイザーを開けて直接話しかけてきた。他の誰にも聞かれたくない話をしたいと言うことだろう。涼もヘルメットのバイザーを開き、通信機のマイクを切る。
「なんだ? いまさらびびってるのか?」
涼が笑ってからかうが、凛の面持ちは真剣だった。
「別にびびってないわよ……ただ嫌な予感がするのよね。なんとなく」
「マジかよ」涼はため息をついた。
涼は凛の第六感が本物なのを知っている。今までその第六感に助けられたことは多々ある。しかし降下前になって言うのはやめてほしかった。やる気がそがれてしまう。
「なんで今そう言うことを言うんだよ」
「いや……降下前にみんなに言うのもなんだかなあて」
「俺はいいのかよ」涼は頬を膨らませて抗議の意思を示した。
「涼は無神経だから」
凛はさらりとひどいことを言う。
「……しまいには怒るぞ」
「いや……その嫌な予感が麻美ちゃんからするのよね」
「麻美から?」
なぜ麻美からなのだろうか。涼は考え込む。麻美は幸運の天使だと思っていた涼にしてみれば凛の発言は少し驚きである。
「まあなんとなくだけどね。気にするほどではないかと思うけど」
「ふむ……」
涼は腕を組んで考えてみる。何か起こるとすればこの空中降下だが、麻美の担当するレーダー室は降下にはあまり関係無い。しかし凛の第六感も気になるところだ。彼女の第六感はあながち無視できない。
『投下三十秒前!』
西崎の声がヘルメットのスピーカーから響く。機体はいつの間にか水平状態になっている。降下体勢だ。
「とりあえず今は仕事に集中しよう。俺たちに出来ることはそれだけだ」
「そうね」
二人は言葉を交わすと同時にヘルメットのバイザーを降ろした。
涼は席の横にあるバーをしっかりつかんで降下のショックに備える。車外からは後部ハッチが開いたのか、風切り音が聞こえてきだした。
『降下カウント開始! 十・九……』
涼は意識を集中させる。意識を集中させると周りの音が聞こえなくなっていく。カウントする声も徐々に遠ざかるようだ。
『……二・一・投下!』
機長の声と共に雪上車が大きく揺れ、涼は降下が始まったのを感じた。
雪上車が輸送機から放たれると同時にパラシュートが展開され、その抵抗を受けて雪上車が降下スピードを急激に落としていく。そして雪上車を乗せている台車に取り付けられた姿勢制御用のブースターが小刻みに噴射を繰り返しているのが聞こえた。それらによって自動的に前後左右のバランスを取っているのだ。降下時間は一分ほどしか無いが、涼にとっては何倍にも感じられた。
やがて地上が近づいたのか衝撃を緩和するためにブースターが全快で噴射される音が聞こえた。いよいよかと涼は身を引き締める。対面に座っている凜も同じように身を引き締めたのが分かった。
そして着地。衝撃が車体を伝わり、そして静かになる。
JG19地区への降下が無事、完了した。
『車体の固定器具外せ!』
『了解!』
車体が降下すると同時に通信機から健吾の叫びが聞こえる。そしてグレッグの声と共に車外から連続した金属音。車体と台車を固定していた大量のフックが外れる音だ。
『生体センサー正常作動!』麻美の迅速な報告が後に続く。『周囲に生体反応無し! カザミ粒子濃度問題ありません!』
『よし! 後部ハッチ開くぞ!』
健吾の指示が矢継ぎ早に通信機を駆け巡る。涼と凛はすでにシートベルトを外して出撃準備はバッチリだ。
『後部ハッチ開くぞ!』
グレッグの声とともに後部ハッチが開かれ、室外の光が差し込んでくる。外の冷たい空気が、耐寒スーツ越しにも伝わって来て、身も心も引き締まった。
「行こう!」
『ええ!』
凛と涼もそれぞれの得物を持って外へ飛び出す。
「とうとう来たか……」
涼は外に出て思わず呟いた。視界いっぱいに広がるのは一面の雪化粧で、遠くの山々も白色に染まっている。まさに銀世界と言う奴だ。ここ数日雪は降っていないようで、地面の雪は固まっており行動はしやすい。
「雪上車後方クリア」
『雪上車後方クリア』
涼と凛は雪上車後方の安全を確認すると報告をする。続けて雪上車の周囲を涼が時計回り、凛が反時計回りに警戒しながら回っていく、そして雪上車の正面で再び合流。
「車体左側異常なし」
『右側も異常ないわ』
涼と凛が報告すると、健吾とグレッグが運転室の天井ハッチから銃を持って出てくる。涼はヘルメットのバイザーを上げた。顔に冷気が当たって筋肉が引き締まる感じがした。
「よし。車外点検を行う。麻美はセンサー類を頼むな」
『了解です』麻美が返事をする。
凛を警戒要員にして、他のメンバーは車外点検を行うことにする。降下時のショックで車体に損傷が無いかどうかを確かめるためだ。
「よっと」
凛は重さ十キロのM82を肩に担ぎつつ雪上車の上に飛び乗り、周辺の警戒を開始する。ネクストの視力・聴力は常人の域を逸脱しているので、こういった有視界での警戒に適している。ネクストがこの仕事で重宝される理由の一つだ。
「各部異常はないようだな」
三人で車体の点検を行い。なにも異常がないと健吾が言った。
「センサー・ユニットはどうだ?」健吾がレーダー室の麻美に尋ねる。
『各センサー異常ありません。いけます』
麻美の快活な声が通信機から聞こえた。これで点検は終了だ。
「よし!」
健吾が満足げに鼻を鳴らす。いつもならどこか降下時に一カ所は壊れたりするものだ。先ほどの凛の悪い予感から何かしら問題が発生するかと思ったが、涼はホッと胸をなで下ろした。
「隊長! ここいらで昼飯にしましょうよ」
「私も賛成! 腹ぺこぺこよ」凜も腹をさする動作をする。
「ああそうだな、飯にしようか」
「ご飯取りに行くわ」
凛はレーションを取りに行くため、いの一番に車内に戻る。よほど腹が減っているのだろう。
「マズイ飯の時間か……」
グレッグが操縦士のハッチから身を乗り出す。
「マズイマズイって言うからマズイんだよ」
「だってマズイのは本当だろ?」
「まあそうだけどさ……」
涼もヘルメットを脱ぐと、雪上車の上に腰掛けた。風は冷たいが日が昇っているのでそこまで寒くは無い。
「はい。持ってきたよ」凜がレーションを持って後部ハッチから現れる。「よっと」
そう言うと、凛はとなりに座って同じようにレーションを食べ始める。二人で並んで食事をするのは孤児院のときからの習慣だ。今こそ住んでいる場所は違うが仕事の時はいつも隣同士で食事をする。
「仲がよろしいことで……」
グレッグは皮肉混じりにぼそっとつぶやくと、そのまま車内に戻った。恐らくは麻美を誘う気だろう。
「さてと食べるか」
涼はタクティカルベストに入れたアーミーナイフを取り出す。そしてそれに付属している缶切りでフタをこじ開け、なにかの肉の煮物らしい中身にくらいつく。
「……マズイ」
甘いような辛いような苦いようなよく分からない味。さらに食感は肉とはほど遠くねちょねちょと異常に柔らかい。グレッグが言うことも良く分かる。
「そうかしら? 今日のは上々だと思うけど?」
「さいですか……」
凛が味の感想を述べるのを聞いて涼は呆れる。これを上々というのだから本当に舌が馬鹿になっているのだろう。
「まあ涼は食えれば何でもいいんでしょうけど」
「そんなことはねえよ。凛の手料理よか……」涼はつい余計な一言を口にしてしまって慌てて口を紡ぐ。
「ん~?」凛が眉間にしわを寄せる。「私の料理がなんだって?」
涼は黙って顔を背ける。
「!」
凛がいきなり立ち上がり、涼は反射的に防御体勢をとる。だが彼女は食べかけのレーションをハッチから車内に放り投げた。グレッグの「いて!」という声が聞こえたが彼女は無視して車体の反対側の雪原を見ている。
「どうした」
涼も空のレーションの残骸をハッチから車内に捨てる。「ぎゃっ」という短い悲鳴。
「おまえらな……」
グレッグが眉間を寄せて運転室のハッチから顔を出すが、凛の様子を見て押し黙った。
「フェンリルだ!」
凛の声と共に指揮官用ハッチが勢いよく開けられ、健吾が顔を出す。
「方向と数!」健吾が尋ねる。
「……三時方向。数は三。麻美。レーダーの方は?」
『こちらのレーダーでは反応ありません!』
麻美が申し訳なさそうに答えるが、無理もないと思った。凛の視線の先を見ても動く物体は目視できないのだ。ネクストである凛のたぐいまれなる視力と超感覚はレーダーの範囲外から接近するフェンリルを感じ取っているのだ。涼もタクティカルベストから単眼鏡を取り出しフェンリルを確認する。
「……見えた!」
遙か遠くの稜線の陰から三匹のフェンリルが現れた。白い体毛が保護色になって見えにくいが体長二メートルの巨体はそれでも目立つ。どうやら相手もこちらを目視したようで真正面からこちらを見ている。とその瞬間、先頭の一際大きい体をした奴が首をもたげて天に吠える。おそらくは群れのリーダーだろう。その咆哮は冷たい空気を通じ、遥か離れたこちらにも十分に聞こえてきた。その後ろからはさらに十頭のフェンリルが現れる。
「こりゃあヤバイね」涼はぼやいた。
「来るぞ! グレッグ発進準備!」
健吾が指示すると同時に、グレッグは車内に反転。皆も車内に戻る。フェンリルの群れも同時に疾走を開始する。
「急いでここから離脱する! 各員戦闘準備!」健吾の指示が車内から飛ぶ。
涼はヘルメットをかぶりなおす。ディスプレイには既にレーダー範囲内にはいったフェンリルの光点が表示されている。時速八十キロにもなる彼らの俊足は装甲雪上車との距離をあっという間に縮めていく。兵員室にある二つのハッチから上半身を出すと、涼と凛はそれぞれの得物を構えた。
『出すぞ! 振り飛ばされるなよ!』
グレッグの通信と共に雪上車が左右に暴れながら急発進。フェンリルからの逃走を図る。多勢に無勢、逃げるが勝ちという奴であるが、装甲雪上車の雪原での最高速度は六十キロ。フェンリルとの距離は縮まる一方だ。
「くるわ!」
凛が叫ぶと同時に彼女の持つM82が雷鳴のような銃声を発した。発射された弾丸はフェンリルの群れの中にたたき込まれ、雪煙ととも血しぶきも舞い上がった。直撃を食らったフェンリルは即死だろう。
『どんなもんよ!』凜は空になったマガジンを交換しつつ胸を張る。
「さすがにすげえ威力だな」涼はヒューと口笛を吹く。
だが立ち上る雪煙からは現れたのは、先ほどの攻撃をもろともしないフェンリルの群れだった。数匹を仕留めただけでは彼らの進撃は止まらない。
『くそっ!』
「だよなあ……」
涼もAKの射撃を開始する。7.62mm弾が群れの何匹かに命中するが、致命傷には中々至らない。強力な7.62mm弾といえどもフェンリルを仕留めるにはまとまった数をぶち込まねばならない。さらにフェンリルはこちらの攻撃を集中させないために散開し始めた。
『敵のリーダーを仕留めろ。統率を取れなくするんだ』健吾の冷静な指示が耳に入る。
「わかってますって!」
涼はAKに取り付けてあるグレネードランチャーにグレネード弾を装填し、群れのリーダーに向け照準を定める。群れのリーダーはそれを察知したのかジグザグに移動し始める。グレネ―ド弾なら広域を攻撃できるが、フェンリルの回避能力はそれを上回っている。もう少し狙いを定めたいところだ。
「側面!」
いつの間にか数匹のフェンリルが装甲雪上車と並走していた。そのうちの1匹が急速接近し体当たりを仕掛けて来ようとしてくる。彼らの体当たりを喰らえばこの車両も横転しかねない。
「左舷クレイモア用意!」
涼はハッチの入り口にあるカバーを開いた。同時に装甲雪上車の側面のカバーが開かれ、内蔵している近接防御用のクレイモア地雷の姿が現れる。
『くるわ!』
凜の叫びの通りフェンリルが牙を剥き接近。装甲雪上車の装甲すら貫く鋭利な牙がギラリと光る。
「発射!」
涼がカバー内のボタンを押すと同時にクレイモア地雷が炸裂し、装甲雪上車に飛びかかろうとしたフェンリルに数千個の鉄球が襲いかかった。フェンリルの身体半分がミンチになると共に真っ赤に染まり、雪原に叩き付けられる。他のフェンリルがそれを見て慌てて引き下がる。
「逃がすかよ!」涼は叫び、AKを放つ。慌てて距離を離そうとするフェンリルに弾丸が吸い込まれ血の花を咲かせてゆく。群れのリーダーが動揺したように追撃のスピードを緩める。
「チャンス!」涼はグレネードランチャーの引き金を引いた。
「ポン」という空気が抜ける音と共に、涼が放ったグレネード弾が放物線を描きながら群れのリーダーの進路上に着弾。爆風とともに雪が盛大に周りに飛び散り、群れのリーダーも回避しきれずに吹き飛ぶ。そしてそのまま雪面にどさりと落ちた。その体からは血が噴き出し、ぴくりとも動かない。周りのフェンリルが動きを止める。
『よくやった! あとは押し切れ!』
こうなったら力押しだ。健吾の指示を聞くまでもなく涼は弾倉交換したAKの引き金を絞る。凛のM82も火を噴き、残りのフェンリルに容赦ない弾幕が襲いかかる。指揮官用ハッチも開き、現れた健吾もAKで援護射撃を開始した。ほどなくして戦意を喪失したフェンリルは散り散りに逃げ始めた。
『涼と凛はそのまま警戒態勢を取れ。そのまま今日の予定ポイントまで全力で走るぞ!』
『了解。全速力で向かうぜ』
警戒態勢を維持しつつ。装甲雪上車は目的地へ向け全速で疾走していく。