遅れてくるヒーローは果たして悪役令嬢の味方なのか的な話
私はエリザベート・グリューネ。この王国の公爵家の娘。
「ちょっと、エリザベート様、どうしちゃったの?」
「サリー様・・・最近、夢を見るの。聞いて下さる?」
「あ~、もしかして、マリッジブルー?学園卒業したら結婚を前提にして王宮にすむのだからねっ」
隣でピンクの髪を揺らして快活に話すサリー様はダン男爵令嬢だわ。
公爵家と男爵家、生徒会で出会った。
「サリー様、違うの。何か・・」
「あ、殿下だからねっ!あたしは華麗に去るのだからねっ!」
「やあ、エリザとサリー嬢」
「殿下、エリザベート様を返すのだからねっ!」
バタバタと駆け足で去ったわ。
殿下ととりとめもない話をしてから屋敷に戻ると。
「ウエ~ン、お義姉様、大変なのです!」
義妹メリーが手を振りながらやってきたわ。その後ろを義母が追う。
「お義姉様の物は欲しくない。欲しくないのです」
「まあ」
「こら、メリー、エリザベートのドレスを着なさい」
そうだ。私の中等部の時のドレスだ。ダンスの練習用にあげたのだわ・・・
「メリーはお義姉様のドレスを着てはいけないのです。私は連れ子なのです。公爵家の血を引いていないのです。身の程を知るのです」
「まあ、そう言わずに・・」
メリーは勉学、マナー、ダンスを一生懸命に頑張っている。
「もう、中等部のドレスは着られないわ。メリーが着てくれたら嬉しいわ」
「ヒィ、無理なのです」
「そう・・・」
まあ、義姉のお古は嫌なのだろう。宝石をプレゼントしたが、泣いて拒絶されたときは悲しかった。
その時、義母様が目配せをしながら話しかけたわ。メリーに背を向けている。何かあるのかしら。
「そうだわ。エリザベート、話があるの・・・」
しかし、メリーが遮った。こんな時は良くある。そう言えば、お義母様と会うときは必ずメリーと一緒だ。
「お母様、今日の食事はなんなのですか?」
「こら、メリー、私が話しているのに!」
二人が来てから屋敷は騒がしくなったわ。
でも、何か足りないような気がする。順風満帆だが、何かあるような気がするわ。
次の日、授業は履修済みだが学園に行く。殿下と側近候補の方々とお話をしていたら・・・
「殿下、申訳ありません。資料を忘れましたわ」
「ほお、エリザベート、明日にしよう。そう言えばマリアンネの見舞いに行かなくてはいけなかった」
「申訳ありません」
「何、誰でも失敗はする」
マリアンネ様、王族で殿下の従姉妹に当たる。病弱な方だわ。王族だが身寄りがなく、殿下も気にかけておられるわ。
いつもより早く屋敷に戻ったら・・・
あら、サリー様がいる。隣には・・・メリー?
何故?はしたなくも柱の後ろから聞き耳を立てた。
「(おい、桃髪、エリザベート様、可愛すぎじゃねえ?遅れてくる災厄ヒーローは出てこないだろうな)」
「(フン、ちびっ子メリー、お前、小説じゃエリザベート様の物奪っていたけど・・)
「(しねーよ。それだけはしねー。ヘンドリックルートで確定だわ)」
「(それよりも病弱従姉妹のマリアンネ様を注意だ)」
ヒイ、何やら外国語で話しているわ。私は4カ国に精通しているけど聞いた事ない言葉だわ。時々、私、エリザベート、ヘンドリック殿下、マリアンネ様の名が聞こえるわ。
跳ねているような発音で、南方系の言語かしら・・・
カタッ!
「ヒィ」
思わず足音を立ててしまった。
「あ、エリザベート様、帰ったの?お邪魔しているのだからねっ」
「お義姉様、お帰りなのです」
「ヒィーーーー!」
逆に普通に話したから怖かったわ。
私は二人に背を向けて逃げた。
学園に戻ろう。いや、殿下のいる王宮に行こうかしら。
「エリザベート様、待ってーーー!」
「お義姉様、待つのです!」
屋敷を出て、馬車に乗らずに王宮に向かう。
屋敷を出たら、すぐにクラスメイトと鉢合わせをしたわ。
「やあ、エリザベート様」
「ハンイリッヒ様・・・」
隣国の王子殿下だわ。留学生だわ。
「実は屋敷で怪異が起きましたわ」
「なるほど、政変ですね。では我が国の大使館に行きましょう。匿いますよ」
「いえ、違いますわ・・・」
何かおかしいわ。
「待て~」
「待つのです~!」
二人が追いかけてくるわ。
「二人の様子がおかしいのです・・・それだけです。ヘンドリック殿下に相談しようと・・」
「さあ、我がゾマリ王国に行きましょう。・・・細工馬車に隠し部屋があります。王国を抜けれますよ」
ガシと手を捕まれた。
この現場を見られたら・・・・
すると二人に追いつかれた。
メリーとサリー様はハインリッヒ殿下の手をそれぞれつかみ。引っ張った。
「お義姉様、ずるいー!ハインリッヒ様とデートなのです。メリーは宝石を買ってもらうのです」
ハインリッヒ様におねだりを始めた。
サリー様は・・・
「キャアー、サリーにもドレス買って!」
また、おねだりだ。
「え、君たち、大事な話をしていたのだ。放し給え・・・おい、すごい力だ!」
私はこの隙に逃げ出し。屋敷に戻った。
「「「お嬢様!」」」
「慌てて出て行かれたので心配しました」
使用人達が心配してくれる。
「エリザベート・・・」
使用人達の騒ぎを聞きつけてお義母様が神妙な顔をして話しかけるわ。
「これをご覧なさい。メリーの部屋にあったノートですわ。必死の思いで持ち出したものです・・・」
中身は、また、未知の言語で書かれているわ・・・・
「言い伝えですわ。異界人の干渉かもしれませんわ。無視をしなさい。何事もなかったかのように過ごしなさい・・・」
「はい・・・」
「何か未知の力が働いていますわ・・・」
その後。
何とサリー様に聖女のジョブが発覚して。
ヘンドリック殿下の従姉妹マリアンネ様の病気を治したそうだわ・・・
王宮で陛下に面会をしたわ。
「これがもう少し早かったらヘンドリックの隣にサリー嬢が並んでいただろう・・・すまない」
「いえ、陛下、その通りでございます」
「陛下・・・そのハインリッヒ殿下は?見えません。卒業間際ですのに・・」
「うむ・・・帰国してもらった」
「理由をお聞きしても?」
「何でもゾマリ王国あてにツケで令嬢用のドレス宝石を大量に買い付けたそうだ」
「まあ・・・」
「エリザベートよ。近うよれ」
「はい」
陛下に耳打ちをされたわ。
贈り物の予算は王国の重要なある令嬢を落とすために渡された予算。
それを男爵令嬢と庶子に使われてゾマリ王国の国王は激怒。
穏便に帰ってもらったそうだわ・・・
屋敷に戻るとメリーは豪華なドレスを着て宝石で彩られていたわ。
「お義姉様、似合う?」
「ええ、メリー、とっても似合うわよ」
「やったー、なのです!」
そして、サリー様とも。
「サリー、びっくり。急に聖女になった感じだからねっ!隠していなかったのだからねっ!」
「そう・・・」
マリアンネ様は元気すぎて、毎日駆け足をしているそうだわ。
私は日常を受け入れることにした。この未知の力の正体が分かるまで無難に過ごした方が良いかしらね。
最後までお読み頂き有難うございました。




