表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Traumel  作者: アヤノ
6/7

第1章 出会い -1-

まばゆい光に包まれたと思ったら、巨大な掃除機に吸いこまれるようなすごい力で何かに身体ごと引っ張られた。そしてその苦しさから解放されたと同時に、ふわっと心臓が浮くような浮遊感があり、それが一瞬で終わったかと思うと、今度は背中からモフっとした柔らかいものの上に落ち、最後に何か柔らかいがずっしりしたものが香耶の上に落ちてきた。その重量感に、眩しさでしっかりと瞑っていた目を反射的に開く。視界に入ってきたのは見覚えある洋服と見覚えのない真っ白な天井だった。

上に乗っかっているのは美佐子だろうが一体ここはどこだろうと、自分の背後に広がる柔らかいものにそっと触れる。自分の部屋のベッドのシーツのような感触だった。

「うーん」という声が聞こえはっと美佐子を見ると、彼女も香耶の上に乗っているという状況に気付いたのか、香耶の両側に手をついて上半身を起こし、目をパチパチと瞬かせた。



「ミサ!!」



とりあえず現状を把握しようと頭を回転させながら、香耶が美佐子に声をかけようとした途端、それを邪魔するかのように、今度は聞きなれない男の声が聞こえた。その声が聞こえた瞬間、美佐子ははっとしたように香耶から視線を外し、ゆっくりと声の聞こえてきた方へと顔を向けた。



「ロナルド!!」



美佐子は妄想の愛しの彼の名前を呼んだと同時に、顔を向けている方へ駆け寄ろうと、少しだけ起き上がらせていた上半身をガバリと起き上がら、立ち上がろうとする。一体なんだと、その方向へ香耶も顔を向けようとした時、何か細いものにお腹の辺りを何かにぎゅっと締めつけられた。



「ぐえっ!」

「あーごめん香耶!ロープで繋いでたこと忘れてた。ロナルド、何か切るものない?」

「…ああ…ちょっと待って」



いきなりの締め付けに先程飲んでいたジュースを吐きだしそうになりながら、自分を落ちつける為にもう一度目を閉じて深く深呼吸する。

近くで、誰かがドタドタと走る音が聞こえる。

深く息をついた後、香耶がそっと目を開くと、白い天井が見えるはずだった視界に、戦争ものの映画の中で何度か見かけたことがあるような軍服を着た外国人が、サバイバルナイフなようなものを持って立っているのが見えた。



「……っキャー!!」

「え?」



外国人の男は、香耶の大声に一瞬ビクリと後ずさる。男は数回目をパチパチと瞬かせ、チラリと美佐子に目を向けた後ゆっくり頷き、ナイフを持っていない方の手を、香耶と美佐子の方へと伸ばしてきて、2人を繋いでたロープを手に取り、サバイバルナイフでそれを切った。



「………あ、そっか」



パニックに陥ってる最中に、戦争映画でしか見たことないような服を着た男が武器を持って自分たちに近づいてきたものだから、香耶はその前の美佐子の発言をすっかり忘れていた。事が終了した後、自分の勘違いに顔を赤く染める。そんな香耶の勘違いに気付いたのか気付いていないのか、美佐子は香耶の上から降り、2人が倒れこんでいたものから降りて男の横に立ち、香耶を引っ張り上げ上半身を起こしてくれた。どうやら2人はベッドの上に乗っていたようだ。「ありがとう」と美佐子に言いながら、チラリと男を見ると、男はその視線に気付いて、香耶を見てにっこりと笑った。



「君が噂のカヤさんだね?」

「あ……はい」

「僕はロナルドだ。ミサから聞いたかもしれないけど…」



そう言いながら、ロナルドという男は照れたようにポリポリと頬を掻き、そして美佐子の方を見る。それに釣られたように香耶も美佐子を見れば、美佐子はロナルドにほほ笑んだ後、香耶へと目を向ける。



「彼が話していた私の婚約者、ロナルドよ」

「ああ………ええー!?」

「ふふ、かっこいいから驚いたでしょう?映画俳優と言っても過言じゃないものね」



そう言いながら、美佐子は横に立つロナルドの腕に自分の腕をからませる。ロナルドはその触れ合いを待っていたとばかりに美佐子の頬へ、キスを落とした。

まさか本当に存在するなんてという驚きの声だったのだが、上手い具合に美佐子が勘違いしてくれたので、「うん、そうだね」と口元をひくつかせながら美佐子とロナルドを見る。「ああ、会いたかった」「3日がこんなに長いなんて思わなかったよ」とかなんとか言いながら、美佐子とロナルドは香耶の存在すかっり忘れ、キスを繰り返している。なんだか見てはいけないものを見ているような気がして、香耶は目の前の2人からそっと視線を外した。ベッドの横にあったのは大きな鏡。美佐子の部屋にあったものとそっくりな代物だ。

まさか本当に世界を渡ったんだろうかと、あり得ない現象にぼんやりとしていると、ゴホンとせき込む声が、ロナルドと美佐子の背後から聞こえた。



「久しぶりの再開で興奮するのは悪いが…私の存在を忘れないで貰いたい」



その声にはっとしたように、ロナルドと美佐子が背後を振り返り、そして2人は慌てたようにその声のした方へ、謝るかのごとく深々と頭を下げた。




すみません、間があきまして。しかもあんまり完成度良くない…

21日、とりあえず訂正だけ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ