表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が弱いので後宮には向きません  作者: summer_afternoon
青巾隊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/133

No.15緩い監禁生活



No.9に渡したので、自分用の設計図を紙に描いておいた。記憶にあるうちに。

ところで、どんなふうに窓が塞がれているの?

やっぱ、実際に見ないと分かんないよね。


馬に乗り、(セイ)と一緒に出かけた。あー、仕事溜まっちゃってる。


屋敷はポツンと一軒家。それは、皇族がお忍びで訪れるから人目を避けるためだろう。

ねぇ、星輝(せいき)だったら、どうやって助ける? 窓なんて火薬で爆破しそう。


道側から、塞がれた窓は見えない。

星はそわそわしていた。やっぱり、ここにNo.15がいる。



「あ、星」



行っちゃった。

飼い犬だったら「犬が逃げました」って庭に入っていける。狼なんだよね。いっかぁ。犬として飼ってるんだから。下馬。



「星、入っちゃダメだよ。失礼します!」



なるべく大きな声を出し、屋敷の庭へ足を踏み入れた。

雪の上に転々とある星の足跡を追う。

途中、雪が溶けている部分があり、レンガでできた煙突があった。溶けているはず。メンテ用の鉄の入り口が少し開いている。おおーっ。温っかい。閉めた方がよくない? 冷気が入るし。鉄の扉を足で閉扉。だって、熱そうだし、服が汚れるの嫌じゃん。(シン)には絶対に見せられない姿。


星は建物の裏手、板を打ち付けられた窓の下でお座りし、尻尾をゆらゆら揺らしていた。



「星、帰るよ」



真っ白な雪が庭を覆っている。庭の裏手に垣根はなく、少し離れて山。

誰も出てこない。耳を澄ますと、甘い声が聞こえた。



「うふ。これはどうかしら。あら、かわいい。ぴくって動いたわ」

「かわいいなんて、オトコなのに」



No.15の声も。



「ダメなの?」

「いえ、いいです」

「あら、そんなに立たせて。やっぱり男の子ね。ほーら」

「こんなこと、やめましょう」



なになになに。何やってんの?



「うふ。怖いの?」

「……」

「怖がらないで。いつもみたいに優しくしてあ・げ・る」

「そんな風にからかって」

「こっちに来て♡」

「ヤられますよ」

「……あっ」



ぷぎゃー



そこで怒った猫の声がした。なんだ、オスの猫が毛を逆立てていたのね。



「大丈夫ですか?」

「その心配する目、いいわ! 猫耳つけて。ほら、わんこも作らせたの。これで」 

「しねーし」

「ごはん、大盛りにしてあげるから。クーンってやって」

「クーン」

「よしよし。いい子」

「あの、胸で窒息しそうです」



なにしとん。


星は、腰を上げ、首を傾げてから、後ろの山の方にととととっと歩いていく。雪原を越えて追うと、山の手前を流れる小川で水を飲んでいた。



「喉乾いてたの?」



思わず星に「困ったね」と話しかける。

窓がいっぱい。しかも、監禁の部屋の窓は想像以上の塞がれ方だった。板。自分は、両開きの窓が開かないよう、合わさった部分を1、2箇所固定してある状態を考えていた。

家が損傷することなどお構いなしに、窓は板で覆われ、厳重に塞がれていた。釘抜きを使うとしたら100本ほど抜かなけらばならない。盛大な音がしそう。


爆破だ爆破。



「星、もう、屋敷の方通るのやめよう。よそのお家だから、ね」



小川に沿ってなだらかな坂を歩き。十分屋敷から離れた場所で道に戻った。

馬を呼ぶ。賢い子だから、私の声に反応して来てくれる。

帰る途中、ぼーっと窓を爆破することを考えていて、道を曲がり忘れた。気づけば小川に沿って馬を歩かせ、徐々に民家が増えていた。

地図を確認すると、皇室別邸近くだった。







翌日、No.9は、劉氏(リュウし)と共に、麗様と私の家に来ていた。



「鍵を手に入れました。珊瑚(シャンフー)様の推測通り、鍵は1種類でした」

「買ったお店が分かったのですね」

「さっすが(かん)ちゃん」

「っ!」



事前に話されていたのか、劉氏は、麗様の無礼な言葉にぴくっと反応したけれど、(こら)えていた。ウケる。



「子熊の足を鎖で繋いで飼いたいと、ギルドに店を紹介して貰いました。大きな街とはいえ特殊な品、そう何軒もない。なぜか、皇族が使う店を紹介されました。素性など言わなかったのに」


「宦ちゃんみたいな若造が劉氏様を連れてたからだよ」



と麗様。

劉氏は武官の服。貴族である武官を従えている若者なんて、相当な身分と分かる。宦官と思われたのなら尚更その店。宦官が仕えるのは皇族しかいない。



「そうか。今後気をつけよう」


「今回はよかったじゃん。皇族が使う店紹介されてさ。ビンゴだったんだろ?」


「ああ。ちょっと前に皇帝の弟んところから注文があったってさ。ヤバい性癖じゃないかっつってた」


「ヤバい性癖?」



と聞き返す麗様をNo.9が「ぷっ」と笑う。

あら? 麗様、知らないのね。私、分かるよ! SとかMとかってやつでしょ? 大人〜な書物のおかげ。



「麗はそっち方面は博識じゃないのか?」

「動物に襲わせてってことか? それとも飼う?」

「おい、こっちの想像の遥か上を行くな」



いろいろとマイノリティな性癖があるのですね。勉強になりました。あの程度の猥褻な書物での知識など、足元にも及ばないほど、エロの世界は壮大なのですね。

劉氏は眉間にシワを寄せ、口を一文字に結んで心を痛めている。



「鍵がありゃ、こっちのもんだな」


「同じ製品の鍵です。鋳型が1つしかないので、これしか作らないと言っていました。食事を運ぶとき、この鍵を、料理人から第15皇子に渡してもらってください。鍵がかかっていなくても、もう1つアクションをしなければ足輪は外れません。見た目には、鍵がかかっているように見える」


「料理人は、そのようなことを頼める方じゃないんです」



拒否。



「銀子を弾むと言えば、大抵言うことを聞きますよ」

「できませんっ」



絶対にハニー料理人を巻き込まない。危険。No.9は怖い人。

阻止しなければ。口封じのために殺される可能性がある。


(かたく)なな私を見て、麗様がストップをかけた。



「な、私が(ちょく)で皇子に渡してきてやるよ。どこだ?」



そのとき初めて、麗様に屋敷の場所を伝えていないと気づいた。馬車の中でNo.9に説明するとき、ゴリラと毛モジャからもらった(てい)さんの家の地図に文字で書き加えた。麗様は文字を読めない。


説明すると、ミラクルなことが判明。



「そこ、得意先。私が定期的に宝石を見せに行ってる。あの人のおかげで歩合給ががっぽりなんだよね」



聞けば、10日に1度訪れているそうな。ごっつい太客って。



「麗、すっごーい」



ぱちぱちと手を叩く。



「よっしゃ。珊瑚、ちょうど明後日だ。一緒に行こ。私が接客してる間に届けて」



瞬時に頭の中に設計図を思い浮かべる。鍵を渡すだけならできる。



「うん」



そんな私達2人をNo.9は「私は蚊帳の外ですか」とつまらなさそう。



「宦ちゃんの仕事は、失敗したとき東宮に知らせて、珊瑚を助けることだ」



麗様の言葉に、どきりとする。もうすっかり忘れていた。私はどこまで逃げても東宮の側室。それは否定できない。そして、私が東宮の側室であるかぎり、捕まっても簡単には殺されない。と、思う。たぶん。どっかなー。5番目だからなー。


とりあえず、No.15に鍵を渡し、次の機会を待つことになった。



青巾(せいきん)の2人と違って都に運ばれることはない。ここの方が安全だから。移送する道中の検問所も危険、幽閉するとしても、宮廷は東宮殿も若葉宮も目と鼻の先。都は危険極まりない」



鈍色(にびいろ)の鍵を預かった。No.15に渡すのは明後日。


No.9と劉氏が帰った後、設計図を見た。

No.15が監禁されている部屋には、メンテ用の入り口がある。それは、一方は(かまど)に、もう一方は別の部屋を通って煙突に繋がる。


明後日、下調べをしよう。オンドルの中が火傷するほど熱かったら、別の方法。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ