表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が弱いので後宮には向きません  作者: summer_afternoon
青巾隊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/133

白い夜の火消し隊①

テーブルの上に街の地図を広げた。火事にあった寺を探すとき、猟師に見せるために買ったもの。


青巾(せいきん)のゴリラと毛モジャが投獄された牢を確認。

それから、学院、学生寮、別邸。皇帝の弟の宮殿。

帝国北東のこの地は、皇帝の実の弟が治めている。同じ母の元で共に育ったせいか、皇帝とその弟は仲がいいと聞く。

じゃ、ここ?

私は、街の中心にでーんとある、大きな宮殿を見た。大きいと言っても、東宮殿くらい。皇帝が暮らす宮廷に比べれば、1/3。それは後宮がないことが大きい。



(セイ)、ちょっとバイトの出しに行くね」



私は、書き写した紙の束と地図を持って街に出かけた。


仕事を提出し、バイト代を貰った。雪で家に(こも)るからなのか、寒くて人恋しくなるからか、冬は書物がよく売れると聞いた。ちょっと猥褻(わいせつ)な恋愛モノが。

恋愛かぁ。逃した魚は大きいって(リー)様が言ったけれど、星輝(セイキ)との思い出が鮮烈すぎて、愛だの恋だのって心がカピカピに乾いている。


見上げた空はどんよりとして雪が後から後から落ちてくる。寒い。

この雪雲の上に、セルリアンブルーの空があるのかな。




牢の付近に行ってみた。牢の前に、青巾隊(せいきんたい)30名ほどが青い(きん)を頭に被って道に座り込んでいた。体を寄せ合い、寡黙なまま。青い巾の上に白い雪が積もっている。それをときどき払いながら。

凍死してしまう。そう思って見ていると、近所の人なのか、熱い湯気の出る汁腕を差し入れしていた。


皇帝の弟の宮殿を馬で一周。

ここには入れない。堀と城壁があり護衛がいる。


学院と学生寮の前を通ってみた。特に変わった風には見えなかった。

No.9とNo.15が暮らす皇室の別邸は行けない。私の顔を知る者がいるかもしれないから。


麗様の職場へ行き、終わるのを待った。



「は? 皇子とゴリラと毛モジャが?」

「なんだって。(かん)ちゃんが言いに来てくれた」

「ゴリラと毛モジャ、死ぬぞ」

「え。拷問ってこと?」

「冬の拷問は水かけるんだよ。ここじゃ凍る」

「でもでも、ほら。何かを白状させるとかって目的はないじゃん」

「どーかなー。いい役人引けばいいけど」

「皇子は大丈夫かな」

「そっちは簡単に殺せないだろ」

「もし皇帝の命令だったら?」

「それでも。前に言ったじゃん。(さら)うより殺す方が簡単って。拐われたなら、たぶん殺されてない」



麗様と私は、ゴリラと毛モジャの投獄命令を下した人とNo.15を拐うよう命じた人は同じだと考えた。両方とも同じ日に起こったから。



「訊こう」

「誰に」

「珊瑚、飯行こ」



え、訊くんじゃないの?

麗様は、途中で青い巾を購入。食堂に入った。店内には制服姿の役人がちらほらいた。通路を挟んで役人3名がいるテーブルに座った。



「あの落ちていました。こちら、違いますか?」



麗様は青い巾を隣のテーブルの役人3名に見せる。



「いや」

「違う違う」

「青なんて。あいつらの誰かじゃないのか?」


「あいつら?」


「兄さん、知らないのか。牢の前で青巾(せいきん)のヤツらが座り込んでんだよ」


「青巾?」



麗様ったら流石。役者だわ。



「青巾の乱起こしたゴロツキだよ。実は(えん)マフィアって話じゃないか」


「怖いな。捕まってなかったんですか」


「おうよ、兄さん」

「東宮が制圧に行って、見逃したんだとさ」

「ははは。甘いなぁ」



言い方にちょっとムカつく。



「10万人規模の暴動を鎮めたって聞きました」



麗様、よくぞ言ってくださいました。



「あのとき捕まえてくれれば、オレらの仕事減ったのに」

「ま、昨日捕まえたし」


「青巾の乱ってかなり前でしたよね。今更、どうしてなんでしょう」


「さーな。勅令(ちょくれい)だとさ」



勅令。皇帝からの命令。



「未だに仲間で(つる)んでるしな」

「若者が青巾被るの、流行ってるしな」

「兄さんは、被るなよ。反逆者ファッションなんてとんでもない」


「じゃあ、これは、後で落とし物として店の人に渡します」



情報ゲット。けれど麗様はそれで終わらなかった。

言葉巧みに拷問について聞き出す。



「水かぁ」

「オレにはできん」

「アイツだったらやるな。取り調べなんてなくても」

「ああ。新人キラーだもんな」

「明後日の朝には凍死か」



更にはリクルート活動まで。



「今の職場、いいとこなんですけど、給金が歩合制なんですよね。やっぱ、妹いるし、安定とか考えちゃって。夜勤ってシフト制ですか?」


「シフト。夜勤翌日はオフ、めっちゃホワイトだよ」

「悪いな、兄さん。空きがない」

「空きが出ても、いい職場だから、コネで決まっちまう」


「残念です」


「ま、よほどの失態がなきゃ、安泰だもんな」

「ないない。囚人が多すぎて管理できない。死なせてもお(とが)めなし。逃げてもしばらくは気づかれない」



この街は人の流入が激しく、人口が増えている。都市化して犯罪も増えた。けれど牢は何十年も前から変わらない。牢の中は過密。部屋は寝転ぶと隙間がなくなるほど。そんな説明を受けた。


最後、麗様は言われた。



「じゃな、兄さん。もし空きがあったとき、オレらが昇進してたら、コネで入れてやるよ」


「よろしくお願いします」



いろいろ分かった。明後日の朝には凍死している。それは、明日の夜の担当者がヤバいヤツって意味だよね。だったら、今夜か明日の夜に助け出さなきゃ。


食堂を出ると、麗様は道を歩いていた見すぼらしい男を呼び止める。



「訳あって、交換していただきたいのです」



と雪を弾く紫紺のマントを男に差し出す。男が(まと)っているのは、(みの)。めちゃくちゃ感謝されながらの交換。


麗様は青い(きん)を頭に巻き、蓑を着て牢の前に座っている集団に紛れ込んだ。なるほど。紫紺のマントはオシャレで浮いてしまう。

しばらく待つと、戻って来た。



「何話したの?」



尋ねると、麗様は指を折りながら話す。



「明後日の朝には凍死してるって役人が言ってたから、それまでに助けないといけない。役人の食事の時間と交代の時間。夜勤は3人体制。牢は過密状態で逃げて減っても、しばらくバレない」


「麗、バレるよ。ゴリラと毛モジャだよ。個性的じゃん。顔、覚えられてるよ、きっと」


「牢だったらヒゲ剃らない人いっぱいいるから、毛モジャみたいなのは多い。ゴリラの方も、飲み屋や裏路地で喧嘩する人に多い体型。兵士にも多いじゃん」


「え、そーなの?」



アゴ割れてるイカつい系。



「珊瑚、あの手の人、周りにいなかっただろ」

「うん」

「恵まれた環境だったんだって。私の周りにはごろごろいた」

「そっか」

「じゃ、次は宦ちゃんに会ってくる。珊瑚はどっかで待ってて」



雪が降る日。寒いから風呂屋の宴会場で待つことにした。風呂屋の横には、風呂を沸かす熱で暖めた広い宴会場がある。男女は別々に風呂に入るから、待ち合わせ場所になっている。


お茶を飲みながらぼーっと待っていると、麗様が戻って来た。



「珊瑚、お待たせ」

「麗」

「宦ちゃんがゴリラと毛モジャに差し入れするって」

「差し入れ?」

「皇子からの差し入れってことにするっつってた」

「なんで?」

宦官(かんがん)じゃ効果ない。帝国の皇子が差し入れすれば、少しは丁寧に扱ってもらえるはずだって言ってた」



きっとNo.9は、第9皇子として差し入れをする。



「酷いことされないなら安心」

「これで役人にはされない。同室のヤツらにはされるだろーけど。で、皇子」

「皇子?」

「いなくなったこと、東宮に知らせる文を送ってあるって」

「そんなの、いつ着くんだろ。都からこの街まで、すっごいかかったよね。ウチら」

「んー。大運河使うだろーから、陸の半分くらいかも」



この国には、南北に走る大運河がある。



「そーじゃん。それがあった」



それでも知らせが着くまでに何日もかかる。


あまりに無知でした。

活版印刷は中国発祥だったのですね。しかも1040年ごろ。活版印刷の前は木版印刷でした。

グーテンベルグの1445年までは手書きか木版だと思っておりました。発行部数が少ないものは手書きだと。多くの人が字を読めないので、それで成り立っているのだろうと。

珊瑚が書を書き写すアルバイトをしている設定です。問題ありです。思案中です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ