表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が弱いので後宮には向きません  作者: summer_afternoon
術解き

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/133

恋の自由傷つく自由

読んでくださってありがとうございます。

「男が男を見る価値観」を「別れはリ・スタート」と「恋の自由傷つく自由」に変更しました。

「被契約書偽造詐欺①」「非契約書偽造詐欺②」の話を追加しました。No.9が登場します。

ストーリーの内容に大きな変更はありません。

No.15からは質問攻め。



「どーして? もうガキじゃないのに?」

「歳の問題じゃなくて」

「ガキじゃなくなったから?」

「……」

「皇帝?」

「それは解決してそう」

「じゃなんで?」

「なんでも」

「身分捨てるほど嫌?」

「身分はどーでもいい」

「あんな完璧な男いねーじゃん」

「完璧?」

「細マッチョ、イケメン、頭脳明晰、人望あって、性格OK、優しい、決断力あり、金持ち、次期皇帝」



と、そこでNo.9が「EDのことなら心配ないよ」とちゃちゃを入れる。



「男の人が考える完璧って、すっごく変」

「変?」



他の人がどう見てたって関係ない。私がどう思うかだけ。

No.15が「まさか」と続ける。



「『自分だけを想ってくれる人と、たった1つの恋を貫く』ってやつ?」



まだ覚えてるの? その願いはかなうかもしれない状況になった。けれど、それを一途に目標に掲げているわけじゃないよ。



「自由の味をしめちゃったのかな」



何をするのも自由。食事、行くところ、住む場所、誰と会うか。もちろん恋も。

傷つくのも自由。



「それはオレも。学生って結構自由」



自分の人生もままならないNo.15の言葉は重い。バックれた私より。今、No.9と2人で出歩ける環境は尊いよね。

互いに顔を見合わせて笑う。



「夜ふらふらしちゃってるんだもんね。こんな時間に何してたの?」



尋ねると、皇子は、「んーっと。飲んでた?」と視線を逸らす。

No.15の顔を覗き込む私に、No.9が告げる。



珊瑚(シャンフー)様、妓楼(ぎろう)に行ったのですよ」

「黙れ。オレはお前を待ってただけだ」



妓楼って、男の人が女の人とあっはーんなことをできる場所。



「なにせ、皇子の閨房(けいぼう)教育を任されておりますので」

「断る!」

「全く。戦場に娼婦が来ても、我関せずという奥手だと兵士が噂する始末」

「オレはお前と違う。だいたいまだ16」



そこで、(リー)様がしつもーん。



(かん)ちゃんはタマナシなのに、どーやって女遊びすんの?」


「男ってのは、そんなもの取り払っても、頭にエロが残ってる。脳が求める刺激は、体より歪んでいてスッゴイぞ。試すか?」



きゃー麗様が毒牙に!



「要するに、変態か」



一蹴された。

No.15がわざとらしく、「ぷっ」と笑う。


No.9はお目付け役の仕事に戻った。



「皇子、帰りましょう。夜更けにレディの宿の前にいるのはいけません」

「わーった。じゃ、珊瑚、明日」

「皇子、明日は夕方まで授業があります」

「じゃ夜」

「皇子、夜はなりません」

「だったら明後日」

「皇子、明後日も夕方まで授業がある上に、皇子は追試です」

「明々後日」

「皇子、では明々後日の昼食を手配します」


美味(うま)いもん食おーぜ。宦ちゃんのおかげで銀子が手に入ったから、奢るし」



と麗様。帝国の皇子って知らないから言える言葉。



「いいって。こっちは経費だから。気にするな」

「マジ? 宦ちゃん、あざーっす」



No.9はいつまで麗様に正体を伏せておくつもりなのだろう。




次の日から、私達は聞き込みを開始した。

北の山、火事、術師、寺。17年ほど前のこと。


現在30代の馬宿の夫婦が、山火事を覚えていた。



「空が燃えてるようだったな」

「神様が怒ったのね。仏様?」


「どの山ですか?」



尋ねると、2人はぜんっぜん別の山を指差して「こっち」「オレの記憶が正しい」「そんなだからいつも」と夫婦喧嘩を始めてしまった。

よけい分かんなくなっちゃったじゃん。


古くからいそうな他の人にも聞いてみた。

多くの情報はいい加減だったけれど、市場の猟師の有力情報があった。



「オレが狩してる山に、猪やウサギがいっぱい逃げてきてた」



すぐに地図を買って、猟師に見せた。残念。猟師は地図を読めなかった。頑張って説明してみたけれど、理解するのを拒否られている感じ。とうとう、しつこい勧誘から逃げるように馬に跨って行ってしまった。



「もう少し北の方で聞いてみようか」



私の提案に、麗様は遠い目をした。「どっち方向に?」と。

そうなの! 山、ありすぎ。




収穫が少ないまま、No.9とNo.15に会った。



「宦ちゃん、手詰まりだ。考えてくれ」



豪華な食事を前に、麗様はNo.9にムチャぶり。

いきなり考えろと言われ、何も知らないNo.9は、両掌を天に向けて広げる。

多少長くなることを前置きし、私は説明を始めた。



「私には、誰からも好かれるという呪いがかけられているのです」



生後100日目の祝いの席でのこと、(シン)の話、聞き込み情報をNo.9とNo.15に伝えた。



「なぜです? そんな100利あって1害なしみたいなものなのに」



と尋ねられる。



「好かれたくない人に好かれて、翻弄されました。それに、好きになってもらいたい人が自分を好きでいてくれても、呪いのせいって、自分が人間的に魅力があるわけじゃないんだって思ってしまって」


「珊瑚、考えすぎ」



私の言葉を、すかさず麗様がフォローする。周りが魅力的過ぎるから、どんどん自分に自信がなくなる。麗様、杏、第3側室ピンク芍薬(しゃくやく)、第4側室紫陽花(あじさい)。No.9もNo.15も一緒にいると楽しい人。そして、星輝(セイキ)


無言で頷いた後、No.9は考え始めた。地図をじーっと見つめている。その間、他の3人でどんどん料理を食べていく。



「おい、どーだ?」



痺れを切らした麗様が声をかけると、No.9はやっと顔を上げた。



「検討はついた。ただ、約束してください。珊瑚様」

「約束ですか?」

「術を解かないと」

「いえ、術を解いてもらうために探してるんです」



すると、No.9は大きくため息を吐いた。



「では、何も申し上げられません」

「どーして」

「珊瑚様の力が必要だからです」

「どこにどう。私は身分を捨てたのですよ」


「それは貴方が思っているだけです。どこに隠れ潜んでいようが、それが帝国以外でも、例え死んで骨になったとしても、貴方は東宮の側室です」

「おいこらっ」



No.15がNo.9を止める。止めたって現実は変わらない。愕然とする。どこまで逃げても籠の中の鳥。



「そのことと、術を解くことは関係ありません」



私はNo.9の目を見た。No.9は語り始める。



「帝国は長きに渡り、鎖国か開国かの論争を繰り広げておます。それは火種。東宮の正室が皇帝の妃になったのも火種。現在は鎖国、東宮は開国派。これが原因で、皇帝が引退に追い込まれるシナリオがある」


「「「……」」」



えーっと、私とはカンケーない話ですが。



「もう1つのシナリオもある。東宮制度廃止、末子継承。その場合、最低でも20年、実質皇帝が変わらない。皇帝は末息子、菊蘭(ジュェラン)様の子を非常に可愛がっておいでだ。なぜか。末子継承にしたいからだ。政治抗争が武力にもつれ込むのは常。そのとき、珊瑚様の力は東宮の求心力になる」


「てめぇ、珊瑚を戦の道具にするつもりかっ」



麗様がNo.9の胸ぐらを掴んだ。

もう忘れていた。皇帝vs.東宮。13歳、東宮に嫁いだころに父から聞かされた末子継承の話を、東宮殿からこんなにも遠く離れた場所で今更聞くなんて。

No.9は服に首を埋めた格好のまま続ける。



「人心がどれほどのものか分かっていない。人が人に命を賭けて付き従うなんて、そんなバカげたこと、普通じゃ起こるわけないんだよ。珊瑚様はいずれ必要になる切り札だ。それだけじゃない。珊瑚様のご実家は外聞屋。人々を扇動できる」



麗様とNo.9の間にNo.15が割り入った。

No.15はNo.9の胸ぐらを掴むのを麗様と交代した。そして、宙に足が浮くほど持ち上げる。



「黙れ。いつも用意周到過ぎるんだよ。そんな、あるかないかも不確実な先の先の先のことで、今の珊瑚を縛るな」


「ギブギブ。下ろせ」


本当は題名を3文字か9文字にしたいと思っています。スタート時から考えていますが思いつきません。

題名を考えるのが苦手で、他サイトでは、ジャズのスタンダードの曲名を多く使っていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ