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気が弱いので後宮には向きません  作者: summer_afternoon
恋挽歌

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65/133

都の外れ黄昏5番街


星輝(セイキ)、何かあったのかな」



そうとしか思えない。

南自治区から都までは2週間くらいの道のり。今回もそれくらい要した。

けれど、No.15が南自治区に来たときに聞いた話から推測すると、星輝は1ヶ月以上かかっていた。



「あれ? (セイ)、どこ行ったんだ?」



(リー)様。星の行き先なんて1つしかない。星輝の部屋。

2人で狭い階段を上る。2年前、星輝に手首を掴まれてこの階段を下りた。ひょろっとした首と肩、ウエーブした髪の後頭部を思い出す。


星は、星輝と父親が定宿にしている部屋の扉を前足で引っ掻いていた。私達の姿を見ると、ゆらゆらと尻尾を揺らす。星輝がいるかもしれない。どきどきと心臓の音が速くなる。



コンコンコンコン



「星輝、星輝、麗だけど」



麗様は扉をノック。返事はない。



「お留守なんだね」



残念半分、ほっとしたのが半分。私は星の前足を握った。そんなに引っ掻いたら、爪が痛くなるし扉が傷ついちゃう。



珊瑚(シャンフー)、飯食お。どっか店で」

「うん」



円い要塞の外からカーブした壁を眺めると、何個もの銃弾の痕がある。開いている唯一の扉が曲がって見える。表側になる方の扉を補強している鉄の飾りが一部分外れていた。扉を囲う鉄の内側に使われいる木材は他の建物の物より新しい。


少し歩いた場所にあった食堂に入った。いい感じに古びている。麗様は迷わずカウンター席に座った。厨房の火の周りは油で真っ黒。ここはきっと流行っている。美味しさに人々が足と情報を運んでいるお店に違いない。牛肉と青菜を炒め物、あさりの酒蒸し、炒飯、春巻き。

頃合いを見計らって、麗様がカウンターの中にいるお姉さんに話しかけた。



「あのさ、さっき、下に古着屋がある円いとこ行ってきたんですけど。外の壁に弾当たった痕あったんです。扉も新しくて。なんかありました?」



今回はナンパ調じゃないのね。私が隣にいるもんね。



「あら、この辺の人じゃないんだ?」

「ぜんぜん」

「2年くらい前にドンパチあったんだよね」

「へー。あの建物だけ?」

「そ。牢を爆破したって疑われた人がいてさ、あそこに住んでる人らって家族みたいなもんだから。その人のこと全力で守ったわけ。役人から」



爆破? 星輝と父親は武器商人。爆薬なら手に入る。



「へー。どーなったんですか?」

「間違いって分かったらしくて、役人達が引き上げてったよ」

「間違いかよ」

「ね。酷いでしょ?」


「あ、あの……どうして、間違いだと分かったのですか?」



さっき叩かれたばかりで、どの女の人もちょっと怖い。おどおどしてしまう。



「ん? ああ。別の牢も爆破されたから。そっち行った。犯人だと思ってた人が目の前の建物ん中にいるのに、他のとこがやられるなんて。ナイっしょ」


「そうだったのですね」

「そーなのデスヨ。ははは。アンタ人見知り?」

「あ……ぇと」


「ウチらさ、星輝ってやつの知り合いなんです」



麗様が言うと、お姉さんは驚いた顔をした。



「マジで? さっきの話、星輝の親父のことなんだけど。ホントに知り合い?」



疑いまで持ち始める。



「最後に会ったのが2年くらい前で。世話んなったんです。あいつ、今、どこにいんの? 仕事? 長いの?」

「いなかった?」

「部屋には。金、返したいんですよね」



おおーっ。これは絶対に会わなきゃいけない案件。こうやって人を探すのね。



「2年も前の? 律儀じゃん。今、こっちにいるはずだよ。部屋にいなかったら、5番街かな」

「さんきゅ。お姉さん、好き」

「うっわー、安売り。はははは。デザートつけたげる。サービス♡」

「ありがと。愛してマス」



麗様はちゅっと投げキス。いつもながら鮮やかでございます。私というコブ付きでも力を発揮。麗様は星への肉の切れ端までオマケしてもらってた。恐るべし。


店を出て麗様に尋ねた。



「5番街って?」

「んー。都の繁華街の隅っこ。アンダーな感じんとこ」

「アンダー?」

「行けば分かる。珊瑚、来ない方がいいかも」

「行く!」



そう言われると、絶対行かなきゃ損って思うもの。




荷馬車で5番街に着くころには日が傾き始めていた。徐々に暗くなる景色に、家々の窓の灯りが増えていく。麗様は星に馬車の番を頼んだ。あまり治安のよろしくない場所っぽい。繁華街といっても、大きな服屋やレストランが並ぶメインストリートとは雰囲気が違う。軒を連ねる1店1店はやや狭く、飲み屋や質屋が立ち並ぶ。



「あった。鯨飯」



看板には鯨の絵が描かれ、その隅に店名が書かれていた。絵の方が大きいのは、利用する人達が字を読めないからだろう。



「星輝は2階で遊んでんのかな?」



麗様は不思議なことを言う。



「ここでご飯食べてるんじゃないの?」

「……」



首を傾げる私に、麗様は何も説明してくれない。黙って店に入って行く。急いで後に続いた。

店内にはテーブル席がいっぱい。やたら色っぽくて胸の辺りががばっと開いた服の女の給仕がちらほら。彼女達が肩を隠すために羽織っているのはスケスケ素材。


麗様は店に入るなり、店員に階段を視線で差した。

ちょうどカップルが階段を下りてこっちに歩いてくる。



「2階へ行きたいんだけど」



店員はすまなさそうに言った。



「いやー兄さん、連れ込みは困るんだよね。ウチの子と遊んでくれなきゃ」



? 遊ぶ?



「あのさ、星輝に会いに来たんだ。麗っつってくれれば分かる」

「星輝? ああ、エンザイのことか。今日は来てねーよ」



エンザイ。新しい名前だろうか。それともミドルネーム?


さっき階段を下りてきて、私達の横で男を送り出した女の人が、反応した。



「星輝の友達?」

「うっす」「はい」

「奢るよ。なんか食べていきな」

「あざーっす」「そんな……」

「はいはい遠慮しない。そこ座って」



大人の事情でメニューはシンプルなんだって。お茶、お酒、ちまき、小籠包、杏仁豆腐くらい。想像でしかないけれど、1階が食堂。気に入った給仕がいたら、2階であっは〜んなことができるお店のよう。

信じたくない。星輝がこの店の常連なんて。



「星輝、ここ、よく来んの?」



と麗様が尋ねれば、「家とこっちの半々かな」って。それ、もう、お気に入りの女の人がここにいるって確定じゃん。麗様、もういいよ。何も聞かないで。帰りたいよ。

目の前のお姉さんは緑色の服に風邪をひきそうなスケスケ羽織。赤い唇で煙草をくゆらす。



「星輝ってエンザイって呼ばれてんの?」


「そ。最初は呼んであげてたって感じだったけど、なんか定着しちゃって」


「あ、あの。間違えられて捕まった冤罪のことなのですか?」



勇気を出して質問した。星輝の友達というだけでよくしてくれるなら、この女の人が星輝の相手かもしれない。27、8歳に見える。綺麗な人。



「そ。バカな役人が、袖の下欲しさにガキを捕まえたんだよ。ちょうど東の国からの異人が戦やった後でさ。星輝は西洋の服着てるから、異人ってことで捕まえて。ほら、西洋の服着て金持ってる風だったからさ。ガキからも巻き上げようとしたんだよ」


「「ひどい」」


「あの子、何の用で出歩いてるか言わなかったの。金は渡したらしいんだけど。したら、拷問&犯罪者の焼印」


「「焼印?!」」



犯罪者には背中の肩甲骨辺りに1寸(3cm程)四方の印がつけられる。一生取れない。それは裁判の後のはず。



「どこの誰なのかは言ったのに、役人がちゃんと調べなかったんだよ。ほら、あの子、綺麗でしょ? 取り調べのヤツにキスされて、そいつの舌を思いっきり噛んだんだって。それもあったんじゃない? だからウチらは、その焼印は違うって、エンザイって呼んでたんだよね」



きっと、捕まったのは南自治区から都への途中。

星輝、ごめんなさい。謝っても取り返しがつかない。


SeaArtで鯨飯の女の人を作成してみました。

「たとえ時代が流れても」の姫雪梅の作成時と似た顔が出てきました。

挿絵(By みてみん)

AIに入力するプロンプトに苦戦しております。キセル、たばこが反映されず、tabaccoにしたら認識されました。キセルも試そうと思ったら、無料部分を使い切っていました。

イケメンを作成も難航しております。デフォルトがマッチョのようです。そして、うっかりプロンプトを忘れると裸になってしまいます。顔もアゴが割れていたりとかなりマッチョ風。最近のイケメンのスタンダードはゴリマッチョなのでしょうか。@_@

SeaArtのプロンプトをもっと研究したいと思います。

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