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ショートショート5月〜5回目

水神様、おはようございます

作者: たかさば
掲載日:2024/05/03

 ……僕が、いつからここにいるのかは、わからない。


「水神様、おはようございます」


 僕は、気がついた時にはもう、水神様と呼ばれていた。

 僕に向かって手を合わせる人間を、毎日眺めていた。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」


 挨拶をされるたびに、僕は嬉しくなった。

 僕がここにいることを知っている人間がいる、それがうれしかった。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」


 毎日僕に会いに来てくれる、人間たちを気にするようになった。

 毎日僕に挨拶をしてくれる、人間という生き物が好きになった。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、お願いします」

「水神様、おはようございます」


 たまにお願い事をされるようになったけど、僕には何もできないのが気になった。

 僕には、人間の願いを叶えてあげることができなかった。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございました」

「水神様、おはようございます」


 僕が何もしなくても、人間は自分で解決してお礼を言った。

 僕が何も解決しなくても、人間は感謝の言葉を口にした。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、お願いします」


 僕は何もしていないのに、感謝されるので…、少し、戸惑う。

 僕は、人間が挨拶をしてくれることがうれしくて…、ただ、それだけだったのに。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、見守っていてください」

「水神様、ありがとうございます」


 僕はただ、ここにいるだけなのに…、人間はみんな、願いを叶えていく。

 人間はただ、自分の力で願いを叶えているだけなのに…僕にお礼を言う。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございました」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」


 僕には…、ほんの少しだけ、気持ちを乗せて挨拶をする事ぐらいしか、できない。


 おはよう、今日もいい天気だね。

 おはよう、今日は元気そうでよかった。

 おはよう、自分の力を信じてがんばれ。

 おはよう、大丈夫だから落ち着いて。

 おはよう、君にいい事がある事を祈るよ。

 おはよう、無理をしなくてもいいんだよ。

 おはよう、いい報告をありがとう。

 おはよう、あなたの悩みが解決するといいね。

 おはよう、いつも元気な姿を見せてくれてありがとう。


「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、ありがとうございました」

「水神様、ありがとうございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、おはようございます」

「水神様、いつもありがとう」


 ……伝わっているのかなあ?

 僕の、気持ち。


 ……伝わっていると、いいなあ。

 大好きな、人間たちに。


「水神様!おはようございます!」


 おはよう!

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