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 「もう、なんなんだよ!?」

 

 敵の親玉らしき女はたしか、たまに研究所に押しかけていた男爵令嬢だ。

 クロノは交戦中だし、男爵令嬢はなんか怖いし、なにが起こっているのかまったくわからない。


 「だあ、もう!」


 両腕でどうにか抱えられるほどの大きな水晶玉に、エリスはなけなしの魔力を注ぐ。

 

 「オープン、鑑定、最大限!」

 

 とある研究の副産物として生まれたそれは、現状と予測される未来を如実に映し出した。


 (魅了でほとんどがダメ、あいつ()は今はムリ、クロノは...このままだと死ぬ!)


 クロノが死ぬ可能性が、パニックに陥っていたエリスを逆に冷静にした。

 水晶玉の力も使って、使えそうな(ボツ作も含めた)ガラクタを片っ端からマジックバックに入れて肩に下げた。

 

 まずは、危うげにハンマーを持ち上げ、扉を破壊する。

 

 「うわっと!?」


 バランスを崩して部屋から落ちるも、間一髪でクロノに受け止められた。


 「まったく、なにやってんだよ!」

 「それはこっちのセリフだ! バカクロノ、とにかく飲め!」

 「ムグ!?」


 死にかけならすぐ回復、死後一時間なら蘇生、軽傷程度なら不老長寿のエリクサー。

 材料的に一本しか作れなかったそれを、クロノの口に突っ込んだ。

 

 続けて、手のひらサイズのガラス玉を火の塊に向かって投げる。

 ...ボテッとすぐ下に落ちたが、意図を察したクロノに再度投げられたガラス玉は、火の塊をあっという間に吸い込んだ。

 「魔法の才がない人でも使える」をコンセプトに作ったものだが、込めた魔法が一日やそこらで暴発するので、ボツになったやつだ。


 「クロノ、こいつもあの女に向かって投げろ!」

 「...なるほど、この状況にはピッタリだな」


 エリスが渡したのは、紫がかった三角(すい)状のガラス。

 魔法を完全に無効化する代物だが、使い捨てでコストがかなりかかるうえ、一種類までしか作用しないので、これまたボツになったやつだ。

 さっきの攻撃で魔術師たちは魔力を使い果たし、残るは男爵令嬢ただ一人である今がチャンスだ。


 「くらいやがれ!」


 クロノが投げたガラスは砕け散ると、粉状になって男爵令嬢を包み込んだ。

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