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1、ここだけの秘密として本音を言うと、

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 私の名前はシャルロット。

 赤毛一族と呼ばれるブロワ男爵家に生まれた16歳。

 隠しているけど、魔力をこめてじーっと対象を凝視することで、普通の目では見えないものを視ることができる魔眼持ち。

 

 ある日、妹のタレイアが私の婚約者を連れて部屋に来た。

 

「お姉様ごめんなさい。あたし、彼の子を妊娠したの」

「え?」

 

 でも、魔眼で見る限り、タレイアのお腹に子どもは宿っていない。

 ちょっとぽってりしているけど、脂肪だ。


 戸惑う私に、婚約者のフロイス・サヴィーア男爵令息は堂々と言った。


「シャルロット、結婚前の女遊びは男の甲斐性だ。つまり、俺は悪くない」

 

 フロイスはそう言って、タレイアのお腹に手を当ててみせた。

 

「いいか、できてしまった子は天からの授かりものだ。これはきっと神がシャルロットではなくタレイアと結ばれることを望んでおられるのだと思う」

   

 そこ(お腹)に子どもはいませんが……。

 という指摘を胸にしまい込み、私はにっこりと微笑んだ。

 

「おめでとうございます、お二人とも。では、私とフロイス様の縁談は破談ということでよろしいですね」


 私の魔眼には、フロイス様の股間のあたりに宿る病魔が見える。

 あまり見たくない場所だけど、彼は女遊びが激しくて性病にかかっているのではないかと思われる。

 

 それとなく「ご体調はどこかおかしいところがあったりしませんか、医師の診察を受けてみては」と伝えたことがあるが、「俺は健康だ!」の一言で終わった。

 「股間に病魔が見えるんです」と言うべきか迷っているうちに、今日になったのだ。


「どうぞ、お大事に……」

 

 ……果たしてこの二人、この後どうなるやら。  

 窓の外で、緋色の花が風に煽られ楽しそうに揺れている。

 きれいだなー、と意識を現実逃避させてから、私は自分の髪を結んでいたリボンを外した。


「婚約は破談ということで、リボンはお返ししますね」


 リボンは魔法のアイテムで、髪の色を変える効果がある。外すと、私の髪の色が赤い色から白に近いストロベリーブロンドに変わる。

 

 彼が「俺の婚約者は赤毛がいい」と言って強要してきたので、私は今まで髪の色を変えるリボンを使って偽物の赤毛で過ごしていたのだ。

 

 貴族令嬢は立場が弱くて、殿方を立て、家門の名誉のため、「かしこまりました」と尽くしつづけないといけない。

 それが貴族の令嬢につきまとう義務であり、美徳だから。

 

 ここだけの秘密として本音を言うと、赤毛は嫌いじゃないけど、私の顔立ちや雰囲気に似合わない。

 それに、自然に授かった繊細な色彩の地毛は、私のお気に入りだ。


 ……だから、これからはありのままの自分をさらけ出して生きていけると思うと、うれしい。

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