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プロローグ 世界は流転する

最後の刀匠と平行して新作投稿します!

元々遅筆なのにもう一本なんて大丈夫?って思うそこの貴方!

それは私自身も思ってます()

ゆっくりのんびり待ってくれると嬉しいです、はい。

どこまで見渡しても荒野。

荒れ果てた大地はどこまでも続き、大地はひび割れ、水は乾ききっている。

そんな大地を歩む男が一人。

彼は必要な素材を集めるため今日も一人進む。


「あと10個・・・これで、全部集まる。」


顎から垂れる汗がこの地の過酷さを感じさせる。

強い日差しは容赦なくこの男を痛めつける。

身につけた軽鎧、吹き付ける砂嵐から身を守るための外套、腰に下げられた二振りの剣。

そんな格好でこの炎天下を歩けば直ぐにでも熱中症で倒れてしまう。

そう、これが現実(リアル)であれば。


FDMMORPG『グリザリアオンライン』。

マウント型デバイスを使いプレイすることが可能なオンラインゲームで、五感を完全再現した人気ゲーム。

構想から販売まで10年以上を掛け、リリース後から莫大な人気を誇ったこのゲームは発売から12年経った今での熱狂的なファンが多い。

定期的に新要素が追加されるため、ユーザーは常に新しいことを求め日々探索を続けている。

ユーザーは初期職業から1つ選択し、レベルを上げていく。

そこから転職をしたり上位職へ転職するクエストを探したりとさながら昔懐かしいRPGをプレイする感覚。

だが大きく違うところはその職業に制限が非常に少ないこと。

剣士、僧侶、魔法使い、探索家といった基本職以降は多岐に渡る選択肢が存在する。

戦闘職だけではなく、副職として生産系統の職業を兼務することが出来るのだが、これまた自由度が高い。

転職・掛け持ちも出来る為多くのユーザーがどこまで複数の職を極めることが出来るかに傾倒してる。

だがこういったやりこみ要素のあるゲームにありがちな問題がこのゲームにももちろん存在した。

それは上級職業になればなるほど、転職条件のクエストが非常に困難な上に職熟練度を上げる為に必要な経験値が非常に多くなる。

その為3つ以上の最上級職をマスターしている人物はごく僅か。

それこそ生産関連の職業に至れば最上級職に転職を果たした人自体が非常に少ない。


「おお、あった、あった!やっぱり情報はただしかったんだ・・・!」


男は歓喜した。

切り立つ崖、その途中に群生する薬草。

名を『エリクス草』。主に薬剤の調合に使われる素材で、『神薬(エリクサー)』の素材とも名高い素材。

これを求めて多くのユーザーが各地を探し回り、採取することを目指すが正確な情報が少なく出回ってる数も非常に少ない。

だが、この崖には大量に群生していた。

彼もまたその地に降り立ち採取を開始する。

全て刈り尽せば一攫千金は夢ではない。

だが、彼は僅か10株で採取を辞めてしまった。

それは単純に彼が金銭欲がないとか、荷物の空きがないとか、そんなことではない。


「よっしゃ、これでエリクス草もスタック最大の9999個目っと・・・。いやぁ、緊急クエが出たときは焦ったぁ・・・。全素材スタックマックス、これで最後の最上級職解放条件を満たした・・・!」


彼は歓喜していた。

それはこの世界、このゲームのルールに則った、やるべきルーティーンだった。

最上級生産職『アイテムマスター』。それに転職するための条件が各生産素材をスタック最大数所持すること。

生産職のプレイヤーでもスタック最大までアイテムを集めることはほぼ無い。

その為、この条件にたどり着く事が出来る物は限られている。


「先に戦闘系最上級職『大賢者』取得しておいてよかった。『世界目録アカシックレコード』にアクセスしなかったらここまでたどり着けてなかったかも。」


彼こそが、このゲームで唯一、戦闘系及び生産系最上級職までの全ての職に身をやつすことが出来、最後の1つの職へ転職する条件を揃えた唯一の男。

名を「小鳥遊陸翔」、HNは『ソラス』。社会の歯車になって早10年の中年代表である。

そんな彼はこのゲームオープン当時からのヘビーユーザーである。


『アイテムマスターへの転職条件を達成。転職しますか? Yes/No』

「Yesに決まってるだろっ、と!」


目の前に現れた選択肢を選ぶ。それはもちろんYes。

それと同時に、世界が急に明滅した。


「な、なんだ?システムエラーか?!こんな荒野の真ん中でバグオチなんて勘弁だぞ・・・?!」


ゲームのハードエラーか、はたまたサーバーか、このままではシステムから弾き出されると判断して強制ログアウトを試すと前にコンソールを開く。

だが、そのコンソール画面も明滅して選択が出来ない。


「くそっ、どうなってんだ、マジで?!」


次の瞬間、彼に強い衝撃が走る。

それは一瞬だったが彼の意識を刈り取るのには十分だった。

彼はこの時、30年の生涯に幕を閉じることになる。

不本意ながら、ゲーム中の事故として片付けられた。









『・・・ここ、は・・・どこだ?』


自分が自分でないようだ。

ここはどこだ?何も見えない。感じない。

体に感じるのは無力感。

体を感じる時点で生きては居るのだろう。だが、何も出来るとは思えない程力が入らない。

これは、どうなっているんだ?


「う・・・あぁ・・・だぅ・・・。」

『なんだ、今の声・・・って、俺、なのか?!』


声を出そうとして聞こえてきたのは赤子の声。

目を開けようと試みるが、力がうまく入らない。

やっとの事で目を開けると、ベッドに寝かされていることがわかる。

首をやっとの思いで動かして周りを見回すと、そこは現代日本とは全く違う様式に則った建物だった。


『な、なんでこうなってる?俺はさっきまでゲームしてて、最後の職解放をして・・・それで。』


何で俺は死んだ?原因がわからないし今の自分自身の状況がわからない。


「あら、ソラス目が覚めたのね。お腹がすいたのかしら。」


そんな声と共に扉の先から現れたのは銀髪の女性。

優しげな瞳をした女性は俺のことを確かに『ソラス』と呼んだ。

偶然なのか、HNと同じ名前を呼ばれた。

そして直感が告げる、彼女がこの体の母親であると。


「さ、今準備しますからね、ちょっと待っててね~。」

『こ、これってまさか、転生ってやつか・・・?!』


激しい混乱のうちに、彼は女性から食事を与えられ、顔を真っ赤にして目を回す。









それから数ヶ月が経ち、少しずつ体が今の状態になれたある日。


『そろそろ、自分の状況を把握しないとだな・・・。最初は夢だと思いたかったが時間が経ちすぎてる。転生したと、考えるのが妥当だろうな・・・。』


あれから必死に頭を働かせて体の動かし方、つかまり立ちのしかたなどを思いだし情報収集を続けていた。


『俺はこの世界ではソラル=クーデリス。元貴族の息子、か。』


母親はやはり銀髪の女性で名をクララ、父親は未だあった事が無いが生きては居るらしい。

名前はアレク、没落したクーデリス家の生き残りでお家復興のために辺境の農家に俺たちを残して方々を走り回っているらしい。


『父上には申し訳ないけど、家の復興とかどうでもいいから厄介ごとに巻き込まれない生き方をしたい。』


そしてもうひとつわかったことは、この世界が死ぬ前まで遊んでいたグリザリアオンラインと似てる点が存在すると言うこと。

剣と魔法の世界で有り、魔物が存在する。

つまり、異世界転生である。

だが、ゲーム中に死んで転生なんて、良くあるラノベ展開である。


『さて、あとは自分の状態を把握したいんだけど、お約束展開だったら自分のステータスは確認出来るはず。声が出せないけど、うまくいくのかな。』


ベビーベッドに横たえられた状態で天井に向けて手のひらを向ける。

声にすることは出来ないため、脳内で必要な言葉を紡ぐ。


『・・・ステータス。』


グリザリアオンラインでは自分のステータスを確認するために使っていたコマンド。

それがこの世界でも通用するか試す実験だったが、あっけなく成功してしまう。


『これでうまくいくのか。それならよかっ・・・って、なんだこれ・・・?!』


————— ————— ————— ————— —————


名前:ソラス=クーデリス

年齢:0歳5ヶ月

種族:人族

レベル:1

職業(戦闘職):大賢者(☆☆☆☆☆ Master)現在既定条件を満たさないため全てのスキルが制限されています

転職可能職(戦闘職):現在既定条件を満たさないため閲覧できません

職業(生産職):アイテムマスター(☆☆☆☆☆ Master)現在既定条件を満たさないため全てのスキルが制限されています

転職可能職(生産職):現在規定条件を満たさないため閲覧できません

基礎スキル:現在既定条件を満たさないため全てのスキルが制限されています

固有スキル:無限収納 現在既定条件を満たさないため使用制限されています


ステータス

HP:7/10

MP:10/10

STR:2

VIT:2

INT:5

MR:2

SPD:2

LUK:99(固定)


————— ————— ————— ————— —————


『な、なんだこれ・・・?!』


ステータスはお世辞にも高いとは言えない。そりゃそうだ、赤子だ。

だが、なんだこの職業。これはグリザリアオンラインで最後に付いていた職業だ。

それに、アイテムマスターは取得したばかりなのにマスター状態というのもよくわからない。

だが、規定条件を満たさないと色々と制限された状態らしい。

とにかく、今は成長するのを待つしか無い、ということなのだろうか。


『だが、まずは・・・』

「だ、ううー、あうあうあー。」

「あら、どうしたの?お腹すいた?」

『この状況を満喫することにする!』


赤子として味わえる至福の時を味わうことにした。

決して美しい母親で浮かれているわけでは、断じて違うぞ?

まずはこの体が成長するまでの間、自分の中に混在している前世と言うべきか、グリザリアオンラインでの記憶やリアルの知識を引き出し記憶が劣化しないようにしなければならない。

1日でも速く身動きを取れるようになれば、次の手だって打てる。

寝る子は育つのだ。

飯を食べたら眠くなる。

それはしかたが無いことなのだ。






こうして彼、ソラスはこの地『エンポリオス帝国』に生を受けた。

彼の物語はまだ始まったばかり。

だがわかることはある。

大賢者とアイテムマスター。最上級職を全てマスターした者がただの人な分けがない。

それがわかるのはまだ先のこと。

いつもお読みいただいてありがとうございます!

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