夢
光が、見える。
段々と光は広がって周りの景色が浮かび上がってくる。
「ここは、僕の部屋?」
玄関に僕以外の誰かが居る。けれども視界がぼやけていてはっきり誰かわからない。
女の子...かな
じっと僕のほうを見つめている。
「君はね、魔法使いになるんだよ」
「今度会う時はあなたの魔法を私に見せてね」
段々と光が落ち着いてきた。
そして僕はそこで、意識を失った。
目が覚めるともう昼になっていた。
「あれは、夢?」
夢ならばずいぶんとはっきりした夢だ。でもなんだかあの時の感覚が起きてからもずっと消えない。
「魔法か、中古屋で買ったあのゲームみたいに使えるのかな?」
口に出して僕は少し笑ってしまった。タイガークエストみたいに魔法が使えるなんて、バカな妄想はいつもしてきた。だからこそいえるそんなことあるはずがないと。
みんなは3TSで一緒にゲームをしているようだけど、僕はそんなにお金は持ってないから中古屋で2TSを買った。
古いゲームでも十分あそべるし、もとより一人だから誰かを気にする必要もないはずだ。
「まぁ、一応試してみようかな」
机の上に置いてあったタイガークエストのパッケージの箱に手を向けて僕は力を込めてみた。
「ふんっ」
ドサッ
「え?」
たまたまかもしれないが箱は音を立てて落ちた。
椅子に向かってやってみよう
「はっ」
ゴゴー―
「動いた!!」
なんと僕は本当に魔法使いになってしまったらしい。
夢中になった僕は部屋中の物を動かしまくった。しかし僕は、何度も何度も魔法を打つうちに急に眠くなって床に倒れて寝てしまうのであった。