第9話
まだこの作品投稿し始めて、一か月も経ってないのに、高評価されてびっくりな自分。
第9話
重い武器を持って走ること一分経過した辺りで、村の中央広場に農具などで武装している村人
の集団が見えて来る。恐らく物見矢倉から鳴り響いている鐘の音を聞いて集まったようだ。
「あ!ルーベルにブルドクだ、おーいこっちだべぇお二人さん」
と村の中央広場にて集まっている村人の集団内に居る、麦わら帽子を被り、三股串長棒を
持っている如何にもな農夫風の男が、急いで向かって来ているルーベルとブルドクの二人に
、気が付いて話しかけて来る。
「あぁ北の畑で仕事しているジョルバクの爺さんじゃないか、あんたも鐘の音を聞いて、ここ
に来たんだな」
とブルドクは、村の中央広場に知り合いであるジョルバクが来ていたので、鐘の音を聞いて
来たのかと問いかけると。
「そんなんだべぇ、何せ農作業してたら緊急時に鳴るって伝わってた、物凄く大きく鐘が鳴り
響き続けるだべぇから、急いで農具持って駆けつけて来たんだべぇよ」
とジョルバクは辺境訛り語混じりの言葉で、自身が鐘の音を聞いてから急いでここに来たの
だと教えてくれる。
「そうか、なら先に来てみたようだから、一体何事が遭って、こんなにも鐘を鳴らし続けて
いるのか知らないか?」
とルーベルは先に今回の緊急事態についての話などを聞いていなかと問いかけると、先ほど
まで笑顔だったジョルバクの表情が、一気に険しい顔へと変化する。
「あぁその話なら聞いたべぇって言うか、鐘が鳴って最初についた集団だったから、鐘を鳴ら
した奴と鳴らした理由ついては先に聞いているだべよ」
とジョルバクは最初に到着した集団であり、今回の緊急事態について先に告げられているので
、知っているのだと告げる。
「おぉなら知っているんだな、じゃぁ教えてくれよジョルバク爺、一体全体村にどんな厄災が
起きようとしているのか」
とブルドクは真面目な表情をしながらそう言って、今も緊急時の鐘の音が響き続けている理由
についてなどを、教えてくれと頼んでみる。
「おう分かったけど、ただおらも大雑把にしか今回の事を聞けてねぇが、そのつもりで話を
聞いてくれべぇ、まずことの事態の始まりは、南の伐採場で働いていたゴベロの奴が、酷く
怯えながら戻ったかと思えばだ、何とあの暴力の化身として畏怖されし存在である『大鬼』が
、このキックボ村へと向かって来ていることを知らせたのが、今回の緊急時用の鐘を鳴らす
ことになった理由だべぇ」
とジョルバクは深刻な事を告げるのかのような表情しながら、村が緊急事態へとなった理由
ついてなどを、大雑把ではあるが、ジョルバク自身が分かっていること全てを教えてくれる。
そしてブルドクとルーベルは、大鬼と言う名を告げられると同時に、自身の感情を司る物が
、全て一瞬にて畏怖と戦慄へと陥る、全身の体から冷汗が滴れ、思わず息を吞むほどの緊迫
感に襲われる。まぁ無理もない事だろう、何せ二人は村に住む住人の中でも大鬼が一体どう
言った種で、どれほどの恐怖と畏怖を抱かざる負えない理不尽で強大な存在なのかを、心底
経験或いは概念的に理解しているのだから。
「おいおいはは、一体何の冗談だって言うんだよ、大鬼だって・・・そんなのが、こんな辺境
の地にある村の近くをうろついているんだよ、また悪夢かぁ?」
と緊急事態になった理由を告げられたブルドクは、引きつった笑みを浮かべながら、一体何の
冗談なのかと言った、独り言を呟きながら魘されるように悪夢かと途方に暮れる。そして同じ
ように理由を告げられたルーベルは、黙ったまま何かを推測するような表情で考え込み始め。
「あぁ無理だ、どう考えても現状の戦力として数えられる村人全員で、討伐に挑んでも無駄に
遊ばれた挙句に全滅するだけだ、かと言ってあたいとブルドクでの二人掛かりで戦っても、
向こうの格によっては互角に戦えるかどうか・・・あぁ一体どうすれば良いか」
と少しの間黙って何かを考えていたかと思えば、急にルーベルは声を荒々しくしながら、現状
集まっている村人総出で大鬼に戦いを挑んでも、簡単に全滅してしまう程の力差があり、かと
言ってもブルドクとルーベルが力を合わせて挑んだとしても、大鬼の実力次第では返り討ちに
合う可能性に直面し、一体どう対処すれば良いのかと途方に暮れる。
「あぁやっぱりその反応からして無理な感じなのかだべぇ?、うーん村の随一の実力者である
二人なら或いはと思ったんだべぇが・・・とりあえだぁ、おいらは今集まっている村人達とで
、大鬼に対してどう対処するべきかを話し合ってくるだがら、何か策とか思いついたら、遠慮
なく提案してくれだべぇ」
と二人が途方に暮れる姿を見たジョルバクは、今のところは放っておいた方が良いだろうと
判断し、二人に今集まっている村人達と一緒に向こうで、今回についてどう対処するのかを
話し合って来ると伝えてから、中央広場に集まっていた、武装した村人集団へと戻って行く。
そして途方に暮れているブルドクとルーベルは、真剣な表情へと切り替えてから、お互いの
表情見えるように向き合うと。
「それでどうするだよブルドク、お前にとって大鬼って言うのは、縁のある存在だろ?」
とルーベルは苦笑いを浮かべると、ブルドクに対してお前にとっては縁のある存在だろうと、
意味深げに問いかける。何せブルドク本人が余り語りたがらないが、ここより遥か向こうに
ある王都から、こんな辺境の地にあるキックボ村に転勤する事になった、ある意味根本的な
原因っとなった存在なのだから。
「はぁー・・・本当に嫌になる存在だぜ、俺はあの事件以降大鬼類とは、一生関わりたくは
ないと、神々に祈りを捧げながら今まで過ごして居たんだがなぁ、どうやら運命の女神様は、
俺には因果な宿命とやらを望んでいるらしい」
とブルドクは鬱そうにため息を吐きながら、自身と大鬼と言う存在達との因果な宿命に、何と
も言えない頭痛がし、自然と苦笑いを浮かべながら落ち込み暮れる。まぁブルドクがこうなっ
てしまうのも無理はなく、何せ彼はキックボ村に来る以前から幾度もなく大鬼に遭遇しては、
何故か生死を彷徨う程の激戦へと身を投じてしまうのだ、しかも今まで遭遇して来た大鬼共は
、揃いも揃って血の気が多すぎる輩ばかりであり、今回村の近くに出現した大鬼もそう言う
輩ではないかと、心の底からそう思い確信さえもしていた。
「お、おうまぁそう落ち込むなブルドク、一応今まで戦って来た大鬼なんかは、ある程度の
勇敢さなどを見せてやれば、戦いに満足して去るんだろ?それに今はあたいも居るし、死ぬ
気で挑めば何とか撃退できる可能性も・・・」
とルーベルはそう言って落ち込むブルドクを励まそうと、前向きな事などを告げたりして会話
を試みてみるが、ブルドクは幾度もなく大鬼と遭遇し、そして生き残って来た経験則からして
、自身に迫りくる運命を受け入れる心構えはしてしまっている。
「おぉーいだべぇ、そこで途方に暮れてたり落ち込んだりしているお二人さんだよ、今しがた
話し合っただべぇが、もうこれ以上参加する奴は居ねだろうと言う事で、大鬼が来るであろう
南出入り口に移動するだべぇからついてこいでよ」
と今しがた話し合いを終えたジョルバクから大鬼が来るである場所へと移動することになった
事を告げ終えると、そのまま村の出入り口の一つである南門へと向かい行ってしまう。
「だぁそうだ、ほらそこで落ち込んでも仕方ねぇ、さっさと正規の兵士として、ほら行くぞ」
とルーベルは同情しつつも無慈悲にそう言い終えるとブルドクを片手で引っ張りながら、村の
南側出入り口門まで連れて行く。