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酒と宇治と大鬼転生伝 休止中  作者: アクドニアデフジム
第1章
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第8話


第8話




「おぉあれが村かぁ、藁屋根の木造家があんなに建ち並んでいるとか、前世含めて生まれて

初めて見たかもしれなって?、何か村の方から鐘の音が響いて聞こえて来るな、音の発生源

はあの物見矢倉から響いているな?」


と俺はこの世界で初めて訪れた村の原風景に、わくわくしながら眺めていると、物見矢倉より

、鐘が鳴る音が俺の居る場所まで響いて聞こえて来る。おや何か村が騒がしくなってるな。


「一体何事何だって言いたいところだが、多分俺を見て逃げ出したあの木こりの人間辺りが、

知らされたせいで、村があんなにも騒がしく鐘を鳴らしているだろうなぁ」


と俺は世話しなく村が騒がしくってしまった原因は、俺の二本角を見て、悲鳴を上げて逃げて

行った、あの木こりの人間辺りが知らせたせいだろうと予想する。


「さてさて、どうしたものかぁ、まぁこのまま左周れして戻るのは無しだし、ここは大胆に

村に向かってみるか、恐らく盛大に歓迎されるのは間違いないだろうし」


と俺はどうしたものかと少し考えを巡らせるが、今更来た道戻るなど論外である結論付け、

このまま大胆にもこのまま村に行くことに決める。まぁいざと言う時は伝承の鬼のように

武力で解決しよう。


「よし、そうと決まれば、桜酒でも飲みながら、生きよい良く村へと向かうか」


と俺は吹っ切れるようにそう宣言すると、手元にある桜酒瓢箪を躊躇なく元気に飲みしながら

、意気揚々な様子で、向かって行くのであった。恐らく軽く酔っ払っているのだろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




王国の城塞都市から遥か東の辺境に存在する森林の奥地には、キックボと言う何とも平凡で

退屈な農村があった。そしてその村には綺麗な赤い髪し、煤汚れた鍛冶用エプロン服を着用し

、そして古びた靴を履いている、何とも鍛冶屋の村娘風の女性が、そこで住んでいた。 


「ふぅ~全く村の農夫連中は、どうしてこうも農具の手入れが出来てないだよ、こんなに

錆だらけにしやがって、一発槌でドついてやろうかぁ」


と荒々しくそう呟きながらも、如何にも機嫌が悪そうな雰囲気で、錆びた農具や伐採具など

をのど手入れしている、この赤い髪した村娘の名は、ルーベル・ガルガドラと言って、ここ

キックボ村にて、唯一の鍛冶屋を営む村娘である。そして彼女の性格はハッキリ言うならば、

荒くれ気質の几帳面野郎であり、知らない者が彼女の言葉を聞けば、怒っているのではない

かと勘違いするだろう。


「おーいルーベルちゃん、ちょっと用事があって来たんだけど、今良いかなぁ?」


とルーベルは愚痴りながら鍛冶仕事をしていると、聞き覚えた声の主が話しかけて来たので、

仕方なく手入れしていた農具を立て掛けると、声を掛けて来た主の方へと気だるげな様子で、

振り返るとそこには青黒色の短髪をした全体的に細身な印象を抱く容姿をし、そして青色の

サーコートを羽織り、そして鋼製の胴鎧と鎖帷子を着込み、沼地用の革製長靴を履いており、

その姿には高貴な騎士の残り香の様な感じが漂ってくる兵士のようは見た目をした青年が、

笑顔を浮かべながら突っ立っていた。


「一体何だよブルドク、まさか先週ぐらい治してやった、愛用のハルバードを壊したとか言い

出したら、このあたい自慢の魔銀製の槌で、そのイケメンフェイスをぶちのめすんだが?」


とルーベルは気だるげな様子で、この一見普通の兵士ように感じる青年ことブルドクに対して

、一体何用だと睨み付けるようにして問いかける。このどこか騎士ような兵士風の青年の名は

ブルドク・チェルノルファと言って、何とも物事に不真面目で、のどかな昼寝好きな性格を

した奴であり、この辺境にて勤務している一般兵士であるが、時々特権身分の護衛をしていた

者に、見受けられる高度に躾された特有の仕草などが見られる、何とも謎が多い青年である。


「いやいや、流石にそんなすぐに壊すとかないから、ほら見てよこのハルバード、どこも

壊れてない新品同様な状態だろう」


とブルドクは慌てた様子でそう言うと、手に持っていたハルバードを掲げて見せつける。

まぁ確かにどこも壊れてなく、ちゃんと丁寧に使われている事がわかるとルーベルは少し

だけ機嫌が直ると、ルーベルは改めてブルドクの方へと向き、腕を組むと。


「そんでブルドクよ、武器の修理依頼じゃないなら、一体何の用で来たんだよ?」


とルーベルはそれじゃ言った一体何用なのかと、不思議そう頭を傾げながら問いかける。

何せ普段の青年が自身に訪ねて来る用など、武器か家具か防具の修理をお願いしに来る程度

なのだがら。


「いや、ついさっきまで村の外で巡回してたんだけどよ、どうも森の様子が変なんだよ、

何と言うかさ、遠目でも見かける獣どもが、一体も見かけてないんだよ」


とブルドクは何とも言えない不安に満ちた表情で、村の外を巡回している時に、感じた森の

異変についてなどを語っていく。そしてその話を聞いてルーベルの表情が、少しづつ険しく

なっていく。


「はぁ何だって!?、あの獣どもがか、それが本当なら確かに不自然に変だな、何かの前兆

とかじゃないと良いが」


とルーベルは明らかに動揺かそれとも驚愕しているのか、ブルドクが感じた森の異変について

、何か悪い前兆なのではないかと、嫌な考えがめぐり始める。


「まぁ今のルーベルと同様に、嫌な予感を感じているから、こうして念の為に予備で使って

いる武器のエストックの点検をお願いしに来たんだよ」


とブルドクはそう言って、腰にぶら下げていた鞘に納まったエストックを鍛冶屋に置かれて

いるカウンター代わりの長机に置くと、ルーベルは自然な動作で、置かれたエストックを

手に持ってから、何か不備や破損が無いかと確かめ始める。


「へえなるほど、だから予備使っているこのエストックの持って来たという訳か、やっぱお前

でも戦士特有の不安を抱くんだな・・・あー少し留め金が緩んでいるな」


とルーベルは、普段のブルドクでは見られない反応を見れて、少し微笑むが、肝心の点検に

だされたエストックの刀身と持ち手を固定する留め金が緩んでいることを発見する。


「えぇマジでか!?、うわぁすぐに直せそうか?今使える予備の武器中でも一番使い勝手が

良い奴なんだよ、どうにかならないか?」


とブルドクは緩んでいる留め金をすぐに直せそうかと問うと、ルーベルは一体ふっと鼻息を

出しながら自信満々の表情を作ると。


「ふっ、まぁ心配するな、この程度なら、ここをこうすればしっかりと、ほら治ったぞ」


とルーベルはそう告げながら、慣れた手付きで、テキパキと緩んでしまった留め金部を外し

、新しい留め金を付け直し、ずれた刀身と持ち手を正しい位置へと固定し直す。


「ほら、緩んでいる留め金を外して、固定穴に合う留め金に変えてやったから、これで乱暴

に扱っても、緩んだり歪んだりしねえぞ」


とルーベルは自信満々にそう言って、綺麗に直したエストックを、ブルドクに返還する。


「おぉ一瞬で直しやがったよ、流石一流の鍛冶師だな、都市の鍛冶師でも、お前ほどの腕前

の奴は探してもなかなか見つからないだろうな」


とブルドクは慣れた手付きでエストックの留め金を直した、ルーベルの腕前を褒め称える。

あと出来れば安くしてくれないかと言う視線を送りながら。


「はいはいそんな視線で見ても、そして腕前を褒め称えても、その程度で修理代金は安くわ、

うぇっ!?何だ何事だぁ!?」


とルーベルは煽てても安くはしないぞ言っている途中で、いきなり村の中央に建っている

物見矢倉に取り付けられている、緊急時用の鐘が鳴る響く音が、聞こえ響いて来る。


「なぁルーベル、この鐘の音って確か緊急時に鳴らされる奴だよな、何かあったのか?」


「あぁブルドク、恐らくはそうだろう、だからそこに立て掛けているハルバード持ったら、

村の中央に急いで向かうぞ」


とルーベルとブルドクは何か緊急事態が起きたのだろうと察すると、壁に立て掛けていた自身

の武器を手に持ち、鐘が今も鳴り響いている物見矢倉がある中央広場へと向かって走り出す。







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