第7話
第7話
さて、あれから俺は酒を飲みながら、アリスと色々と言葉を交わしている間に、気付けば暗い
夜時間は過ぎており、今は眩しい太陽の光が地平線より大地を照らし始める時間帯へと切り
替わっていた。あれ?もう朝になっているな。
「おう眩しい!?おぉなんだ太陽の光か。なぁアリスもう朝みたいだぞ」
「あら、もうそんな時間になったのね、長々とお話してたから、わからなかったわ」
と俺は視界の外から来た眩しさに驚くが、すぐにそれが太陽の光だと気付き、もう朝の時間
だとアリスに伝えると、もうそんな時間なのねっと、少し残念そうにして、話していた会話
を打ち切る。さて、朝が来たみたいだし、そろそろ一言告げてからこの場を去るか。
「それじゃ辺りも明るくなって来たし、俺は教えてもらった村に向かうが、そんでアリスは
この後どうするんだ?」
と俺は、これから北に進んだ場所にある村へと向かう事を告げた後、アリスはどうするのか
と何となく問いかけてみる。色々と会話したおかげで、少しだけアリスに親近感を感じる
程度には仲良くなったし、一応この先どこに行くのか聞いてみるか。
「へぇあの村に行くのね。うーん私はそうね、まぁ特に目的もなく気ままにどこかに旅する
感じかしらねぇ、それではいずれ縁などがあれば、また会いましょう」
とアリスは特に目的もなく、気ままに旅をする感じだと答えると、俺にいずれ縁があれば会い
ましょうっとお別れの挨拶を告げると同時に、アリスは何か無言で唱えるように口を動かすと
、アリスは自然な動きで、宙へと浮かんで行き、そして一瞬で空の彼方へと飛んで行き、その
後ろ姿は遠く見えなくなっていく。おぉ空を飛んでどこかへ言ったな、まぁ多分何かの魔術で
飛んでいるのだろうか?。
「さて、アリスはいなくなったし、俺は近くの村へと走っていくか、確か廃墟が建って居る
方角が北で、その先に村があるんだったよな」
と俺はそう呟きながら村があると言う北の方へと歩み始める、獣道すらない森林内を鬼の脚力
で強引に進んで行く。あぁ青臭い自然の香りが凄いな、そして虫も・・・。
「うげぇ、虫や植物が服や身体に絡まって気持ち悪いし鬱陶しいなぁ、まぁ邪魔な草木とかは
、腕力と脚力にものを言わせて進んで居るけど、そろそろどこかで小休憩したいなぁ」
と俺は嫌そうな表情を浮かべながら愚痴を呟きつつ、進路上にある邪魔な植物の蔓や草木の枝
を強引に引きちぎったりへし折ったりしながら、北に在る村へと目指して、森林内を数時間程
進み続けていると、木々の無い拓けた場所を発見する。そこには木々を切り取った跡だと思わ
れる切り株が複数存在しており、恐らくここは目指して北進している村が、使っているだろう
森林伐採場のようなところではないかと予想する。へぇ伐採場って初めて見たけど、本当に
綺麗に切り取られているな。
「ふーん、この辺りだけ木々が伐採されて、残り跡の切り株しかないから、多分ここは森林
伐採場とだろうから、あともう少し行けば村に到着するかなっておや?」
と俺はそう呟きながら伐採場へと足を踏み入って真っすぐ進み続けていると、前方に伐採用
と思われる斧を傍に立て掛け、如何にも中世の木こり風の衣装着た大人の人間が、切り株の
上に座っているのを発見する。おぉここで第一村人発見かぁ。
「おう、そこの木こりの人間、お前はこの先にある村の住民か?道を聞きたいが」
と俺は切り株に座っている木こりの人間に、声を掛けてから村までの道を尋ねてみる。
果たしてどんな返事を返して来るだろうか?。
「あぁ?何だ旅人がこんな辺境の村に来るた、一体どんな風貌・・・奴だ・・・」
と木こりの人間は声を掛けられた事に気だるそうに呟きながら、俺の方に振り返ると何故か
無言になっていき、そして明らかに視線が俺の額の上に生えている角を凝視しており、そして
木こりの人間は一目で分かるほど顔色が青ざめて行き、身体が震え出す始める。うん?何だ
こいつ?明らかに様子が変になっていくな。
「あぁ?何だ人の頭を凝視して、ちゃんと顔を「ぎぎゃああああ大鬼だぁ!??」え何!?」
と俺は凝視したまま人の頭を見続けている事に、文句を告げようとしている途中で、木こり
の人間は唐突に大鬼だぁっと悲鳴を上げながら、村の方へと逃げるようにして一目散に走り
去ってしまう。おい、一体何なんだよいきなり?。
「あっちょ、一目散に逃げて行きあがった、うーん大鬼って悲鳴を上げながら走り去ったから
多分俺の額の上に生えている二本角を見て逃げたのだろうか?」
と俺は恐らく凝視してから悲鳴を上げたのは、自身の額の上に生えている二本角を見て、俺が
大鬼だと気付き、慌てて逃げたのではないかと予想する。にしてもあそこまで怯えるのか?。
「あぁそう言えばこの世界の大鬼て、どう言った存在なのか知らないなぁ・・・うーん大鬼
って名前からして、恐らく前世の鬼と同じような奴なのか?、だとしたらかなりやばい存在
だよな、いやだって鬼って確か人々を攫っては、面白半分に食ったり遊んだりとか、当時の
貴族や平民や侍なんかを容赦なく蹂躙して周っていたって言う、悪逆非道で暴力と理不尽の
化身と伝わる三大悪妖怪の一角だったよな?」
と俺は前世にて培った鬼についての話を思い出し、そしてこの世界での大鬼と言われる存在は
前世における鬼と同じような存在ではないかと予想し、そして嫌な予感がひしひしと自身に
感じ始める。あぁ現代でも有名な鬼だと酒呑童子とか茨木童子とかが代表名だよなぁ。
「うぇもし鬼と大鬼が同じ様な存在なら、あれだけ悲鳴を上げて一目散に逃げるのは納得
だよな、まぁ今の俺はそんな悪逆非道な存在と同じだし、遠慮とか気を遣うつもりとか全然
する気はないし、ここは鬼らしく、いや?大鬼らしくの方が合ってるか、まぁ蹂躙一刀に
歩んで行くかぁ」
と俺はそう大きな声で誓うように言いながら、木こりの人間が逃げて行った道を沿うように
して村へと向かって行く。果たしてどんな歓迎してくれるのだろうか。
「やっぱ村に続く参道だけあって、ちゃんと進みやすく地面が整備されていて、すげぇ歩き
やすくて、快適だよな」
と俺は森林伐採場から村へと続く参道が、しっかりと整備が整っている事に喜びを感じながら
楽々と歩き進んでいると、木々が無く小麦畑が広々と広がる場所に到達する。あれは畑だ。
「おぉすげぇ一面小麦畑が広がっていて綺麗だな、こう言うのまるで黄金麦畑って表現する
とか聞いたが、確かこれはそうだな」
と俺は道すがらに黄金に実った小麦畑が広がる光景に、興味深く眺めつつ進んでいると、道の
先に大きな物見矢倉が建っており、そしてその周りの囲むように藁屋根の木造家が建ち並ぶ、
如何にも辺境にある田舎村な景色が見えて来る。おぉ目指していた村が見えて来たな。
次回は、別視点からの語りに挑戦してみます。つまり主人公以外の視点で話を進めます。