第38話
ちょっと今回は短めです。
第38話
さて、理由はどうあれ今後黒頭の仏僧ような強者との戦闘に備えて、自身が知る知識を総動員
して【火の小玉】構造や仕組みなどを調べ、応用発展させて行き、そして魔術研究を始めてから
夜は寝ず、昼に眠りこけながら、凡そ三日程の時間費やし続けて、遂に【火の小玉】から新たな
魔術術式陣を三つ程作り仕上げることに成功し、いざ引き籠っていた本堂から外へと出って、
ちゃんと想定道理に発動するかの実験を試みてみる。さぁ外に出て、実験だぁ!。
「はははは遂に出来上がったぞ!俺が初めて自身の知識で作り上げた術式陣、ちゃんと想定した
通りに発動するのかが心配だけど」
と俺はそう呟きながら、昨日気分転換に廃寺周辺の残骸から使える建材などで作った試し打ち用
の案山子の前まで移動し、作り仕上げた魔術の実験を始める。さて、【火の小玉】の仕組みを
応用発展改造することで出来上がった魔術が三つ、どれから試してみるか。
「ふむ、まず最初に試すのは、火で再現した獣の鋭い爪を両手に纏う魔術、あぁ名付けるなら
【火の獣爪】だろうか」
と俺はそう呟きながら、自作魔術である魔力系第1位魔術【火の獣爪】を発動させると、自身の
両手に火花が散り、一気に火が手を纏うように燃え盛り、その形は大きく鋭い五本の爪を備えた
猛獣の手へと変化する。ふむ、ちゃんと無事に発動出来たな。
「ふむふむ、ちゃんと火を爪状に纏えているし、肌が燃えるような感触はないが、少しだけ暖か
い感じがするような気がするが、まぁ誤差だろう」
と俺はそう呟きながら、発動させた魔術の効果状態などを確認しつつ、目の前の試し打ち用の
案山子へと向けて、燃え盛る獣爪を軽く手加減しながら振るい切り裂いてみると、あっけなく
試し打ち用の案山子は切り裂かれた部分から火が広がって行きながら、地面へと倒れて行く。
あぁそうなるのねやっぱ。
「あぁなるほどちゃんと火は燃え移るのか、じゃぁ残り二つの方もちゃんと触れれば燃えるね、
まぁそれより軽く手加減したのに、こうも簡単に壊れてしまうとは、やっぱその辺の残骸から
拾って来た廃材で作ったのがダメだったかな?、それとも【火の獣爪】の斬撃力が強いのか?」
と俺はそう呟きながら、いとも簡単に壊れてしまった試し打ち用の案山子の脆さに頭を傾げて
考え込んでしまう。うーんまだ二つ試してみたい自作の魔術が、残っているんだけどなぁ。
「・・・はぁ、もう一度作るのも面倒だし、適当にその辺の残骸に埋もれている角材とかを
地面に刺して、的にするか」
と俺はそう呟きながら、真っ二つに壊れている試し打ち用の案山子を、その辺へと適当に投げ
ながら片付けつつ、5本ほどの角材を垂直に地面に突き刺して、的を準備し終える。まぁ一応
予備も合わせて、刺しておくか。
「ふぅまぁ5本ぐらいあれば試し打ちには足りるだろう、さぁて次に試してみる自作の魔術は
矢状の火を作り出して撃ち出す【火の早矢】だな」
と俺はそう呟きながら、自身の右手を的の角材がある方へと向けてから、意識を的へと集中
しながら魔力系第1位魔術【火の早矢】を発動させると、掌から燃える火の渦が発生し、そこ
から燃える火の矢が撃ち出され、的の角材の一本へと命中し、そのまま燃えながら的を粉々に
破壊する。おぉなるほど、組み上げた設定通りの効果で、威力もそこそこだな。
「あぁ・・・感覚的に速度はそこそこで、威力と貫通力は【火の小玉】よりもそこそこ強いし、
射撃精度はそこそこみたいだから、まぁ試作として考えれば良い仕上がりかな?、あぁだけど
【火の早矢】の発射速と撃ち出された後の弾速なんかは、もう少し速くないと移動する標的
には使いづらいか?、あぁこれはもうすこし術式の調整などをしておく方が良いか」
と俺は的の角材へと試し射ちをした【火の早矢】の弾速及び発射速や威力及び射撃精度などを
観察して見た後、もう少し弾速や発射速などの速度を、より速く飛ぶように効率的な術式陣に
した方が良いだろうと、【火の早矢】の効果性能などを分析した結果、後で調整などが必要
だろうと判断する。はぁそう簡単には、上手く完成しないか。
「まぁとりあえず気を取り直して、最後に試してみる自作の魔術は、自身の宿る魔力を任意の
方角へと射ち放つ、名付けて【魔の咆哮】!」
と俺はそう独り言を呟きつつ、一気に自身に流れる魔力を一方向へと集めながら、的の角材達
へと向けて魔力系第1位魔術【魔の咆哮】を発動させると、射線上にあった地面と的の角材と
その先に在った森林などを軽々と粉砕吹き飛ばし行き、跡に残ったのは、直線状に抉れた地面
が存在するだけだった。おぉすげぇ威力が出たなぁ。
「うおぉすげぇことになったな、大鬼が保持する魔力を溜めて放つだけで、こんな威力になる
とは、感覚的には全体魔力量の5分の1程度だったけど、これは使う際は場面をよくよく考え
ないと、余波で二次惨事を引き起こすぞこれ」
と俺は何気なく試し射ちした【魔の咆哮】が、自身の想定していた威力よりも遥かに強力だった
ことに驚きと興奮を抱くが、それはそれとして全体魔力量の5分の1程度の出力で、こんなことに
なったので、今後使う場合は二次被害なども考えて使用しないといけないだろうと判断する。
うーんこの魔術は強敵などと戦う以外では、控えようかな。
「まぁとりあえずこれで作った自作の魔術は試し終えたし、あとは廃寺の本堂に戻って、飯でも
食べながら、修正が必要な【火の早矢】の術式でもいじるか」
と俺は右手で頭を軽く掻きながら、そう言って廃寺の本堂へと戻って行く。さて、今日は何を
食べようかなぁ。
と言ったところでここまです、いやぁ主人公が作った自作魔術、出来るだけ初歩的な感じで、色々と応用できそうな弱い魔術に仕上がってますかね?次の投稿ですが、まぁ来月の中頃辺りで投稿出来たら良いなっと考えてます。