第28話
いえぇかけたゾ。
第28話
「さて、二人が焚き火の準備をしている内に、私も灰鋼大蜥蜴の肉身と骨を切り分け終えない
と行けないわね、うーん確かこう言う時の為に作った魔術があったわね、あぁこれのはず」
とアリスはぶつぶつとそう独り言を呟きながら、灰鋼大蜥蜴の鱗無し死体へと向かって手を
かざすと、次の瞬間には灰鋼大蜥蜴の鱗無し死体から突如として大量の血が噴射して行き、
その血は空中へと球体状に集まって行き、数十秒ほど経過したところで球体状の血の結晶玉が
出来上がり、そのまま浮遊しながらアリスの掌の上へと移動する。うぉすげぇ派手に血抜きを
しているなぁ、どうやっているのだろうか?。
「さて、これで血抜きが出来たわね、あとは肉を骨からそぎ落とす訳だけど、うーんそうねぇ
どの魔術を試そうかしら・・・」
とアリスは血の結晶玉を手の中で持て遊びながらそう呟く終えると、何か考えをしているのか
、呟くのを辞めて無言になるが、しばらくして徐に腕を軽く上げたかと思えば、ゆっくりと
腕を振り下ろすと同時に、血抜きされた灰鋼大蜥蜴の鱗無し死体の各部位ごとに切り裂かれて
行き、そして各骨身にある肉部位を削ぎ落として行き、そして肉を筋肉質と脂肪質に綺麗に
細かく食べやすい大きさに切り分けられていく。うーんだいたいこのぐらいの大きさの枝が
良いのか?いや、少し長し折っておくか。
「あら少しだけ骨に肉が残っているわね、だけど肉の脂肪と筋肉は綺麗に切り分けられている
から、恐らく骨から肉を削ぎ落す際の術式計算がずれているみたいだから、後で修正しておか
ないと・・・・・・それじゃ二人とも肉の加工し終えたけど、焚き火は準備出来たかしら」
とアリスは魔術だと思える技を使った、灰鋼大蜥蜴の肉加工の出来栄えについての独り言を
言い終えると、少し無言の間を挟んでから、俺と八腕神が居る方へと振り向き、焚き火の用意
は出来たのかと、確認をしてくる。おぉ何か一瞬で終えたな灰鋼大蜥蜴の肉の処理は。
「あぁこっちは手軽に木々の枝と八腕神が取って来た小石を円状になるように組み並べて、
その中心に乾燥した落ち葉を盛ったところだ、あとは火を付ければ燃えるはずだぞ」
と俺はそう言って、焚き火の下準備が終えたことを伝えると、アリスは軽く頷きながら、手を
前に出して構えると、突如として小さな火の玉が出現し、下準備が終えた焚き火へとゆっくり
と進んで行き、着火して焚き火は勢いよく燃え盛り始めた、どうやら魔術を使って火を起こし
たようだ。はぁあの魔術便利そうだなぁ。
「ふふふ、はいこれで焚き火に火がついたし、早速灰鋼大蜥蜴の肉を焼いて行くわねって?
どうしたのよ大鬼ちゃん、そんなに興味深そうな表情を浮かべて?」
「いや、アリスが使ったその火を付ける魔術便利そうだなっと思ってた」
と俺はアリスから興味深そうな表情を浮かべてどうしたのかと問われたので、先ほどの焚き火
を着火する際に使用された魔術が便利そうだなっと思ったことを伝えると、アリスは物凄く
不気味な微笑みを浮かべてずるりと俺の傍まで近づいて来る。うわぁ怖え、地雷だったか。
「ふふふ、何々興味がおありかしら、良いわよ私自ら手取足取り教えてあげるは、魔術の凄さ
と偉大さとその魅力を全て語ってあげるわぁ」
「なぁ追加の薪と枝を持って来たのじゃが、何でアリスの奴は気味が悪いくらい興奮しておる
のじゃ?」
とアリスは興奮気味にそう言いながら、俺に魔術の凄さと偉大さと魅力について語りだそうと
したところで、丁度良いのか間が悪いのか、薪と枝拾いから帰って来た八腕神は何でこんなに
アリスが興奮しているのかと俺に問いかけて来る。いやぁ、どうやらアリスに魔術の話題は
地雷だったようだ。
「いやそのだな、何となくアリスなぁ、その火を付ける魔術便利そうだなって、言うったら
何か唐突に興奮しだして、魔術の凄さとか魅力とか偉大さとか語るとか何か言い出したんだ」
と俺はそう言ってアリスが興奮しだした経緯をこっそりと伝えると、八腕神は如何にも嫌そう
な表情を浮かべ、八本ある腕の一本で、自身の顔を覆って項垂れ始める。あぁ凄く嫌そうに
しているなぁ。
「あぁじゃぁ、それはいかんぞウジ殿よ、アリスに対して魔術関連の話題は持ち出すと、楽し
さのあまりに感情が暴走して、魔術についてあれやこれやと小難しいことを長々と語り始める
のじゃぁ、そして面倒なことに素っ気なく接すると物凄く拗ねって、昔のことを愚痴口と語り
始めるのじゃ、だからある程度は話を付き合ったところで、話題をすり替える方が良いぞ」
と八腕神はアリスに魔術関連の話題を出すと暴走するところがある事と、素っ気なく対応する
と拗ねて余計に面倒くさくなるので、ある程度は話に付き合わないといけないことと、対処法
について教えてくれる。うん、アリスってそんなに面倒くさい性格なんだ。
「どうしたのよ?そんな二人でこそこそと話し合って、一体何の話しているのかしら?」
とアリスはこそこそと語る二人を不思議そうに眺めながら、一体どこから取り出したのか、
焚き火の上に折り畳み式の足がある網鉄板を置いて、灰鋼大蜥蜴の肉をじっくりと塩らしき
粉を振りかけながら、問いかけて来る。今していた話を聞かれたら、拗ねそうだな。
「いやぁ少し気になることがあっての、だからウジ殿に確認しておっただけじゃ!、そうじゃ
のうウジ殿よ!」
「えぇあぁそうだ、別に気にするほどのことじゃないぞ、それよりも火を付ける魔術を教えて
くれないか?ちょっと気になっているだ」
と俺と八腕神は少し慌てながら、必死に誤魔化し言うった後、俺はアリスに火を付ける魔術を
教えてくれないかと頼んでみる。とりあえず不信思われる前に、魔術の話題を言って機嫌を
取っておこう。
「えぇそう!あぁ良いはよ!火を付ける魔術をこの私に、そうこの私から教わりたいと言わ
れる何て・・・良いわよ事細かく私の知識を大鬼ちゃんに伝授してあげるわぁ」
とアリスは傍から見ても分かるくらい超機嫌な表情と声をしながら、火を付ける魔術について
教えることを了承する。まぁこれで先ほどの八腕神との会話について忘れてくれるだろう。
「えーまず火を付ける魔術を教えたいところだけど、まず大鬼ちゃんは魔術について一般的な
認識についての知識しかなさそうだし、ここは魔術を使用する為に知って覚えてもらわないと
いけないことがあるわ」
とアリスは火を付ける魔術を教える前に、徐に俺の方に指先を向けながら、魔術を使用する為
に、知って覚えなければいけないことがあるのだと言う。うん?魔術を使用する為に必要な
ことって何だろう?。
「えぇ魔術を使用する為に知って覚えなければいけないって?一体何なんだよアリス」
「まぁ慌てない慌てない、まず魔術を使用する為に重要なことから説明するわ」
と俺は魔術を使用する為に知って覚えなければいけないこととは何なのかと問うと、アリスは
ゆっくりと丁寧に魔術を使用する為に重要なことから説明し始める。うわぁ何だろう物凄く
長い授業になりそう・・・。
「魔術を発動する為には現象に対する深い理解力と己に流れる魔力の操作力と複雑な術式構築
する計算力を持つことが重要なの、何故なのかと言うと魔術を使用する際の過程がどの様な
現象を起こそうとして、それに必要な魔力を操り、発動させるための術式を組み立てて、任意
で発動させると言うのがどんな高位の魔術であっても変わらない使用行動の仕組みだけど」
とアリスは言葉の波とも言いえる速さと量を語りながら、魔術を使用する際に行われる一連の
使用行動について説明していく。おぉおう、あぁまだ話について行けているな俺。
「そして大鬼ちゃんが先ほど教えをこいていた魔術の名前は魔力系第1位魔術【火の小玉】と
言うのだけど、まぁ階級からでも分かる極々初歩的な魔術であり、日々の日常的な用途で利用
するには丁度良い魔術な訳なのよ、そして使用際に必要な使用行動の大雑把な内容だけど、
まず強く火を脳内で想像し浮かべながら、体内に循環する魔力を強く念じて操作し、現象を
生み出す為の術式を即座に組み立ててから、必要な量の魔力を消費させることで、この通りに
燃える火の小玉が出現するのよ、これで大雑把にだけど魔力の操作の流れは見れた事だし、
それでは実際にやってみましょうか、肉は自動で焼いて、勝手に皿に移されるから、気にせず
に大丈夫よ」
とアリスは火を付ける魔術である【火の小玉】がどの様な流れで発動させるのかを説明しな
がら、実際に分かりやすくしながら魔術を披露し終えると、アリスは俺に実際に魔力を操作し
てみなさいと言って近づいて来る。今の流れでいきなりかぁ、いやまぁ実際に使用行動を見せ
ながら詳しく説明されたから、何となく魔力をどうやって操作するのかは分かるけど。
「うん分かった、うーんえーとこんな感じに魔力を操作するのか?あぁ結構難しいな」
と俺はそう呟きながら、先ほどアリスの魔術を見て感じた通りに、自身の体内に巡る魔力を
たどたどしくではあるが、何とか簡易的に操作して行くと、その様子を見ているアリスは、
それはそれは傍から見ても正直に引くほどの超ご機嫌な微笑みを浮かべており、そして次々と
焼き上がって行く灰鋼大蜥蜴の肉の様子を眺める八腕神は、長々と続くアリスの魔術講座に、
眉を顰めながら、俺の【火の小玉】習得為の魔術の基礎技術習得は順当に進んで行くので
あった。
はい、以降魔術講座初級でした。うまく説明出来ただろうかと不安ですが。