第20話
第20話
「はぁ~全く短い付き合いだけど、大体あなたの性格を掴めたような気がするわね、それじゃ
少しわたくしの能力を使ってあげるから、どこかに偉そうで、他との人間よりも身だしなみが
良い服装をした人間がいたら、一緒に捕まえるのを協力してくれないかしら」
とわたくしは渋々ではあるが、未だに悩み考え込んでいる大鬼のウジに対して、身だしなみの
良い人間を、一緒に捕まえるのに協力してくれないかとお願いする。とりあえず情報源の確保
をしないとね。
「うん?身だしなみの良い偉そうな人間をかぁ?まぁ必要と言うなら、すぐにでも捕まえに
行くんだが、何故身だしなみの良い村人でないといけないんだよ??」
と大鬼のウジは何故身だしなみの良い服装をした人間を捕まえて、一体どうするのだと、問い
かけて来る。あら?やっぱ気になっちゃうかしら?。
「うふふふ、まぁそうね今説明すると結構長話になっちゃうから、実際にその身だしなみの
良い人間を捕まえた時に披露するわ、今は言えることは、わたくしには一部の妖兎何かが、
ごく稀に授かる力をあると言うことかしら、えぇ忌々しいことにね」
とわたくしは小さく笑い声を出しながら、自身には特殊な能力があるのと、口で説明すると
長話になってしまうので、実際に身だしなみの良い人間を捕まえた時に、その力を披露するの
だと、そう告げる。まぁわたくしとしては余り使いたくない能力なんだけどね、何せこの能力
のせいで、皆から気味悪がられ、親には不気味がられた挙句に捨てられ、故郷では同族より
嫉妬と嫌悪感を抱かられて、理不尽な迫害を受けて生きることになった呪いだから。
「あぁそうなのか、ならさっさと目的の村人・・・身だしなみの良い人間を探すとするか、
あぁそう言えば、潰された眼球は大丈夫なのか?何か平然とここまで歩いて来たように見え
たんだが?」
と大鬼のウジはそう言って目当ての人間を探しに行こうとしたところで、唐突に何で眼球が
潰されていたはずなのに、平然とここまで歩いて来れたのかと、疑問に満ちた雰囲気でそう
問いかけて来る。あら?普通に時間経過で再生しただけなのだけど?・・・もしかして知ら
ないのかしら。
「あれ?ウジは知らないのね、妖兎は自己治癒力が高いから、頭と心臓が吹き飛んだりとかし
なければ、大抵の怪我とかは時間経過で、傷痕も残らずに治るわ」
とわたくしはそう言って妖兎には、人間よりも遥かに高い自己治癒力が備わっており、大抵の
怪我程度はそう時間も掛からずに、治ると言うことを教える。まぁ妖兎以外にも自己治癒力が
高い種族は多く居るんだけど、今は言う必要はないわね。
「あぁーなるほど、だから見た目的にはかなりの瀕死な状態だったが、妖兎的には別に生命的
危険状態でもなかったっと言うことだな」
と大鬼のウジは納得した言ったぐわいの表情を浮かべながらそう言うと、徐にわたくしの身体
をじろじろと興味深く感じる視線で、眺め始める。うん、何かわたくしの身体を隅々まで見よ
うとする視線を感じるわ。
「・・・はぁその隅々まで見ようと言う視線、辞めてもらっても良い?何だか物凄くむずむず
して来て、落ち着かないわ。そもそも大鬼の貴女にも妖兎ほどではないけど、軽い掠り傷程度
なら、一瞬で完治する程の自己治癒力がある訳だけど、それにも気付いていないわけ?」
とわたくしはそう言って、大鬼にも人間よりも高い自己治癒力が備わっていることを、指摘
してみると大鬼のウジは驚き表情を浮かべる。え!?何で驚いているわけ?。
「え!?そうなのか、てっきり大鬼的な気合の力で、傷を塞いでいるのかとばかり思ってたが
、そうか唯の自己治癒力だったのかぁ・・・はぁ何だ」
と大鬼のウジは思わずっと言ったぐわいの驚きの声を上げた後、心底落ち込むような表情を
浮かべてしまう。本当に何も知らないのね、ふむ一体どんな辺境で、生きていたのかしら?。
「はぁまぁそれじゃぁ説明は終えたし、早速身だしなみの良い人間を探しに行きましょ、ほら
いつまでも暗く落ち込んでないで、ほら進んで」
とわたくしはそう言って、何故か暗い顔をして落ち込んでいる大鬼のウジの背中を押して、
屋敷内を移動して行く。うぅ少し重いけど、一応歩いてはくれているみたいだけど。
「ねぇ今居る廊下の位置から右側にある扉の先に人間の物音が聞こえて来るからさ、ちょっと
探りに行って来てくれない?」
とわたくしはこの屋敷内を少し巡り歩いた後、人間の足音が多数聞こえて来る部屋を発見した
ので、背中を押して移動させていた大鬼のウジに、その部屋を探りに行ってくれないかと、
お願いする。それにしても何でこんなに暗く落ち込んでいるんだ?、呟いていた発言からして
、自身の傷を癒していたのは、気合だったと思っていたようみたいだったようだけど、そんな
に落ち込むほど嫌だったのかしら、自己治癒力って。
「うへぇ?あぁこの扉の部屋だな、確か身だしなみの良い村人が居たら、その場で捕まえた後
に、この屋敷に貯蔵されている、金品の場所を聞き出せば良いだな」
「そうね、その通りなんだけど、一応力加減には気を付けて捕まえてね。それとね、もし隙を
突かれて、逃げられそうになっても、わたくしの方で補助しておくから、気にせずに突入して
行って」
と大鬼のウジは放心状態だった為、少し変な返事をすると、自身がこれからするべき行動など
を呟きながら、こうすれば良いかと確認を取って来たので、わたくしは概ねその通りだと答え
ると、部屋の入り口に陣取っているので、気にせずに突入して来てくれと、そう補足する。
「よし何となく分かった、そんじゃぁここは景気よく、派手に突入するとしますかぁおりゃあ
ああぁ!!」
と大鬼のウジは笑顔でそう言い終えると同時に、人間が避難している部屋の扉へと向かって、
周囲に響き渡る程の風圧音が発生するほどの速度と質量が載った拳にて殴ると、接触した部屋
の扉は、いともたやすく小麦粉のように霧散砕け、そして扉周りの壁は激しく吹き飛ばされて
行き、すぐそばに居たであろう人間を含む家具類を挽肉の姿へと成り果て、そして今にもこの
屋敷が倒壊してしまうのではないかと思える程の衝撃音が響き揺れ渡る。うおいい!!?普通
に扉をこじ開ければいいだろおおお!?。
「ぶふぉげほげほ!、おいこらぁウジ!?何でそんな威力の拳で殴った!、いくら何でも派手
過ぎるわ、一体何故そんな威力で扉を殴ったのよ?」
とわたくしは辺りに立ち昇る埃煙に噎せながらも、一体何故ここまで派手に扉を破壊する程の
威力にて殴ったのかと問いかける。全くこれで中に居た何人かの人間は、今ので死んだみたい
だし、はぁ・・・金品の有りかを知っている人間が居て、まだ生きていればいいけどね。