第18話
第18話
「おぉ良い食いっぷりだな、それじゃぁ俺もまだ腹が減ってるし、改めて食べるとするか」
と俺は我武者羅に齧りながら食して行く兎耳少女を眺めつつ、自身も食す途中であった漬物
などをむしゃむしゃと強靭な歯茎で、豪快に食べ進んで行き。このパン固いが美味い。
「あぁそうだそうだ、なぁ兎耳少女よ、お前の名前は何て言うんだ?あとその兎のような耳
とか色々と人間とは違うようだが、何の種族だ?」
と俺は保存の効かない食料などを食べている途中で、そう言えば兎耳少女の名前を聞いてい
ないことに気が付き、俺は徐に何と言う名前なのかと問いかけ、そしてついでに兎耳少女の
何と言う種族なのかも問いかける。
「ふふゃい?、あぁえーとわたくしの名前ですか?あぁニシザミ、ニシザミ・ジュウゼキと
申します・・・そしてわたくしの種族名ですが、人々からは妖兎と言われ、特に人間など
からは、気味が悪い妖魔だと嫌われています」
と兎耳少女は、自身の名前がニシザミ・ジュウゼキと言うのだと答えると、もう一つの問い
である何と言う種族なのかについて、何故か少し陰鬱な雰囲気になりながら、自身の種族名
が妖兎と言われていること、そして人間などからはかなり気味悪がられていることなども
教えてくれる。うわぁ何だろう生前の近所に住んでいたおじいさんを思い出した。
「へぇニシザミ・ジュウゼキって言うのか・・・うーん何か見た目とのギャップが凄い名前
だな。そんで妖兎て言う種族なのね、まぁ名前からしてどういう意味でそう言われているの
か、そして何故気味悪がられているのかも、まぁ村人の妖魔に対するあの反応で、大体察せ
られるがぁ」
と俺は兎耳少女もといニシザミの名前が、可愛い見た目からは想像できない程度には、渋い
名だったことに驚きの言葉を呟き、そして妖兎と言う種族名で、しかも人間などから気味悪
がられていると言う発言から、この世界の人間と妖魔の関係性はかなり悪いだなと、大体
察して理解してしまう。まぁ初めからかなり敵意向けて来ていたから、予想していたけど。
「あぁとりま次の質問に移るんだが、その人間から気味悪がられているであろう妖兎である
あんたが、一体どういう経緯を辿ったことで、あんな酷く重傷になるまで村人から拷問を
受けることになったんだ?」
と俺は何故倉庫に吊るされて、そして酷く重傷になるまで拷問を受けることになってしまっ
た経緯などが少し気になったので、そのことについて問いかけてみると、ニシザミは明らか
に気まずそうな表情を浮かべ始める。うーん一体どうしたのだろうか?。
「え!えぇーとその・・・あぁ森の中を放浪していたら、この村の狩人が仕掛けていた、
とらばさみに引っかかった挙句に、村人の巡回隊に見つかって、そのまま殴り蹴られたりの
暴行をされた後に、縄で拘束されて捕まったんだよ、そんでその後は他に仲間がいるのか、
そして居場所はどこだとか、村に近づいた理由なんかを拷問混じりに問い詰められてたわ」
とニシザミは気まずそうに苦笑いを浮かべながら、何故村人に拷問を受けるまでの経緯に
ついて語りきる。あぁ何だろうな、よく生きていたよな、よく考えれば、普通あんだけ全身
血塗れになるほどの打撲刺傷切傷負わされでは、外傷性ショック死でもしそうなのだが。
「あぁそれで倉庫の天井から吊るされていたのか、まぁそれは散々な酷い目に遭ったんだな
、まぁそれはそうと、なぁこれからどうする気なんだよ?ニシザミは、今は俺が道塞ぐ連中
を適当に叩き潰した所業で、村は大騒ぎになっているから、目が潰されている奴だったと
しても、簡単に逃げられると予想しているんだが」
と俺はニシザミが村人に捕まって拷問を受けるまでの経緯を聞き終え、何とも運の悪い女だ
なっと心の中で思いつつ、これから一体どうするのかとニシザミに問いかけてみる。いやぁ
本当にどうする気なんだろうか?、一応手当はしたが、潰された眼球はどうにもならないと
思えるのだが。
「あぁまぁ普通にここから逃げるわよ、あと潰された眼球についてだけど、なぁに心配いら
ないわよ、どうせしばらく時間が経過してしまえば、拷問なんかで受けた傷なんて、傷痕も
残さずに‘勝手に治る‘はずなんだし」
とニシザミはこの村から逃げると答え、そして村人に負わされた傷などは、いずれ時間が
経過すれば勝手に治ると言う、引っかかる言葉を交えつつ問いに答える。勝手に治るって
どう言うことだろうか?妖魔特有の治癒能力があるのか?。
「あぁ後半一体どう言う意味なのかは、よくわからないんだが、まぁとりあえずニシザミは
普通にこの村から逃げる訳だな」
と俺はニシザミが最後に何気なく言った、勝手に治ると言う言葉が、どういった意味での
ことなのかは、ひとまず考えないことにし、とりあえずニシザミは、この村から逃げると
言う訳だなっと、再度確認の為に問いかける。
「あぁ聞き流してくれる訳ね、そうよわたくしは、こんな酷い目にあった村から、さっさと
逃げようと思う訳なんだけどね、まぁもしもまた捕まったらいけないし、この村の間だけ
でも一緒に行動してもいいわよね?」
とニシザミは再度の確認に対する問いかけに答えが、また捕まってもいけないしっと言うと
、俺に村の間だけでも一緒に行動しても良いかと問いかけられる。あぁ村の間だけ一緒に
行動するのかぁ・・・。
「うーん俺が倉庫から助けた訳だし、最後までちゃんと面倒見るか・・・あぁ村の間だけ
だが、一緒に行動しても良いぞ!、それじゃぁ少しの間よろしくなニシザミよ」
と俺は自身が助けた訳だし、最後まで面倒をするかっと言った具合に、ニシザミが村の間
だけ、一緒に行動しなかと言う誘いに対して、良いぞっと了承の言葉で、返答する。
「えぇありがとうね、こちらこそ短い間だけど・・・名前は「俺の名は宇治って言うだ」
あぁウジって言うのね、えーと何か珍しい名前をしている方なのね、それじゃぁ改めて短い
間だけど、よろしくお願いね」
とニシザミは俺の了承してくれたことに、感謝の言葉を呟くと、何か言いかけたところで、
そう言えばまだ俺の名前を伝えていなかったことを思い出し、咄嗟に俺の名前を教えてあげ
ると、ニシザミは珍しい名前な方なのねっと珍しそうに呟きながら、改めて短い間だけど
よろしくねっと言い終えると、徐に片手を差し出して握手を求められたので、俺は何となく
物凄く手加減しながら、握手に応じたのであった。