第1話
俺は今、男と向き合っている。
男は傘の先端を俺の首に突きつけている。
俺はその傘を握っている。
その瞬間、傘の先端が俺の喉を貫く。
血の味が口の中に広がり、俺は血を吐いた。
そして、目の前が真っ暗になる。
俺は今、学校の屋上に居た。
そばには1組のカップルらしき男女が横になって空を見上げていた。
俺はそれを横目に屋上から飛び降りる。
地面まですごく長く感じる。
そう思った瞬間、隣に男が現れる。
男は俺を見て何か言ったが、何を言ってるのか聞き取れない。
しかし男は話を続けている。
そして、傘の先端を俺に向ける。
俺はそれを手で払った。
そのとき、地面に落ちたと思ったが、なぜか深い水に落ちた。
痛みは多少あったが、生きている。
俺は自ら顔を出した。
思ったより深くは無く、腰くらいの水深だった。
見渡すと、どこか知っているような街並み。
ただ、所々建物が崩れており、廃墟と化していた。
訳わかんねぇ・・・・。
そう思った時だった。
「そんなところにいないで早く上がってきなよ」
さっきの男とは別の男が微笑んでいる。
俺はそいつに言われるがままとりあえず川から上がった。
そいつは俺のそばにきて、何か呪文のようなものを唱えた。
すると、着ていたびしょ濡れの制服が乾いていた。
「君、こっちにきて」
男がそう言って、歩き出した。
俺は不審に思いながらもそいつに着いて行く。
男は廃墟のビルのような建物に入った。
そして、エレベーターのボタンを押した。
なぜかエレベーターは動く・・・。
どうなってんだよ、ここ。
男は俺に乗るように促す。
エレベーターに乗ると、男も乗ってきて、5階のボタンを押した。
そして、エレベーターは動き出し、5階で止まって扉が開く。
何もないコンクリートの壁の部屋。
少し奥のところに暖炉のようなものがある。
変な作りだ・・・・。
俺は真ん中までキョロキョロ見ながら進むと、男は何かのボタンを押した。
すると、大量の人のようなモノが襲ってくる。
「あぁ、そいつゴブリンだから」
男がそう言ってニコニコと笑みを浮かべている。
何を考えているのかわからないが、ゴブリンから逃げることに集中する。
「んー、これでもだめかぁ」
男は訳のわからないことを言って、別のボタンを押した。
すると、水が部屋の半分ほどまで貯まる。
俺は溺れそうになりながらももがいていた。
その時だった、俺の手からバリアーのようなものが出た。
なんだこれ・・・。
俺がそう思っていると、男は次のボタンを押す。
今度は熱湯が大量に降ってくる。
息苦しいのと、熱さで俺はさっきのバリアーのようなものを使って上に上がる。
「もう少しなんだけどな・・・」
男がそう言うと、水が消える。
俺は息を整える。
そして、男を睨む。
すると、さっき俺らが使ったエレベーターから俺が落ちる時に見た男が現れる。
いつの間にか暖炉には火が着いている。
そして、その前に4人のゴブリンが並んで横になっている。
一匹は子供っぽい。
男は俺に近づいてくる。
俺の目の前に立つと、男は傘の先端を俺に向けてきた。
「君、覚醒しないと」
男は訳のわからないことを言って微笑む。
目をさっきのゴブリンの方に向けると、巨漢の男がいつの間にかそこにいて、一匹の首を捻った。
血が噴き出て、巨漢の男は隣の子供にも手をかけた。
「それはこの子に任せよう」
傘を持っている男がそう言うと、巨漢の男は動きを止めた。
そして、俺の方に向き直し、
「どうする?」
と聞いた。
「俺は・・・」
俺はそいつの傘を掴む。
すると、何かが頭を過ぎる。
そうか、俺に足りなかったのは受け入れること。
何かはわからない。
けど・・・。
俺は男を見つめる。
「覚悟は決まったようだね」
男はそう言って微笑む。
そして、俺はそいつの傘の先端を首に突き刺した。
血の味が口の中に広がり、血を吐き出した。
しかし、心臓が熱く感じる。
見ると、心臓に青白い光で何かの模様があるのが見えた・・・。
男は傘を抜き取る。
傷口は塞がっていた。
「これは・・・」
俺が戸惑っていると、
「君すごい力を持ってるね」
と男が微笑む。
確かに、何かの力に目覚めたような感覚はあった。
そして、俺らが乗ったエレベーターとは別のエレベーターが現れていた。
巨漢の男はいつの間に消えていた。
「君の力はすごいけど、内田悟には気をつけて。あいつはヤバいから」
男はそういった。
俺は乗ってきた方のエレベーターのボタンを押した。
扉が開いた瞬間、少し太った男が何かをしていた。
俺は男と目があった。
その瞬間、こいつが内田悟だと悟った。
もう一つのエレベーターに乗ると、扉が閉まりかかる。
早く閉まってくれと言う願いで赤い方のボタンを押すと扉は開いてしまった。
俺が焦っていると、男は
「大丈夫、なんとかするから」
と言って、扉から顔だけ出して、
「大丈夫、なんでもないから」
と言った。
そして、また扉が閉まりかかる。
俺は安堵して壁に寄りかかる。
エレベーターは俺と2人の男を乗せ、下に降りていく。
1階に着いて扉が開く。
俺らはエレベーターから降りた。