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こういうことがあったのよ

 いろいろ考えさせられます。


 私は2回目の川下りが終わり、乗船場へと戻ってきました。

 そこへ血相を変えてやってくるGAL3人組・・・私のファンかな?そんなことは絶対にありません。

「スマホを落としちゃって」

 あちゃーですね、まさに、川やお堀にスマホを落としてしまうと、ほぼ見つかりませんし、壊れちゃいます。

 私は、

「いやー、どこに落とされました」

「あの辺です」

 指さすのは、橋の下・・・ああ、写メなんか撮っていて橋の上から落としたのかと察しました。

「・・・スマホは見えないでしょう?」

「いいえ、見えています!」

 との声、確かにうっすら見える、望みはあるか。

「ちょっと待ってね」

 私は駆け出し、用具室から胴長を取り出し着替えます。

 颯爽と橋下の係留している舟から、ゆっくりと川底へ足を運びます。

(無理っ!)

 思ったより深く、胴長の胸部分から大量の水が入ってきます。

(勘弁してよ)

 GALたちは、もう取ってくれるものと熱い眼差しでこちらを見ています。

(人生うまくいくと思うなよ)

「ふんぬっ!」

 水で膨らんだ胴長の重みを感じつつ舟に戻った私は、心の中で悪態をつきつつ、係留ローブを緩め、舟を動かして落ちた場所に寄せます。

 スマホは底に見えています。

「これだね」

「そうです」

 橋の上からGALの声・・・ああ、はいどうぞと胴長を渡してこの場面をするーしてぇ(笑)、なんぞ思いながら、スマホの近くに身体を入れます。

 やっぱ浅くないよね。

 川底に足を着くと、首下まで水があります・・・水も滴るなんとやら・・・。

(やっぱり)

 私が川底に立つと、泥がまいあがりスマホが隠れてしまいます。

「あー」

 というGALの溜息。

「ふう!」

 とこちらも負けじと聞えるような大きな溜息をつきます。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

 しばらく待つと、濁りがおさまり、川底に白いスマホの姿が見えます。

(よしっ!あとは・・・)

 手を伸ばしても届きません・・・ならば。

(勇気だけだ!)

 躊躇い後、退けぬ思いで、頭を水中に潜らせ、腕を伸ばします。

 掴んだこの感触っ!

(スマホゲットだぜいっ!・・・いや、とったどー!)

 見れば運のいいことに、スマホは生きています・・・防水機能つきだったのかな。

 とりあえず、ホッとしつつ、

「ひぃひぃはぁはぁ!」

 かなりわざとめに、荒い声をあげて舟に戻ります。

(いいかい、人生はこんなうまいことばかりはないんだよ。もし、スマホが見つからなかったら、おじさんが、ここで溺れてしまったら。これを糧にしないと、おじさんみたいにやらかしちゃうよ、笑)

 と、心の中で憤りを吐きながら、駆け寄るGALにスマホを渡しました。

「ありがとうございます!」

「絶対にもう落とさないでね」

 ・・・水位が浅い時だったらなあ、ま、とりあえず探せてよかったなと。

 こんなの稀ですからね。たいがい壊れるか見つかりません、みなさんご用心を。




 あっと一瞬ですからね。

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