激風の中を進め
激風・・・。
今年一番の激風がやって来ました。
南から風速7、8mの風が吹いています。
瞬間的にはそれ以上の風を感じることもあります。
ああそうかと、船頭みんな表情もちょっぴり浮かない顔をしています。
正直、普段の川下り2回分ぐらい気力、体力使いますからね~。
おや、なにも知らないお客様が・・・おっと失礼(笑)、やって来ました。
おいでめせ、本日の川下りスリル満点でございますと心の中で呟いたり、呟かなかったり
(どっちだよ、笑)・・・私は気合を入れて構えます。
「お客様、今日はいつもより強い風が吹いています。舟べり木枠には触れないようにお願いします。舟が壁や橋の下で擦れることあります。舟の中に身体預けて頂ければ、絶対安全でございます。それでは川下りの出発です」
風が吹くと、さーっと水面が白く走ります。
しっかりそれを見て、竿を動かします。
「最初の橋、柳川橋です」
舟を南に向けて、橋をくぐり・・・二つ川がおそろしく波立ち、力も入れるも、すーっとお舟が戻されます。
「こんなこともあります」
苦笑いを浮かべ再チャレンジ、なんとか抜けると、今度は暴風地帯です。
「それでは、お舟を右の杭にあてながら、ゆっくり進みます。重ねて、舟べり気をつけてください」
私は歯を食いしばり、呼吸を整え一竿一竿に力を込めます。
石橋の手前では左の壁に流され、柳城橋を抜けても強風。
高門橋抜けて、右へ左へ竿を駆使して、進みます。
まちぼうけ像のあたり、猛烈な南風、
「え~ちょっと、風強いですね。でもがんばりまーす」
出会い橋、木藪にお舟が・・・。
(曲がれ~!)
なんとか回避、そうして目的地に到着しました。
「船頭さん、おもしろかったよ」
その一言に私はホッとします。
「そう言っていただけて、なによりです。でも、本当は穏やかな舟旅の日が多いんですよ。また来てください」
「はい」
「今日はありがとうございました」
私は感謝を込めて一礼をします。
ヤバいよ~。
でも、がんばる~。




