小品集 vol.1 マンツーマンスタイル
こんな感じもはさみつつ。
あさイチの川下りの運航。
今日の一番手は私、いつものように出足は鈍く、次の時間帯かと思われた時、駐車場に車が入ってくのを見た。
私はトイレを済ますと、ばっちょ笠をかぶり、アイスパック等の入ったカバンを舟のデッキ近くに置く。
お客様は一人のようだ。
右さしの私は左側の木の椅子にござ座布団を置く(※これはバランスをとる為、舟が重みで傾く)。
前方デッキの係留しているロープを外すと、後方デッキに立ち竿を構え、お客様を出迎える。
手のアルコール消毒、乗船券を頂き、舟へとご案内する。
「ゆっくり、足元に気をつけてお乗りください。ようこそ、柳川川下りへ」
前方デッキのロープを外し、桟橋から出発する。
一対一の貸し切り状態、複数のお客様がいる乗り合いとは違い、ファーストコンタクトはいつも緊張する。
だが、いつも通りやるだけだ。
お客様に安全に楽しんでいただく。これのみ。
「どちらからおいでになられましたか?」
この質問、以前は当たり前のように聞いていたが、結構アンタッチャブル(最近はだいぶ・・・)なもので、乗り合いの時は聞かない。
だけど、ご家族やグループ一人だけの時は、コミュニケーションと互いの緊張をほぐす一つの会話として、よく聞いている。
「福岡です」
地元の方がやはり多い。
「そうですか、川下りは、はじめてですか」
「はい」
そう答える方もまた多い。
旅行や行くところがなく、近場の行ってない観光の最たるものが川下りなのだろう。
県南にあって、遠いのもあるし、ついで屋根なしの舟で野外、安心感はあるのだろう。
こちらも地元と聞くとちょっぴり親近感がわく。
「ばさらか、狭い橋通ります」
「こりゃあ、ばり狭か橋ですな」
お客様と私は顔を見合わせ笑った。
やってみる。