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FACELESS フェイスレス  作者: 路明(ロア)
17 MIA/作戦遂行中に消息不明

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Submarines and Warships2 潜水艦と軍用艦船2

 ジーンがもぐもぐとパスタを食む。

「どうなるの?」

「想像してみただけだ」

 アンブローズは答えた。

「素直に考えたら、たいていの人は上の軍用艦船をまず警戒するね」

 ジーンがそう応じる。

「お前みたいな一捻(ひとひね)りした奴以外なら、下で潜水艦が動いている可能性まで考えるのは遅れる」

「下には気づかないで、上の軍用艦船だけに向けて攻撃用意する人もいるかも」

 そこまで言って、ジーンが目を見開く。

「……こんなこと考えてると、上層部は何も知らないふりをしてやってくれるなって気にもなるんだが」

「二人とも、以心伝心で伝わるほど気が合っているようで何より」

 ブランシェット准将が口を挟む。

「合ってないですよ。妙なおふざけに無理やり巻きこもうとするわ、階級が上の者のマンションのシャワー室まで遠慮なく使うわ」

「許可取ったじゃん……」

 ジーンが顔をしかめる。

「それで准将はどう思います? 潜水艦と軍用艦船なら」

「わたしは上にも下にも気づかんで、のほほんとしていそうな方なので何とも」

 准将が微笑む。

「俺には、のほほんとしながら潜水艦に搭乗してそうな気がしますよ」

「そうかい?」

 准将がクスクスと笑う。

 アンブローズは特に何も返さずミネストローネを口にした。




「あーびっくりした」

 准将と諜報担当二人が帰ったあと、寝室のPCの前でジーンは声を上げた。

「何なの? あの突然のピリッピリした空気」

「ピリピリしてたか」

 閉めっぱなしのカーテンをめくり、アンブローズは外を見た。

 ベッドの方に戻り煙草(たばこ)のソフトパックから一本取り出して咥える。

「ブランシェット准将に噛みつきたいのかと思ってハラハラした」

「噛みつくほど子供じゃない」

 アンブローズは煙を吐いた。

「ただまあ……俺も動揺すれば、少しは余計なことを言うこともある」

 ジーンが座る位置をずらし、こちらをじっと見上げた。

「いい子いい子してあげようか、アン」

「要らね」

 ふぅ、と煙を吐く。

「俺も、アンの言わんとしてることに気づいたときはびっくりしたけど」

「動揺してないな、お前」

 アンブローズは煙草を強く吸った。

「確証がないからね。まだ推測でしょ?」

「推測だな」

 灰皿に灰を落とす。

「つまり、軍用艦船が俺たちで、潜水艦が隠密(ステルス・オフィサー)

 ジーンが言う。

「言いたかったのはそれでしょ?」

 アンブローズは無言で煙草を吸った。

「俺たちは、始めから(おとり)だったのかという推測」

「特別警察の目を引きつけるためのな」

 アンブローズはそう答えた。

「昏睡状態のドロシーの身を守る目的もあったんだろうが。ドロシーが目覚めたあとの準備を進めるためのカムフラージュ」

「ドロシーちゃんの調査の引き継ぎはアンの方から志願したって言わなかったっけ。上がそこまで予想してたってことある?」

「ブランシェット准将なら、俺とドロシーの仲は知ってる」

 ジーンがPCの操作パネルの上で指を動かす。

「なにも囮に使われてたとして、どうこう思うほど純粋じゃない。むしろ国家転覆に対して何も気づいていなかったと思ってた上層部が、それなりの作戦をすでに進めていたってことにホッとした」

 アンブローズは煙を吐いた。

「動揺したのは、お前の以前の言葉があったからだ」

「何か言った?」

 ジーンが眉をよせる。


「隠密に上官はいるのか。それとブランシェット准将は、年齢の割にはずいぶん出世してないか」


「そんなこと言ったね」

 ジーンがいくつかの特別警察内部の映像を入れ替える。

 映像内は、相変わらず誰も通らない。

「動揺したのは、あののほほんとした美形顔に、すっかり騙されてたんじゃないかって考えにたどり着いたからだ」





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