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日本からの転移者、領地を貰う  作者: ぶどうりんご
8/22

奪われた物資

翌日、日が沈んでもまだ木炭と砂鉄が届かなかった。

その翌日、届かなくなった原因を知る。

早朝、玄関のドアをたたく音で目が覚める。

ドアを開けると、血だらけの兵士がいた。


「ど、どうしたの!?」

「報告します、イチコ様からの依頼の品が盗賊団によって奪われてしまいました。」

「傭兵はどうしたのですか。」

「商人もろとも全滅です、私だけ伝令として生かされました。」

「クズが。」


ミレイちゃんも目が覚めたようで、奥の部屋から現れた。


「お前も傭兵でしょ?命を懸けてでも商品を守るものじゃないの?」

「しかし敵は30を超えていました。」

「使えないわね。死になさい。」


手から黒い光が集まる。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」


怪しく光る手を抑える。


「何も殺すことないでしょう?」

「これ以上この国が損失を受けると破滅します。クズは排除します。」

「そうやってポンポン殺して国民が良い顔するはずないでしょ。」

「その時はまた別で問題を解決します。」

「とにかく落ち着いて、私に任せて。」

「必要ありません、あなたはこの国の人間ではないから。」


狙いを定めようとした手をもう1度抑える。


「…これ以上私を止めたいのであれば力づくで止めてみてください。」

「どうしてこの国はこうも血の気が濃い人が多いのかしら。」

「それがこの国のやり方ですから。」

「あなたを無力化すればいいってことね?」

「そういうことです。」


言うと同時に両肩を脱臼させる。


「ぐっ、何を…した?

「ゲームの知識でしかないけれど、貴方のそれって魔法?でしょ?魔法って手から出すんでしょ?手が動かせなかったら魔法なんてつかえないんじゃないの。」

「なるほど、今までのは何も知らないフリだったわけですか。」


ふふっと笑う。


「私は完全にあなたが何もできない一般人だと思ってました。考えを改める必要があるみたいですね。」

「自衛ぐらいなら出来るって言ったでしょ?」

「今、貴方に対してイラつきはしますが、貴方の間合いにいたのも事実。これが真剣勝負であれば私は死んでいました。」

「よくわからないけど、無力化に成功したってことでいいのかしら?」

「そうですね。イラつきはしますけど。治してもらっていいですか?痛覚は遮断しても力が入らない気持ち悪さは残ります。」

「わかったわ、少し待ってね。」


順番に肩を入れて元通りにする。


「ある意味貴方はこの世界において至近距離では最強かもしれないですね。」

「ん~、あながち間違いじゃないかもしれないわ。私の家は忍術最後の生き残りだったから。」

「忍術?」

「そうね、簡単に言うと"一番効率よく体を破壊"出来る術を知っているということよ。」

「ふふっなるほど。だからあなたは武器を使わないんですね。」

「あんな重い物振りかぶっても避けられたら終わりじゃない?一応使えるには使えるのよ。」

「その一言で私もあなたに興味が沸きました。機会があれば異世界の技も教えてもらいたいものですね。」

「ええいいわよ。でもあなたみたいな魔法は使えないからね。……ちょっといいこと思いついちゃった。でも今はこの兵士さんの話を聞こうかしら。」

「そうですね…よかったなクズ。優しい領主様で。」


兵士は泣きながらコクコクと頷いていた。



「つまり、要約すると『お前の国の物資は預かった、返してほしければ住処まで来い』ってことでいいのかしら?」

「そうなります。指定された場所はこの辺りです。」


指を刺した場所はここから少し北に行った所にある。


「断定はできないけれど、恐らくテオの人間でしょうね。」

「えっそうなの?」

「領地の買収に失敗したから返してほしければ買収に応じろ、という内容かもしれません。」

「クソみたいな内容ね。」

「この国ではそれが普通です。」

「私の国でもよくあったわ。」

「なら話は早いですね。」

「話し合いをしましょう。」「殺しに行きましょう。」

「「えっ?」」


なんでこうも血の気が多いの!


「殺して奪い取る方が早いです。」

「話し合いで解決出来るかもしれないわ。」

「わかりました、では話し合いで解決しない場合は実力行使で。」

「あっちも人を殺してるわけだし…出来る限り最後まで攻撃しないでね?」

「かしこまりました。」

「失礼ですが、イチコ様一人で制圧も可能なのではないでしょうか。」

「それはどうして?」

「あのミレイ様を無力化したイチコ様です。つまりこの国ではイチコ様が…ひぃ!」


兵士がミレイちゃんにおびえてしまった。


「ミレイちゃん強いの?」

「この国では魔法を使える人が少ないので、ヴァイン様には負けますが。」

「私も魔法使えないわよ。」

「そうですね、魔法が使えるようになるか試してみますか?失敗したら死にますが。」

「遠慮しておくわ。」


ギルドに物資奪還クエストを依頼した。たった1時間の募集しかないにも関わらず、2名の冒険者が参加してくれた。

計5名で奪われた木炭と砂鉄を返してもらいに行くのだった。

ちなみに血がついていた兵士は他人の血で、彼は無傷だったので体を洗ってからミレイちゃんが強制参加させた。

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