領地のお掃除大作戦
翌日、冒険者ギルドのお姉さんが訪ねてきた。
「イチコ様、依頼された人数全て揃いました。」
「え、早くない?」
「そりゃ危険も無しで良い値、プラス歩合、さらに領主様からの依頼と言われれば喜んで飛びつきますよ。」
「ありゃ、そうだったの。人が来てくれれば全然良いのよ。ただちょっとまだ準備出来てなくて、先に掃除の方からお願いしていいかしら?お金は…今はないからこの高価そうなお皿って売れるかしら?」
「このお皿ですか?少し鑑定しますね…。」
鑑定、とお姉さんが言うと一瞬青白い光がお皿を包んだ。
同時に驚いた表情になる。
「これ、ロジウムじゃないですか!」
「ロジウム?」
「かなり高価な鉱石ってことです。このお皿1つで30銀は下らないですよ。」
「そんなに高価なの?じゃあお売りするわ。」
「良いんですか?王都などにもっていけばさらに良い値が付くと思いますが。」
「いいのよ、記念ってことで。いくらぐらいになるかしら?」
「マスターがお戻りにならないと詳しい数字は…今すぐ30銀をご用意して、追加の金額はマスターにお聞きします。」
「そう、任せるわ。後でギルドに向かうからとりあえず掃除の人だけ集めてくれない?武具屋の補助は明後日でお願い。」
「了解しました、ではギルドでお待ちしておりますね。」
お皿を持ったまま、走ってギルドまで戻る。
ころんで割らないようにしてよね…。
軽い食事を済ませ、ギルドに向かった。
「イチコ様。お待ちしておりました!」
入室して早々、ギルドのお姉さんに声を掛けられる。
「今更なんだけれど、あなたの名前を教えてもらえるかしら?」
「私ですか?アンコって言います。」
「アンコちゃんね。覚えたわ。」
お皿のお金を受け取る。すべてが銅貨だ。
大きいものが10銅で小さいものが1銅。
清掃を依頼したのは昨日の昼。
まだ24時間も経っていないが既に10名いた。
まぁこれぐらいの人数で1週間もあれば掃除できるわね、多分。
「ごめんなさい、こんな感じで支払いを頼めるかしら?」
「かしこまりました、少々お待ちください。」
受け取ったお金30銀を、日給40銅×7日=一人2銀80銅×10名に支払う。
残った2銀をアンコちゃんに渡す。
受け取った受注者からは歓声が挙がる。
「さて、前もって1週間分の報酬を皆に渡ししたわ。今から皆には依頼通り掃除をしてもらいます。私が許可を出すまで掃除は続くわ。その際は一応追加で報酬を出すけれど、トータルでの仕事の出来具合によるわ。つまり、早ければ1週間かからずで終わることができるけど、サボってたら翌週もらえる報酬がカスになるということをお忘れなく。物が足りない場合はアンコちゃんに言ってちょうだい。じゃあまずギルドと噴水の清掃から、解散!」
皆が掃除を始める見た感じ、冒険者は2名ぐらい。残りは市民かな?
「足りない物があったら、追加でもらえるお皿のお金の件とその2銀貨で支払って。残りはギルドの取り分ってことで。」
「了解しました。本来ギルドの取り分はほとんどないんですけどね。」
「あら、そうなの?」
「色々とややこしいんですが、ここでは1割ぐらいですね。回収方法は主に食事やお酒なので。」
そういえばメニュー表のようなものが各テーブルに置いている。
料理と飲み物が記載されている。なるほどね。
どれも見たことがない名前で面白そうな料理名だ。
なんと、飲み水まで有料だった。ここは海外か?
「水まで有料なの?」
「海に近いですが、だからこそのまま飲める水が少ないんですよ。ビールのように発酵させる方が楽なんですよね。」
「へぇーそうなの。」
だから海外でも高かったのか。
「それじゃ、私ちょっと領地の散歩してくるわね。」
「了解しました、依頼の1日の時間ってどれくらいですか?」
「んー、毎日6時間ぐらいでいいんじゃない?休憩もちゃんと与えてあげて。仕事時間の前後は任せるわ。可能な限り1週間で奇麗になるなら。」
「こっちに丸投げですか、かしこまりました。」
だって長時間運動させるのってやっぱり嫌じゃない?
ミレイがいつ帰ってくるか分からないし、やることいっぱいあるけど資材が足りないもの。