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絶対にダメージを受けないスキルをもらったので、冒険者として無双してみる  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第21章 そして裁定の刻へ

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4 「すでに人ではなく」

「魔王の力のすべてを込めた破壊魔法だ。大陸一つを吹き飛ばすほどの威力──これが貴様の護りの女神(イルファリア)の力を突き破れば、貴様たちは跡形もなく消えるであろう」


 魔王が朗々と叫んだ。


 大陸そのものを消す──魔王の言葉にゾッとなった。

 俺のスキルの効果範囲内は無事だとしても、その外にいる人たちは残らず死ぬ……!


「動揺したな。やはり、精神の脆弱さが貴様ら人間の弱点だ。永遠に超越者になれぬ、人の限界だ」

「……弱点、か」


 確かにそうかもしれない。


 人の心は、簡単に揺らぐ。

 弱く、儚く、脆い。


「でも、その揺らぎは──成長へとつながる。人の心は弱点じゃない。弱さなんかじゃない!」


 俺の中で何かが弾けるのを感じた。


 噴き上がる黄金の輝きがさらに広がる。

 どこまでも──どこまでも広がっていく。


 すでにアドニス王国全土を覆うほどに拡大していた『封絶の世界』が、より範囲を広げていく。


 隣国も、その隣も。

 さらにその隣も、どこまでも──地平線の彼方まで。


「き、貴様、まだ力を増すというのか……!」

「撃ってこいよ、魔王」


 俺はまっすぐに魔王を見据える。


「お前がどんな魔法を撃ってきても、俺が絶対に防いでみせる。誰も傷つけさせない。誰も殺させない!」

「ほざけ、人間が!」


 魔王が吠えた。


「魔を統べし剣! 雷霆(らいてい)より来たりて破壊せよ! 破砕せよ! 九天を砕く刃! 煉獄(れんごく)より現れ薙ぎ払え! 灼き払え!」


 朗々と紡がれる呪文。


魔王爆雷滅斬ヴィム・ベル・ド・ラ・グ・ディーレ!」


 魔王の全身から立ち上った黒い炎が、巨大な光球となって撃ち放たれる。

 同時に、


冥天門(コキュートスゲート)、最大出力! 今こそ魔王の力のすべてを持ち、この世界を打ち砕け!」


 イオが展開した黄金の門を、その光球が通り抜けると、


 轟っ……!


 数十倍の大きさに膨れ上がり、地面を削り飛ばしながらまっすぐに突き進んだ。


 ばちっ、ばぢぃぃぃっ!


 光球が通った後の大気が焼け焦げ、連鎖的な爆発を起こす。

 爆風が地平線まで吹き荒れる。


 これまでのどんな魔法よりも桁違いの、余波だけでも世界を破壊しそうなほどの超魔法──!




 だが、それさえも──俺の黄金の結界に触れたとたんに消滅する。




「な、なんだと……!?」

「馬鹿な……!」


 魔王とイオが呆然とつぶやいた。


「おのれぇっ……!」


 だが、さすがに魔王はすぐに立ち直り、ふたたび光弾を放つ。


「おのれおのれおのれぇっ!」


 さらに衝撃波を、爆炎を、次々と放つ。


 いずれも魔王の魔法にふさわしい、超絶威力の数々。

 地形すら変える威力の攻撃魔法を、連打してくる。


 だけど──封絶の世界は小揺るぎもしない。


 いかなるダメージも受けず、いかなる破壊も、その余波すらも通さず。


 魔王の攻撃のすべてを、俺は完封した。


「人間でありながら、その力──」


 戦慄したように、魔王が後ずさる。


「いや、むしろ神の領域すら超えているのか……!? たとえイルファリアとて、我を前にして無傷で済むとは思えん。貴様の力は一体……!?」

「父上……」


 心配そうにその姿を仰ぎ見るイオ。


 確かに、俺自身にも疑念がある。


 防御スキルの効力がさらに上がっているような──。

 俺の力が、どんどんと増しているような、そんな感覚がある。


 魔王は今、『神の領域すら超えている』と言った。

 俺のスキルは、そんなレベルにまで高まったのか。


 あるいは、力を授けてくれた女神さまをも超える力を……?


「あの者の体は単純な肉だけではなく霊体も混じっているようです。おそらく、すでに人ではなく──」

「なるほど、神の領域へ踏み出し、存在そのものまでが書き換えられようとしているのか。人から、超越した者へと」


 イオと魔王は、なんの話をしているんだ。


 俺の体に霊体が混じっている?

 超越した者?


 分からない。

 一体、どういうことだ。


 俺に、何かが起きているのか──?




 ──そのとき、天空から黄金の輝きが降り注いだ。




「えっ……?」

「これは──」


 驚く俺たちの声と、魔王の声が重なった。


「むう……人間たちめ、我らと魔の者をともに滅ぼそうというのか……!」


 空間からにじみ出るように現れる、六つの光の柱。


 竜と人の中間のような姿や武人など、柱の中に何かが潜んでいる。

 そのうちの一つは、見覚えのある姿だった。


「まさか……!?」


 俺は呆然とうめいた。


 長く伸びた金髪に、澄んだ青い瞳。

 そして超然とした美貌。


 何度か意識の中の世界で見た、幼い少女ではない。


 成熟した美しい女性の姿。


 女神イルファリアの本体が、地上に降り立った──!?

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