砲兵といっしょ
静かな部屋に豪快なノックの音が響き渡る。
「入りたまえ。」
「失礼します!!!」
あまりの大声に思わず耳を押さえる。
「あたしは浮世纏!今日からここの部隊に配属になりました!!」
「ようこそ、わが部隊へ。と言ったところかな。何もないところだが、ゆっくりしていってくれ。」
「よさそうなところじゃないですか!静かでいいところですよ!あたし、気に入りました!」
「そうか、それは何よりだ。それよりさっそくで悪いんだがこれからいっしょに戦うことになる仲間を紹介しておこうと思う。」
「おう!それは楽しみです!」
すごい元気な子だな…。と思いながらみんなの待つところまで彼女を案内する。
「本来なら部隊員全員と顔合わせくらいさせたいんだが、なにせ数が多いからなあ。『J.S』持ちとだけで我慢してくれ。むさいおっさんどもと話すよりは年が近い方がいいだろう。」
3人が待つところへ纏を連れて行くと纏の顔が明るくなった。やっぱりこんなおっさんと話すよりは同世代のかわいい女の子と話すほうがいいってか。
「あたしは浮世纏!役職は砲兵!これからよろしくね!」
ようやく砲兵が来たかーとかよろしくーと口々にいい始める。
「そうだ、早速なんだけどあなたの『J.S』を見せてもらってもいい?」
わかばがそう話しかける。自分がこれから命を預ける砲兵の装備を見ておきたいというのはある意味当然の発想なのかもしれない。
「ふむ…。背中に榴弾砲。両腕に機銃、足にはミサイルか…。見た限り火力は十分そうかな…。」
自慢げに纏が答える。
「いいでしょー!あたしの自慢の子なんだ!」
なぜかわかばも満足そうに返答する。
「うん。これなら私たちの背中を預けられるよ。これからよろしく、纏。」
年齢に見合った笑顔を浮かべながらそういうわかば。まあ話している内容は空恐ろしいものなのだが…。
それよりもこんな弾薬を消費しそうな『J.S』を運用するのか、俺は…。とても運用が難しそうだな…。
「あっそうだ。忘れないうちに連絡しておくが配置転換だ。前線に移動するぞ。」
「ふむ…。砲兵まで入った部隊をいつまでも後方で遊ばせておくわけには行かないって事ですね?」
「そのとおりだ。話が早くて何よりだな。」
「”いつのはなしですか?”」
「二週間後だ。纏にとってはずいぶん急な話だが、軍令だから仕方がない。我慢してくれ。」
俺も慣れ親しんだここを離れるのは嫌だがまあ仕方のないことだ。あきらめろと司令。
私もここにはずいぶん慣れてきたころだからできれば離れたくはないのだけれど軍令だから仕方がないと無理やり自分を納得させる。
新しいところはどんなところだろうか、きっと今より厳しくなるんだろうなあ、いやだなあ…。