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無敵『幼』塞  作者: 水酸化ナトリウム
12/16

サミダレ地方攻略

「”わかばさんはそのままちょくしん。てきをせんめつしたのちにてったいしてください。”」

3ヶ月必死になって特訓したおかげで、不便に感じない程度にはモールス信号を理解することが出来るようになった。ここにいたるまでに一体どれだけの通信を繰り返してきたか、もう覚えていない。

大変だった。なんせ毎回司令官を通しての通信になるのだからテンポが悪くて仕方がない。

司令官が他の部隊の指揮に当たっていたときなど本当に死ぬかと思った。生きててよかったと心から思っている。私も、こんなところで死にたくはない。たとえ今がどんなに辛かったとしても生きていればいいことがあるかもしれないのだ。

なので死なないためにモールス信号を会得した。これで一対一でも通信でやり取りすることが出来る。もう怖いものはない。なにせうちの通信兵は能力値だけ見れば優秀なのだ。いままではその恩恵が十分に受けられていなかったが、もう何も心配することはないのだ。

「”…!?”」

「何かあった?」

「”いま、あいてかたのつうしんをぼうじゅしました。そのつうしんによるとかくよくのじんをしくとのことです。”」

「鶴翼の陣!?こっちが突撃するのを見越していたと言うのか!?」

まずい。このままだと直進するわが部隊は挟み撃ちにされてしまう。

「落ち着け、落ち着いてまずは右翼を攻撃するんだ。」

「右翼を?しかしなぜ。」

「いいからやるんだ!」

「っ…!。了解です!」

いわれるがままに右翼を叩く。

右翼の人数が少なくなってきた。敵軍は鶴翼の陣を保つために中央の人員を右翼に配備し…。

「はっ…!まさか…!?」

「気付いたか。標的を中央に変更だ!」

鶴翼の陣を維持するために手薄になった中央を一点集中で突破することにより挟み撃ちを回避。それどころか陣形の性質上中央を突破した先は…。

「大将首だ…!!」

「さあ、討ち取れ!戦果を挙げ放題だぞ!!」

司令官のその一言を合図に中央の大将の部隊を殲滅にかかる。

部隊のみんなが雑兵を丁寧に潰していく中私は。

「…ミツケタ!」

「大佐!お逃げください!ここは私が食い止めま…ウグゥ。」

落ち着いて敵兵を先ほどまで生きていた新鮮な肥料にし、狙うは大将首。

「その首…!もらったー!!!」

相手方の指揮官の最後はあっけないものだった。私の『J.S』のパワーアームに潰されて細切れになった。10秒とかからなかったんじゃないかとも思うほどに手ごたえのない勝利。

「次は敵陣を包囲だ。衝軛の陣をしく。」

「了解。」

頭をなくした軍隊ほど崩しやすいものはない。実際今現在の敵軍は散発的な射撃をするものもいれば、背を向けて逃げるものもいる。密集して方陣を組むものもいた。

「射撃はともかく逃亡や、ましては方陣など、舐められたものだなあ?」

機関銃を用いて敵兵を一人一人包囲し、殲滅していく。

しばらくすると、味方兵と耕された敵兵だったものしかなくなった。

「……帰るか。」

基地に到着したので急いで司令官に報告を開始する。

「部隊員損害軽微。戦果多数。敵指揮官も戦果に含まれます。」

「わかった。大体は無線で聞いていたとおりだな?叙勲も上に伝えておこう。階級も上がるかもな。」

「ぜひそうなって欲しいものです。」

そういえば司令官はなぜあそこまでの機転を利かせることが出来たのだろう。司令官だから、と言えばそうなのかもしれないが、今度聞いておこうかと、思った。


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