少年と6つの試練
少年と6つの試練
不治の病を患う母に対して、何かしてあげたいと思う少年。
その前に現れる謎の男。
これから課される試練を一つでも乗り越えれば、何でも願いが叶うという。
母を助けたいと願う少年は、願いを叶えられるのならどんな事でもすると誓う。
第一の試練
少年は目覚めると知らない村にいた。
行くあても無い少年を同い年くらいの少女ユミが家に招待する。
次第に仲良くなっていく二人。
しかし、第一の試練はユミの命を奪う事だった。
少年は葛藤するが、結局ユミの命を奪うことは出来ず、第一の試練は乗り越えられなかった。
第二の試練
少年は目覚めると森の中にいた。
第二の試練は青い宝石を手に入れることだった。
少年は旅の途中で同い年くらいの少年ショーンと出会い、行動を共にする。
ショーンは家族を救うために青い宝石が必要なのだという。
少年は葛藤するが、結局ショーンに青い宝石を譲り、第二の試練も乗り越えられなかった。
第三の試練
少年は目覚めると知らない街にいた。
第三の試練はマイクという男を殺すことだった。
少年は躊躇するが、母の病を治すためならどんな事でもするという誓いを思い出し、
今度の試練こそは乗り越えると心に決める。
しかし、マイクにも家族がいることを目の当たりにし、少年は手を下すことが出来ない。
第三の試練も乗り越えられなかった。
第四の試練
少年は目覚めると海辺にいた。
第四の試練は今から自殺しようとしている女サリーを止めることだった。
しかし、サリーは耐えられないほどの苦痛を伴う病を患っており、一刻も早く死にたいと言う。
少年は自分の母親のためにも思いとどまって欲しいと請いすがるが、サリーの気持ちもないがしろには出来ないと葛藤する。
結局サリーを止めることは無理だと悟る少年。第四の試練も乗り越えられなかった。
第五の試練
少年は目覚めると最初に出会った謎の男の前にいた。
第五の試練はその男を殺すことだった。
果敢に戦う少年だったが、男の力の前に歯が立たない。
もう駄目だと思ったその時、ユミ・ショーン・マイク・サリーの四人が助太刀に駆けつける。
皆、少年に恩を感じていたのだった。
しかし、謎の男の魔法の力の前に仲間たちが傷つき倒れていく様を見た少年は、
もう戦いをやめるように言う。
戦いは終わり、仲間たちは消え、少年と謎の男だけが残る。
「どうやっても、叶わないんだね…願いって。」
「…そうかもな。」
「あなたは、それを僕に教えようとしてくれたんでしょ?
叶わない夢を見るんじゃないって…」
「…それはちょっと違うな。確かにその夢は叶わないかもしれない。
だけど、わからないか?君は、その願いのために、こんなにも頑張れるんだ。」
「僕が、この願いのために…」
泣き崩れる少年。
男は少年を優しく抱きしめる。
「忘れちゃいけないよ。
君の夢を叶えて魔法みたいにお母さんを助けるって事が、大切なんじゃないんだ。
大事なのは、本当に相手が望んでいるのは何なのかって事なんだよ。
夢は叶わなくても、できる事はあるんだ。
それじゃあ、最後の試練は、お母さんに聞いてごらん。」
最後の試練
家で目覚める少年。
いつも通り母が朝食の支度をしている。
「おはよう。」
「おはよう。」
「お母さん。」
「なに?」
「お母さん、僕…お母さんに何ができるかな?
僕、お母さんの病気、治せない…僕、お母さんに何もしてあげられない…」
今にも泣き出しそうな少年の肩に優しく手を置きながら、母は言った。
「私から生まれてきて、こんなに元気に、こんなに優しい子に育ってくれてる。
あなたがしてる以上の事が私に出来る人は、この世にいないわ。
これからも、元気に生きてちょうだい。」
おしまい




