3 美味しい自炊
兵士たちが焼きそばを啜る。
「ひゃー。うまい!」
「こりゃ、おいしいですね」
「自炊と言っても、家で料理する方の自炊だったんですね。これじゃあ処罰はできませんよね、将校閣下?」
兵士は焼きそばを頬張りながら、将校の方をうかがう。
「ぬうう!」
将校の顔が真っ赤になっていた。怒りのあまり、両腕をわなわなと震わせている。
自炊用機器を揃えた、悪質な自炊業者を捕まえたと思ったら、単に機器を使って料理をする女だったのだ。
腹が立ちもするだろう。
「これで終わったと思うなよ!」
将校は言い残すと、部屋を取びだしていった。
「どっか行っちゃった」
兵士たちは将校の背中を見送った。兵士たちは焼きそばを食べるのに忙しい。
私は彼らのお皿にお代わりを盛りつけていった。
余った分を、私自身のお皿に盛って、食べてみる。
「うーん。平凡な味だわ」
「いや、おいしいですよ?」
兵士はお世辞を言ってくれるが、私は満足しない。
「上等なスキャナー使っているから、もっとスゴいのが作れるはずなんだけどね」
自炊用機器を使って料理を作るというのは、ちょっとした裏技だった。
高性能な電子機器というのは、いろいろ面白い用途に使えるもの。それは私の自炊用機器でも同様だった。こういう事に関してまとめたサイトというのがあって、私は仕事の合間に見ては、試していた。
その結果、いつしか私は料理の達人となっていた。
「エキゾチックでエスニックな方向を目指してみたら、もっとおいしくなったりしませんか?」
「いいかもしれないわね。パクチーとかコリアンダーとか混ぜてみたら、東南アジア系の料理になるかも」
「うまくいったら、是非味見させてください!」
兵士たちは言いながらも、見事な食欲を発揮して、お皿はあっという間に空っぽになった。
兵士たちは、今や善良な顔をした、いい人たちだった。きっと、さっきまでは、お腹が空いていたので気が立っていたのだろう。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「じゃ、任務があるので、我々は失礼させていただきましょう」
兵士たちが一礼して出て行こうとした、その時--
「待て~!」
将校が駆け戻ってきた。




