魔王さんがいるんだってさ
あとちょっとで本編に……
「お腹すいた~」
マヌケな音を出し続ける腹を押さえ、とぼとぼと歩く。
[自業自得やろ!
まったく、腹減っとるんならイエルスの城下町でなんか買えばよかったのに…]
「……金無かったからさぁ…
それに、脱走がバレたら追手が来るでしょ
来る前にこの国出ておきたいんだよね~」
でも腹減ったよぅ(T_T)
[み、巫女はん?
なんか変なもん見えたで!]
「え?気のせい気のせいww
あ、ここどこかわかる?」
んとね、迷子です。
ふふふ、もう急いで城下町出て体力の続く限り走ってさぁ~
死ぬかと思ったよww
ま、その無茶苦茶に走ったせいでの迷子なのだがね
気が付いたら平原のど真ん中
でもうれしいな
走れるなんて
肺に障害(?)があって走れなかったんだよね
初めて走ったよ!
気持ちよかったなぁ~
[今どこって聞かれてもなぁ~?]
うわ、道聞いてたの忘れてた!
「え、わかんないの?」
とっさに答えたから噛みそうだった。
アレ? 思った事伝わるのに…反応ナシ?
[うん、わからん]
「チッ!使えねぇの…」
小さな声で本音が出てしまった。
スゲー不覚です。
[えぇ!!巫女はん!!!]
あ、聞こえてたか
無視しとこ
[だんだん巫女はんが鬼に見えてきよった……]
あ、良かった。今回は反応アリだった。
それでも無視して歩き続ける。
鬼に見えてくるって、ひでぇww
今のあたしはめっちゃ美人だし、
前の姿は普通と信じたいな…
あ、鬼と言えば保育園に通ってた時に
節分で鬼の格好した先生が発泡スチロール製の金棒持って構えてて
園児が金棒の下潜り抜けるっていう行事があったよね
あれが怖くて大泣きしてたな………
他にも泣いてる子いたけどあたしが一番酷かった…
思い出すんじゃなかった…恥ずかしい………
顔が真っ赤になる。
黒歴史の一つを思い出した時、向こうの方にぼんやりと『何か』が見えた。
ん~?なんだろ?
歩みを止める。
[お、夕日がきれいやな~]
馬鹿みたいに明るい声でコントラットが呟いた。
うん、今関係ないっつーの!
やっぱコントラットって馬鹿だ~
あ、馬鹿じゃなくてKYかな?
つか今って黄昏時なんだ。
たしかに、夕日がきれいだね~
で、その夕日をバックに見えた『何か』が気になるのだよ!
ズームとかできないかな?
《ホークアイ》みたいな感じで…
やってみよ
目を閉じてイメージを浮かべる。
ズームで何か見えてきゃっほーみたいなイメージだ。
我ながら雑だと思う
思考が落ち着き、イメージも固まった所で目を開いた。
「……?…城…かな?」
非常にボンヤリとしているが、城が見えた。
[城?]
「うん……全体的にぼやけてて見にくいけど…
輪郭からして城だね。うん。」
やっぱ、ぼやけてるのは力の使い方がわかんないからかな?
それとも、あたしの力がその程度ってことなのかな?
前者である事を願います。
あ、でもこっちに来る前のあたしの目が悪かった事が関係あるかも
眼鏡掛けてたもんね。
[ん~、たぶん、イエルスの隣国の『ダルキメス王国』の城やと思うよ。]
「あ、隣国来ちゃった系?」
[せやな]
……不法入国!?…
[でも、ここがどこかわからんから
国境越えたかどうかはわからんな~]
よかった、法律違反してない。…かも。
とりあえず、行ってみよっと~
再び、歩き出した。
正直言うとキツイ、腹減った。
ダルキメスかぁー
どんな国なのかなぁ~?
「ねぇ、コントラット
ダルキメスってどんな国なの?」
[えーと…]
コントラットは少し、めんどくさそうに話し始めた。
[ダルキメスは魔族の国で、魔王がおさめとるんよ。
国の面積はイエルスよりは小さいけど…
とっても豊かな国やねん。]
「ふーん。説明ありがと」
あれ?そういえば…
コントラットってイエルスの人(?)だよね
なんであたしの脱走止めないんだろ…?
もしかしたらワナかも……気をつけよ…
ぐぅ~
………え?また?
[プッ!み、巫女はん]
「な、ちょっ、笑うな!!」
うわ~、生理現象恐ろしい……
そして恥ずかしい……
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