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友情

結婚式は数週間後に行うつもり


そう、魔王様に言われました

昨日の事もあって顔を見るのも恥ずかしかったけど

会ってみればそうでもなかった


これから忙しくなるそうでいろいろと周りを落ち着かせないといけないらしい


アンナさんから貰った新聞を見て混乱度が窺える


「魔王陛下、婚約破棄 お相手は……あり?」


ベッドに腰掛け、寝巻のワンピース姿で新聞を読んでいたあたしは首を傾げた

今まで平然と読めていた字が

読めなかったのだ

先程、「ナギ様、新聞をよんでみませんか?」そう言われて受け取り

ここにも新聞あるんだと、読み進めていたはずなのに

何故読めないのだろうか?


ここの言葉は勿論日本語とは違う、だが召喚システムで読めると思っていたのに

一番肝心な部分が読めなくて悲しかったが

部分部分で新聞を読み進める


「誰が正式な…王妃となるのか………えっと……謎……

キターーーーー!!」


辛うじて新聞を読みきった事に感嘆しつつ

大事な内容に頭を動かす


婚約破棄、つまりはリューネさんと縁ぶっちしたんだよね

でも、フォルは次の相手、あたしの事を世間にバラして無いって事になって……


…あたし……なんて立場にいんのよ


「お前、そんなの呼んで楽しいか?」

「わ!?」


床に移るあたしの影から赤華さんがとび出してきた

するするとその陰から赤華さんは全身をあらわにして床に立つ


結構長い付き合いだけど全身見たのってまだ数回だけだ

赤い髪は寝癖がついて、赤黒い軍服は相変わらずダラっときこなされている


いや、あたしも寝巻だから人の事言えないけどさ

ひとりでに苦笑を浮かべる


「新聞ってのは結構大事よ

情報収集とか、隅の方に書いてあるクイズとか

認知症予防よ!!」

「……はぁ…」


新聞の大切さをいまいちよくわかっていない赤華さんに新聞談義を施す

だが約5分後、赤華さんは居眠りを始めてしまった

それも立ったままで


なにその直立睡眠どんな体してんのさ


…あ! そうだ

ここでいい事を思いついた


「赤華さんの髪治してしまえ」


肩までの赤毛は寝癖のままでしか見た事がない

だからこそちゃんと整えたバージョンも見てみたいのだ

赤華さん自身、かなりの美形だもの


立ちあがって手を伸ばすが、その直後

赤華さんが消えた


「え?」


それと入れ替わるようにアンナさんが入って来た


「あら? ナギ様?」


成る程、赤華さんはアンナさんに気付いてたんだな


「な、なんでもないよ!!」


作り笑いをして手を後ろに隠す

まるで手に在る物を見られたくない子供だ


「やっぱり、ナギ様は不思議な方ですね」


アンナさんはクスクスと笑い、慣れた手つきであたしに

ドレスを着せる今日のカラーは水色だ


「そういえば、今街はナギ様の話題で持ちきりですよー

『魔王妃は結局誰なのか』って」

「あはは、なんかリューネさんに悪いなー」


口では悪いと言っているが

にやにやしているのは秘密だ


アンナさんから聞いた話では、

今、このお城ではちょっとした混乱が起こっているらしい


「『この国で強い力を持つ公爵家を取りこまないなど、愚策ですぞ、魔王陛下』ってそういう声が聞こえてきましたよ

まったく、権力目当ての豚どもは醜いですねー」


……アンナさんコワーイ

ソンナコトエガオデイワナイデー……


顔をひきつらせて日課の散歩に赴いた


「いい天気だねー」

「そうですねー」


積もった雪を踏みしめつつ、晴天の空を見上げた

魔王城の庭は広いから散歩に丁度いいんだなーこれが

でも、人に遭遇する可能性があるので

フード付きの上着を着なければならないのだ

なんかもう適当に動きやすい服着てローブ着ればいいと思う


はっと、最初に着ていた巫女の服を思い出す

白いシャツに革ベルトに黄土色の短パン

その上から羽織る白いローブ


あれのデザインも悪くは無い

アンナさんには悪いけど今度からそうしようか



そして翌日、あたしは巫女になった時着ていた服に身を包んだ

アンナさんは不満そうな顔をしているが

特に何も言わなかったので

これは魔族から嫌われている服ではないのだろう


また、日課の散歩に出かける

だが、いつもと違う事が起きた


黒いドレスの女性と、エンカウントしてしまった


遠くから見てわかる、あのボンキュボンは

リューネさん、あの人しかいない


アンナさんと城壁の影にいる赤華さんに留まってもらい

あたしはリューネさんのもとに歩み寄った


いや、ホントはスルーしたいんだよ

でも、彼女、泣いてるんです


噴水の縁に上品に座って

眼に涙を浮かべている


あたしは本能的に巫女能力を使い、優しいオーラを量産する


「あの、リューネさん?」

「……なによ」


あたしはフードを被ってるので顔はわからないと思うが

あたしが誰なのかは把握されていると思う

その証拠


「わたしから大事な人を奪った挙句

嗤いに来たわけ?」


そう言われました


「ご、ごめんなさい、そんなつもりは無いんです

あたしはただ……」

「ただ?」


やっぱりリューネさんは美女だ

詰め寄られると女のあたしだってドキドキした


だがそれに負けてる場合じゃない


「ただ… 魔王様が好きなだけなんです…」

「……」


素直に本心を述べる

俯いたまま言ったので彼女の表情はわからない

いったいどんな顔をしているのだろうか?

怒っているはずだ


だって、彼女の方が先に魔王様の事を好きになったはずだもの


「わたしだって、魔王様を愛してるわ

ずっと昔、婚約者だって言われて

最初は周りから一方的に決められて不満だったけど……」


開き直ってしまったのか

彼女は魔王様との思い出をあたしに聞かせてくれた


「だんだん、本当に彼を愛おしく感じてしまって…」


そこで言葉を切って、リューネさんは話し始めた


「彼と幸せになりたかった

でも、わたしじゃ、だめだったのね…」


もう、ごめんなさいの一言に尽きる


「リューネさん……」

「……貴方、名前は?」

「え?」


唐突に名前を聞かれて驚く

そう言えばこの人はあたしの名前を知らないんだ


「…ナギです」

「そう…」


リューネさんはあたしの名前を連呼して「貴方らしい間の抜けた名前ね」と言った

…えー 酷いー


彼女は決意したようにあたしを見上げる

その紫水晶に目に吸い込まれそうになった


「ナギ、」

「はっ! はい!!」


リューネさんがこれから何を言うのかあたしにはわからなかった

お叱りでも受けるのかなと身構えたがその必要はなかったようだ


「魔王様を、絶対に幸せにしなさい」


リューネさん……

そんなにフォルの事が好きだったんだね

なんだか胸が痛む


「はい、あたし頑張ります!!」


なんだか、本当に胸が痛い


リューネさんはニッコリと笑った


「もし失敗したら 容赦しないわよ」


そのあとあたし達は友達みたいに笑いあう

親友のような仲になった


お久しぶりでっす!!


不可解な部分がありましたら報告していただけると嬉しいです!

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