喧嘩と月日と魔王様!
どーしましょ……
ツンデレメイドならわかるけどイライラメイドはわからんわ
うん
眠そうな人とアンナさんの喧嘩勃発から数時間すぎました
ベランダ(広い)でお紅茶飲んでます。はい
なんか違和感あるって?
それもそのはず只今、ギスギスしております
いや、アンナさんと赤華さんが喧嘩しましてね
怖かった……
バックに蛇やらなんやら見えて必死に止めたけど
無理でした
あぁ、ごめんよ 変なことしか言えなくて………
美味しい紅茶に再度手を伸ばす
カップで顔を隠しながらアンナさんを盗み見る
部屋に映ったテーブルの影を睨んでいる
そして、丁度睨んでる位置に赤華さん
しかし、なんと赤華さん
目から下、影に沈んでます。
最初見た時びっくりしたもん
「とりあえず後ろで見とくよ」と、赤華さんはアンナさんの視線から逃れるように
後ろを向いたかと思うといきなり
ズブっと沈んじゃって…… 死ぬかと思った………
アンナさんに聞いたら
『カゲウオ』という種族らしく、
日光が嫌いで影の中を自由に動き回れる能力があるらしい
オバケ屋敷でバイトすればいいと思うよ 赤華さん
カップを置いて二人を見比べる
あ、カップリングがつくな、この二人
と、くだらない事を考えつつ
お菓子のクッキーに手を出す
なにこれおいしい
もう一度カップに手を伸ばして紅茶を飲む
あ、もう中身なかった
ギスギスした空間にて、とんでもない失敗をやらかしたあたしはひとりでに肩をすくめた
その途端、その場に動きがあった
アンナさんは赤華さんから目を離し、あたしのカップに紅茶を注ぎ
赤華さんは影に消える。
喧嘩終了のお知らせキターーーーーーーーーーーー!!
「どうですか? ナギ様?」
「ん? あ! 紅茶、美味しいッス!!!」
睨み顔からいきなり笑顔へと変わったアンナさんにあたしは
必死で会話を追う
「先程は申し訳ありません
その色でイエルスとの戦争を思いだしてしまい 取り乱してしまいました………」
「え?…… まぁ、あたしも悪いしゴメンね」
あんなに優しいアンナさんを豹変させてしまうとか……
初めて、この色を憎んだ
***
豹変したアンナさんを見て、あたしはこの部屋から出ないようにした
ときどきやってくるフォルや何時も横に居るアンナさんとその近所に居る赤華さん
としか、話をしない日々を続けた。
幾度か朝を繰り返したある日
部屋がノックされた
「おい? ナギ?」
あ、フォルだ!
アンナさんは丁度部屋に居ないのであたしがドアを開ける
ドアがノックされる度に、アンナさんが扉開いちゃうんだから
ビックリしたよ、もう
ドアぐらい自分で開くよ、アンナさん
世話好きなメイドさんを頭に浮かべ、苦笑いしつつドアを開いた
黒いブーツにズボン、ジレと呼ばれる金色の刺繍がしてある白いベスト
漆黒の上衣(ジェストコールって言うらしい コートみたい)をはおったフォル
血のように赤い目は妖艶で
黒い髪は長く、後ろで止めてあった。
いかにも魔王といった感じだ
そういや髪長かったのね、最初わかんなかったわ
下ばかり見る癖がついてしまい、ちゃんと彼を見るのは3回目だ。
新たな発見に胸を躍らせた
「ヘイ、カモーン すわろーぜ!! なんてね」
ジョークを交えつつ、部屋に置いてあるイスに腰をおろした。
彼が向かいのイスの座ったのを確認し、「何を話そうか?」と頬杖をつく
最近、フォルはあたしの国の話を聞くのに夢中だ
といっても、あたしの国は前いた世界のこと
嘘で塗りかたまってます。 良心が痛い――!!
「昨日の続きをたのむ」
「はいよ」
とりあえず昨日の続き……
童話の続きを要求されたから口を開く
「えーっとね………」
彼と話すのは楽しい
だって、好きだし…… きゃー、言っちゃったー(笑い)
自分の中でネタ見たくなってるのは気のせいだと思う
童話を話しつつ、高鳴る胸の鼓動を聞いて改めて確信した
最近賢者タイムだなー 自分 まぁ、それも悪くないけど
あれ? 賢者タイムというより異世界に慣れて来たのかな?
最近、鏡見てもいちいちビックリしないし
慣れバンザーイ!!
「………で、幸せにくらしましたとさ めでたしめでたし」
「おぉ」
雑念を抱えつつ語り終わった童話に、フォルは手を叩いた
こう言うのって、平和っていうんだよねー ふふふ
誤字とかありましたら、報告していただけるとありがたいです