小さな危機と疑いと
「うーん……
さっきの変な奴ってなにしにきたんだろ？」
あたしはフォルスター…こほん
フォルとわかれて支給された部屋に戻っている最中だ。
ホントはフォルの周りをうろちょろしたかったんだけど
「行くところがある」だとか何だとかでどっか行っちまった
どこ行くんだよ気になるじゃねーか
質素だが綺麗に飾り付けられた廊下を歩く
昨日は気づかなかったが絨毯が引いてあった ちくしょう
なんだよ、日本人に優しくない文化だなぁ～
歩く度に「お家では靴を脱ぎます」って頭が言うんだよ……
「はぁ～…」
思わず、ため息をついた
床の事はともかくさっきの変な奴が気になる
「その女を渡して貰う」って言ってたからあたし目当てだと思うけど
なんで狙ったかは不明
あ、でも「イエルスの王族は金髪碧目」ってフォルが言ってたよね？
確か…あたしは今それだから理由はこうなのかぁ……
勝手に結論付けて疑問をチャラにする
疑問のタネバイバイでスッキリしたあたしは「これから何しようかな～」と呟くと、
向こう側から誰かが来ているのがわかった。
あたしがこっち|《異世界》にきて貰った色はこっちにとっては
過去の大戦を思い出させるらしいから、慌ててフードを被ろうとする
だが……
フードねえじゃん！！
服を着替えた事を忘れていた
今着ている物は
容姿が変わったこそ似合う淡いピンクのドレスにミュール
誰かフードplease
まぁ、貰えるわけ無いので
仕方なくそのまま横を通ることにした
お前絶対こっち見んなよ
前から来たのは男性で武装している
右差しの剣がカッコイイ！
脇にそれて気配を消す
そして出来るだけ静かに歩く
ほら、自分のせいで嫌な思いされるのっていやだし
男性とはあとちょっとですれ違う距離だ
あ、イケメンじゃん
２０代程の赤髪さんでなんか眠そうに右目を擦っている
すれ違った。
なんかふらふらしているからホントに眠いんだと思う
あ、ラッキー！ 気づかれなかった！！
なんだか、イケメンに気を取られて本来の目的を忘れていた
ま、結果オーライかな！
一つの難関を乗り越えたあたしは上機嫌で部屋まで戻れた
いやー、眠気ってあたしの味方だー
「あら、ナギ様？ どうされました？」
部屋に入ってソファーに座るとアンナさんがベッドルームから出て来た
部屋の整理でもしてたのかな？
「ちょっといいことあったんだよねー」
「？」
クエスチョンマークさんが頭上に系列しているアンナさんを見て思わず笑ってしまう。
一つ一つの動作でも美人なんだなぁ～これが
「ところで、ナギ様」
「ん？」
眺めていた美人さんにいきなり名を呼ばれたあたしは
きょとんとしてしまう。
「ナギ様は、どうやってこちらにいらしたのですか？」
「こちら？ こちらってお城の事？
それともダルキメス王国の事？」
なんの意図を持ってして、アンナさんはこんな事を聞いて来るのだろうか？
「はたまた、こっちの世界？」と言いたくなった気持ちを抑える
というか、こっちの世界に来た理由ならあたしだってわかんねぇわ
ショタっ子の話聞いとけばよかったかも
それを小さく後悔してアンナさんの目を見る。
「えっと… ダルキメスについてです。
ナギ様は光に属する方なのでこちらの国に入る事は出来ない筈です。」
……え？
何それ初耳！！！
思わず体を強張らせる。
入れないってドユコト？ パスポートか？ パスポートなんて刑事ドラマでしか見た事ねぇよ
多分おめめ真ん丸なあたしを見て、アンナさんは口を開く
「貴女様の外見上の特徴からは、少なくとも光に属する人だと言う事がわかりますが、
それならば国境に在る『結界』を超える事は叶わない筈です。」
「え、えー？
んなこた言われましても……」
事情聴取ですか？ これは？
もう苦笑いが止まんないｗｗ
というか、これ魔王さんが聞くよね？ 普通？
あ、でも魔王だからいろいろ知ってんのかね？
うん、そういう事にしとこうか……
って、アンナさんについては未解決ですよどうしましょう
魔王に知られていると推測したあたしにとっては非常にやりにくくなった。
ウソついてもばれるやんけな確率ができたからだ。
「うーん」と、唸っているあたしにアンナさんは詰め寄る
「もしかしてナギ様は……」
ガチャリ
「うえぇ！？」
アンナさんが言葉を紡ぐ最中、
ドアがガチャリと開かれた。
あたしもアンナさんも、もちろんドアに目が行った。
「あー、スンマセン
魔王陛下からナギ様を護衛するよう頼まれました。
赤華でーす。」
気だるそうな口調で現れた赤髪の男性
あ、さっきすれ違った人だ！
って… え？
護衛って………何？
お久しぶりです。
３週間ほど投稿が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
１２月２２日
文章が重複していました。
すみません！！
