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変な人はしぶとく、契約者は不在、そして魔王が怖い

長らくお待たせいたしました。


今回は巫女目線です!

そしていつもより若干長い………

「ナギ!!!」

「へ?」


フォルスターから名前を呼ばれる。

呼んだというより叫びに近い


「なんですかい!?」と、言おうとしたのだが……

フォルスターはあたしに覆いかぶさる。距離はゼロ


恥ずかしいです。声なんか出せません。


近いいいいいいいいいいいいいいいいい!!!

ぎゃああああああ!!

ぎゃああああああああああああ!!


ドスッ


……………え?


鈍い音、グシャッと、赤い液体が視界に入る。


「……」


フォルスターは黙ったまま、あたしからはなれて、

態勢を立て直して上を向く


赤い液体、要は血 かなりの勢いで吹き出していたから、絶対に痛いはずだ。

ど、どどど、どうしよう!?

ヤバいってヤバいって!!!

つか、なんで血でたん!?


「………」


フォルスターは一言もしゃべらない。

そのまま、手を見ている方向にかざした。

刹那、言葉にするなら『ダンッ!!』という音がした。


「え、ちょ…何!?」


意味がわからない。 あたしには現状を把握能力がないの?


少し離れた所で『ドサッ』という落下音がした

擬音語だらけですね。


音がした方を見ると男が地面に叩きつけられていた。

上の城壁から落ちた……いや、おそらく、フォルスターが何かしたんだと思う。

魔王だし。うん。


男は立ちあがった。

城壁って結構な高さだから叩きつけられた状態でよく生きてるね………


つか、そんな悠長な事は言ってられない

誰アレ!?

え!? ど、どこのもんじゃあああああああいいいいい!!!


情報下さい!!

ちょっと、コントラットオオオオオオオオ!!!

HELP!HELP!!


『……………………』


応答は無い 何でえええ!!!

普段なら「ちっ、使えねぇな」と言ってやるが、時と場合が云々だ。

あばばばばばばば………


フォルスターを見る、

あたしから数歩距離を置いて男を睨んでいた。

その時に彼はあたしに背を向けていた為、肩に矢を受けていた事がわかった。

さっきはあの矢からあたしを庇った時の出血だったか……


男は一言こう言った。

「その女を渡して貰う」


それにフォルスターはこう答えた。

「殺す」


殺人宣言しちまったか………

怖いって…


てか、あの変な人が「その女を」云々って言ってたけど

あれってあたし?

なんで狙われてんの? なんか悪い事したっけ?


えーっと………


どうしてこうなった

あたしは今までの人生を振り返った。


たしか、えー…………

悪い事しすぎてようわからんしっっ


一人でこんなこと考えるっていうのは空しい。

ぐすん どうせ私は万年ぼっちですy………


「ぐ!?」


あたしの思考はうめき声で遮られた。

声のしたあたりを見るとさっきの変な人は地面に仰向けでぶっ倒れていた。

かなり出血している。


赤い赤い… グロッッ


フォルスターは踵を返してこちらにやって来た。

黒い服には返り血が付着していた。

おまけに背中の矢

ちょいと魔王さん、あたしが慌てる材料持ちすぎなんだけど

矢の方をまずどうにかしないとっっ


「フォルスター! 矢刺さって……うわ!?」


こちらに向かってくる彼の元に行くはずが、足がもつれて転ぶ。

マジ慌てすぎ自分の馬鹿


「ナ、ナギ……大丈夫か?」


フォルスターは心配そうに声を掛けてくれた。

うっわ、恥ずかしっっ


「うぅ~、マヌケでごめんなさい!!」


何故かあたしは謝りながら立ち上がる。

ほら、人間パニックになると何するかわかんないって言うでしょ そんな感じよ。


因みに顔が赤いのは気にすんな


恥ずかしさを振り払うようにあたしは声をだす。


「あ~……矢刺さってる………」


本当は「あの~、矢刺さってるんですけど」と言いたかったのは秘密

フォルスターの顔を見るとキョトンとしている。

まさか、気づいてないとか?………


この世界の人って神経通ってんの? と、疑問を抱くが放置

噴水の淵にフォルスターを座らせる。


矢は結構な深さまで刺さっていて泣きたくなった。

だって、あたしを庇って……


だんだん暗い気持ちになってきたあたしの顔をフォルスターは見る。

「どうかした?」とでも言いたそうだ。


「え? あ、ちょっと待って」


別に何も言われてないが疑問に答える。

刺さった矢に手を伸ばし、 引き抜く。

ズブッと、嫌な音がしたが気にしない


「治療するからジッとしててね」

そして、彼の右肩に手を重ねる。


治癒魔法 治癒魔法  ファンタジー小説読んでると大体出てくる魔法

白い光でシュンッ、キラーンみたいなやつ………


目を閉じて大雑把なイメージを浮かべる。

できてる? できてるかな?


イメージすれば魔法が使えるという能力、うまく使いこなせているか不安である。

でも、なんか手があったかい気がしない事も無いから治癒魔法は使えてるかも………


「ん…これでよし!!」


目を開けて手を下ろす。

肩の傷は綺麗にふさがっていた。


やったね、大成功!!


魔法が成功したうれしさにおもわず顔がゆるんだ。


まぁ、傷がなくなった分 衣服の破れが目立つ訳だが……


「服は後で縫ってもらいなよ

あたしは裁縫苦手だから」


ここで「私がやります!」って言えたらかっこよかったんだけどね。

裁縫とかマジ無理……


別に裁縫とかできなくても生きてけるよね?

なんでいちいち学校でならったんだ?


軽く、裁縫の悪口を言っているとフォルスターが立ち上がった。


「え? フォルスター? どったの?」


返事は無、彼はそのまま歩き出した。


「フォ、フォルスター? おーい?」


あたしのこと見えてますー?と言わんばかりに

あたしは至近距離で手を振り始める。


お願い無視しないでー……


「ナギ」

「うっあ! え!」


不意に、手首を掴まれる。

フォルスターの手は驚くほどに冷たくてびっくりした。


「ちょっと、待っててくれ」


そう言われて笑みまで向けられたあたしは凍りつく、

て、てててて、手首つかまれた……

恥ずかしい……


なぜだろうか? 何かされるたびに赤面してる気がする

もしやっ、これが『恋』!?


一言で言えば馬鹿な思考を抱えたまま

手首を掴まれた時の態勢から動かしてなかった体を動かし、

彼の方を見る。


倒れてるさっきの変な人の間横だった。

なにするんだろう?


彼はその場に膝を折り、静かに呟いた


「ゴミは、早く処理しないと…ね……」


よく見えなかったんだけど、状況からしたらフォルスターは変な人を殺しちゃったんだと思う。

さっきまでは生きてたんだね あの変な人。

でさ、さっきのフォルスターのセリフ、怖いんですけど………


誤字脱字がありましたら

指摘してくださるとありがたいです。

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