転生したら俺以外全て小さかった件
「よし、転生完――」
第一歩を踏み出した瞬間、足元で**「グシャッ」**という嫌な感触がした。
「あ!? なんだ……?」
すると、足元にうごめく無数の「点」のようなものから、耳鳴りのような小さな声が聞こえてくる。
「おお……! 神が降臨なさった! あの忌まわしき怪物を、一歩で踏み潰してくださったぞーーー!!」
どうやら、蟻のようなサイズの人間たちが騒いでいるらしい。
「……なんか喋ってるな。いや、何言ってるか全然聞こえん。とりあえず、ここがどこか確認しなきゃ……」
ドスン!
俺が座り込んだだけで、大地が激震し、小さな人々は一斉にひれ伏した。
「おお神よ、どうか御慈悲を! 我らは貴方様の卑しき下僕。何なりと御申し付けくだされ!」
「……よく聞こえんが、仕草からしてテンプレ的な『崇拝』だな。にしても、俺がデカいのか、こいつらが小さいのか」
すると、彼らが総出で何かを運んできた。
「聴力集中……集中……」
『……お礼の供物です……どうぞお受け取りください……』
「どれどれ?」
差し出されたのは、大量の家畜の山だった。
だが、巨大化した俺の目には、それは砂粒のようなサイズの、ただの「血のついた生肉の塊」にしか見えない。
「おいおい! こんな生の家畜なんて食えるか! 神を馬鹿にすんなよーーー!」
俺が怒鳴った瞬間、その咆哮は超音波となって、信者たちの村を半分ほど吹き飛ばした。
(完)
散っていた続話を見つけ出して結合。2016→2026。リライト。
「……私はこの国の王で、ごにょごにょ……」
「格好を見りゃ分かる。名乗らんでもいい。……で?」
俺は耳をそばだて、小さな王の言い分を聞く。
ふんふん、ほうほう。戦争中で劣勢だったが、俺が降臨(転生)した姿を見て、敵軍は戦意を喪失して逃げ帰ったと。で、俺のために巨大な神殿を建てるつもりだと……。
「神殿なんて後だ! それより、俺の食料問題をなんとかしろ。家畜を丸ごとローストにして持ってこい! あと果物もだ!」
しばらくして、国中の料理人と兵士が総出で運んできた「食料」が到着した。
「……まあ、なんとかなるか。後で暇つぶしに、その逃げた敵とやらにでも会いに行ってやるよ」
俺は、王たちが「至高の捧げ物」として差し出した牛の丸焼きを、指先でつまんで口に放り込んだ。
むしゃむしゃ……。
「……一頭で一口サイズじゃねーか。やっぱ全然足んねーな。果物なんて、もはや味もしねえ。ほんのり甘いだけの水だな、これは……」
一国の食料庫を空にする勢いで食べ進めても、俺の胃袋には「さざ波」すら立たない。
捧げ物が増えるたび、この国の経済が崩壊していく音が聞こえてきそうだ。
「参ったな……。このままだと、俺がこの国を食い滅ぼしちまうぞ……」
(完)




